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保護者の居ぬ間に

第427話

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 僕らが案内された席は他よりもグレードが高いようで、畳の上に高級そうなクッションが敷き詰められている他、キセルが設置さていたり、中央にある囲炉裏テーブルには串焼きの魚が刺さってたりと、神薙さんの好みそうな空間だった。
 むしろ神薙さんの為の席なんじゃ……。

「本日はご来店ありがとうございます、ご注文をお聞きしてもよろしいですか?」

 メニューを聞きに来た従業員によると、現在のメニューは和風抹茶セット、洋風ティーセット、本日のおすすめ、子供向けのキッズセットの4種類しかないようだ。
 接客に慣れてきたら提供メニューを増やすらしい。

『おにーちゃん、何食べる?』
「わぅ~ん」
『それぞれ違うの食べてわけっこするの? 僕にも一口ちょーだいね?』
「シャムス、俺らはキッズセットがあるらしいからそれにしようぜ!」
「おもちゃー」

 しかも子供向けおもちゃがもらえるようだ、もふもふズのお手製らしい。

「アカーシャはどれにする?」
「僕は洋風セット」
「俺は本日のおすすめ食べるから、イツキは和風いけよ、シェアしようぜ」

 春日さんの一言で食べるものが決まった。
 僕何も言ってない。

「そちらの魚はご自由にお食べください、テーブルの引き出しには餅などが入っていますので、そちらもお食べになって問題ありません。それでは今お持ちしますのでお待ちくださいませ」

 優雅に礼をして去っていく従業員さん。

『尻尾、にゃんこ?』
「定形通りに出来て安心できたんだろ、気が抜けて尻尾が出たようだな」
「あにき、おさなかとって」
『ぼくも』
「分かった分かった」
「アー君、僕がやるよ」
「ありがとアカーシャ」

 キャッキャッと戯れる子供達を見ながら、春日さんの服を少し引っ張る。

「どうした?」
「あの、この魚や餅、この席も神薙さん専用なんじゃ」
「正しくは邪神御一家専用だ。神薙はイツキの家族なんだろ、問題ない」
「ひぇぇぇぇ」

 すっっごいあいまいぃぃ。

 いや、家族扱いされるのが嫌なのではなく、もしこれらの食べ物が神薙さんの物なら黙って食べちゃうのは問題あると思うのです、生命的な意味で。
 うちの子食べられない? お仕置きされません?

「かあしゃま、ノリちょーだい」
「海苔? あるけど、どうするの?」
「おもちに巻きまきするの」
「シャムスはキッズセット食べるんだよね? お腹ポンポコリンになっちゃうよ」
「やぁん」
「仕方がない、シャムス磯辺焼きは家に帰ってからな」
「あい」
「はーい」

 がっかりする幼児の隣では三匹が焼き魚を次々消費している。
 消費しているはずなんだけど……減る気配がない、よく見ると魚が刺さっていた串を囲炉裏に戻すと自動的に魚が出現していた。

 神薙さんが延々と食べるための装置と見た。
 どういう仕組みなんだろうか、これ我が家にもあったらおやつの時すっごい楽だと思う。
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