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保護者の居ぬ間に

第466話

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 ツッコミたいあれこれを横に置いといて、グラちゃんの所に足を向けたらタイガの子供達と一緒に回復薬を売りまくっていた。

「安いよ、安いよ、今日だけ安いよ!」
「在庫一掃セールです!」
「十本買ったら新作一本おまけ!」
「そこのお兄さん買って買って! っよ、いい男!」

 ほぼ押し売りな気がするけど、消耗品だし、うん。

「なぁあれもう売ってないのか? 縁結びのお守り」
「通い詰めてるのに一度も見かけない」
「はい! 売り方変えました!」
「ええええええ」
「あちらをご覧ください!」

 売り子が示した先を周囲の冒険者が一斉に見た。
 怖い怖い、目が本気だ。

「いらっしゃいませ」

 示した先には目が笑っていないケバブ屋の大将のお嫁さんである女騎士さんがいた。
 ずらりと並べられたお守り各種、神社で見るお守り売り場ってあんな感じだったなぁ。懐かしい。

「こんにちは」

 横からちょこりと顔を出している3歳ぐらいの女の子が小さな箱を持っているのが見えた。
 え、誰!?

「ゆうちゃん、0歳です。よろしくお願いします」
「ハズレなしだ」

 一斉に群がろうとしたけど殺気を含んだ女騎士さんの視線に男衆が固まっている。

 え、待って、0歳?
 喋ってるのに?
 もっと大きいよね?

「おれは、行くぜ!」
「勇者!」

 ちょっと軽そうな人がクジを買おうと前に出た。

「縁結びお守りください!」

 軽そうに見えたその人は女の子に向かって潔く頭を下げた。
 どのお守りが目的の品か分からなかったんだって。

「ランクが低すぎる、出直せ」
「うえ?」
「あれは正真正銘神の力が宿ってるんだ、購入条件は最低Cランク、お前最低ランクだろ、帰れ」
「そんな!」

 購入制限付いたのか、えーっと最低ランクは……なんだっけ?

『アー君、あのお兄ちゃんのランク分かる?』
「Eマイナス」
「最低ランクより下? にいちゃ説明、説明!」
「多分他国から来た冒険者だ、刀国のランクに合わなくて依頼失敗しすぎてランク落ちしたんだろう」
『かっこ悪いね』

 涼玉ありがとう、それにしてもやっぱり刀国のランクは他国とちょっと違うっぽいな。

「俺、Bでっす!」
「いいだろう、一回銀貨一枚だ」
「お願いします!」
「欲しいと思う物を手に取ってね!」
「はい! ――っ!」

 っしゃぁああああ!!

 二番手の人が売り場前で雄たけびを上げている。
 当たったのかな?

「シャムス様のスライム当たったぁああああ!!!」
「マジかよ!」
「え、生還率が上がるっていうあの噂の?」
「んちゅーー、俺、この子と暮らすための家買ってくるー!」

 冒険はいいのだろうか。
 Bランクの人は周囲にハートを飛ばしながら神社から去っていった。

「次、次は俺!」
「銀貨一枚です、お選びください」
「……これだ!」
「へぇ魔王城の食堂利用券か、今ならタイガの手作りスイーツが出るらしいぞ」
「父様の手作り?」
「ちょうど魔王領に採取に行くから寄ってきます」

 そう言えばタイガは魔王城で魔王代理してるんだっけ。
 我が家に来る暇がないから魔物さん達に料理振舞ってるんだね、きっと飾りつけの腕が上がってるんだろうなぁ。

 いや待った。
 父様?
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