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保護者の居ぬ間に

第426話

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 茶屋が開店したのは広場から門へ続く桜並木通りの中間。
 趣のある布で「茶屋」と大きく書かれた看板が掲げられていて、その横にある門を通って奥に行くと新緑の中にぽっかりと空間が開いていてそこに茶屋があった。

(時代劇にでるお茶屋そのもの!!)

 藁葺き屋根、外に置かれた長椅子、店の右手奥には池と池を眺めながら食事を楽しめる席も用意されていたり、さらにはご丁寧に離れの部屋っぽいものも見える。
 おかしいな、女神様とか騎士様は忙しいはずなのに日本の文化を感じるのは気のせいだろうか。

「おーイメージ通りだな」

 さすが俺様。と茶屋を見渡すのは本日のお財布、もとい春日さん。
 そう言えばこの方も相当やりたい放題している人だった。

「春日さんが関わっていたりするんですか?」
「おぅ、今回は奈良にある有名な茶屋と、京都の茶屋、江戸村などを混ぜたぜ!」

 わー本格的ぃ。

 でも春日さんが動いたって事は、頼んだのは僕の身内かな?

「今日はここに宣伝ついでに連れて来ようと思って誘いに行ったんだよ」
「宣伝」
「主催:ダロス、協賛:俺、神薙、もふもふズ、後援:クロード」

 見事に知り合いだらけだった。
 そういう楽しそうな事は僕も誘って欲しかった!

 んもー、もふもふしてやる!

「きゃふー!」
「ちょっとだけ騙された気分だから僕も!」
「ぐるるぅん」

 チケットをくれたもふもふズをアカーシャと二人でもふり倒していたら、店からぬっと大柄な人影が出てきた。

「いらっしゃいませ」
「え、ダロス? なんで?」
「アルジュナ!? っぐ、連れ込みたい、でも仕事中!」

 お店から出て来たのは白熊さん、アー君に気付いて飛びつこうとしてぐっと堪えた。
 血涙を流しそうなぐらい悔しがりながら、僕らを池の見える席へと案内してくれた。

「あれ、今日は家にいるって言ってたのに」
「キー」

 しかも案内された先にはこうちゃんと雪ちゃんがいて、小さな器でお茶を楽しんでいた。
 よくあんな小さな器あったなぁ。

「あの、主催が白熊さんってどういう事ですか?」
「海に放り出されると下手すりゃ一か月とか帰って来れない、地元密着の定職が欲しいと泣きつかれてここ作った」

 すげぇ。
 泣き付かれてぽんと作っちゃう春日さんも凄いけど、春日さんを頼る判断をした白熊さんも凄い。

 あっ、池に鯉が泳いでる。

『あれお魚? 食べれる?』
「鯉を使った料理もあるけど、子供向けの味じゃねぇなあれは」
『どーして僕らのおうちにはいないの? 飼ってもいーい?』
「やめとけ、前はいたけど神薙が全部おやつに食べちまったらしい」
『ありゃりゃー』

 錦鯉もいたと騎士様が嘆いていましたね。

「あにき、魚食べていい?」
「自宅の魚以外は勝手に食べたらダメだ」
「分かった」
「言いながら池に入ろうとしない、ね?」
「「はい!」」

 アカーシャが一緒に来てくれて良かった。
 僕がのんびりできる。

「次はイブも一緒に来たいね」
「イブ? あいつもここで働いているぞ」
「はぁ!?」

 あの子まだ未就学児ですよ、何働かせているんですか!
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