204 / 1,127
権力とは使う為にある
第203話
しおりを挟む
僕の野望を叶える欠片が早くも手に入った。
『母様! これ僕よ!』
「シャムスの可愛らしさが良く表現されてるね」
きゅーきゅーとテンション高くシャムスが掲げているのは、シャムスの似顔絵が描かれた紙だ。
異世界で紙は貴重?
はははは、問題ない、これギレンにお願いして地球で買ってきてもらったお絵描き用紙だから。
絵具セットやクレヨンも一緒に付けて、株を爆上げしていた。
『ネリちゃん、次はねアー君と描いて』
「ここに我と描いて欲しいそうだ」
「ええ良いわよ」
ネリちゃんと呼ばれているのはドリルちゃん、宿題を終えた一同はそのまま当然のように夕食を食べて行く流れになって、ドリルちゃんは断りきれずに食べて行く事になった。
淑女がどうのと言っていたけれど、シャムスの為にナーガが引き留めた。神の言葉に従った結果なので変な噂にはならないだろう。
大人の帰宅を待って夕食にしたらドリルちゃん……じゃなくて、ネリちゃんの帰宅が遅くなってしまうので、子供達だけ先に食べて貰ったんだ。
ご飯もデザートも終えた後、シャムスのお絵描きに付き合ってもらっていたんだけど、これがまた絵が上手で。
画家のような芸術的な絵ではなく、描かれたのは僕が求めていた柔らかいタッチの絵だった。
これならいけるんじゃない?
絵本作りに協力してくれないかなぁ?
最悪、権力乱用か女神様に神託下して貰うって手もあるけど、出来れば自主的に手伝って欲しいなーなーんて。
「凄い凄い」
「ネリちゃん凄い!」
「これは、素晴らしいです」
「ほ、褒めても何も出ませんわよ」
頬を赤く染めてツンと顔を逸らすその姿は正にツンデレ、女の子がいる光景っていいね、うちにも女の子いるはずなんだけど一人も手元に残ってないんだよね。
「……なぁ」
「うん、いいね」
「コルネリア嬢、頼みがある」
「出来れば協力して欲しい」
「なんですの?」
真剣な様子の双子にネリちゃんが少し驚いたようだ。
「僕らは今、母様と協力して絵本作りをしようとしている」
「物語は母様の中にあるから、絵の描き手を探していたんだ」
「画家に頼めばよろしいのでは?」
「あれはダメ、芸術的で求めている絵とは違う、僕らが捜しているのはこれ、兄様を描いたこの絵みたいに優しい絵」
「……お待ちになって、兄様?」
今までスルーされていたから知っていたと思ってた。
「シャムスは俺らのお兄ちゃんだ」
「そうだよ、ねー兄様」
『そーよ』
「え、で、でも年齢が」
「やりたい事あって急成長したんだ」
「とん挫したけどね」
ちょっと根に持ってる?
混乱しているネリちゃんに、今のうちに丸め込んでしまえと双子が言葉を重ねる。
「それで、俺らの事業に参加して欲しい」
「期間は無期限、出来れば絵が描ける限りずっと」
つまりは終身雇用、三食昼寝おやつ付きの高待遇です、何せシャムスの為の国家事業だから。
後援は国王様を始めとした国家重役から、神様やその上司までずらっと、シャムスが読む、自然とアー君も読むという事で騎士様が本気でやる気を出している事案です。
「もしかして好きな人とか婚約者いる?」
(はいはいはいはいはい!!! 縦巻きロール公爵令嬢の婚約者は国の王子です! でもピンク髪の女と浮気していて蔑ろにされています! 現在、留学した事も気付かずに国を追放する罪を捏造中! テンプレェェエエエエエ)
僕とマシュー君が同時に耳を押さえたので、ナーガが女神様の叫びをぶった切ってくれた、ありがたやありがたや。
「屑男なんて捨てよう! 刀国においで!」
「そんな簡単にはいきませんわ、これは、王子に後ろ盾を作るための政略結婚です」
「大丈夫! 権力なら腐るほどあるから!」
「神託使うって手もあるし、いざとなったら父様にお願いするよ!」
叫びを煩がられて声をぶった切られるような人ですが、一応この世界を管理している女神様だからね、利用しない手はない。
「婚約者の王子が急死すれば問題ないのではないか? 殺るか?」
「ナーガはストップ、女神様も何もしないでくださいね、張り切り過ぎて国ごと消滅させないでくださいね」
返事は無理だろうけど念は押しとかないとね、名誉挽回の為に暴走されても困るんだ。
「婚約者なんて捨てよう、そして僕らに協力して欲しい」
「あ、そうだ! 僕って王太子だった! 僕と婚約しよう! そして刀国に来て!」
「鬼羅もストップ、暴走しすぎ、はい甘い物食べて落ち着いて」
『あーん』
「おいしー」
シャムスにドーナツを持たせて鬼羅に食べさせると、目を細めて大人しくなった。ふぃー。
「私、絵を、描いていいの?」
「いいよ!」
「むしろそれが生涯のお仕事!」
「エンジェルも手伝ってね」
「は?」
「ネリちゃんには絵を描く事に集中して欲しいから、エンジェルにはネリちゃんやこの後にスカウトする人たちの生活支援や、仕事の管理をお願いしたい」
「私は国に戻る予定なのだが」
「諦めて!」
「兄さんに見初められた時点で諦めて!」
あっという間に二人が捕獲されました。
マシュー君が「シャムス様の為だから」と声をかけているけれど、それが慰めになっているかは微妙な所だ。
絵を描いてくれる人一人、中間管理職一人ゲットしました。
この調子でガンガン行こう。
『母様! これ僕よ!』
「シャムスの可愛らしさが良く表現されてるね」
きゅーきゅーとテンション高くシャムスが掲げているのは、シャムスの似顔絵が描かれた紙だ。
異世界で紙は貴重?
はははは、問題ない、これギレンにお願いして地球で買ってきてもらったお絵描き用紙だから。
絵具セットやクレヨンも一緒に付けて、株を爆上げしていた。
『ネリちゃん、次はねアー君と描いて』
「ここに我と描いて欲しいそうだ」
「ええ良いわよ」
ネリちゃんと呼ばれているのはドリルちゃん、宿題を終えた一同はそのまま当然のように夕食を食べて行く流れになって、ドリルちゃんは断りきれずに食べて行く事になった。
淑女がどうのと言っていたけれど、シャムスの為にナーガが引き留めた。神の言葉に従った結果なので変な噂にはならないだろう。
大人の帰宅を待って夕食にしたらドリルちゃん……じゃなくて、ネリちゃんの帰宅が遅くなってしまうので、子供達だけ先に食べて貰ったんだ。
ご飯もデザートも終えた後、シャムスのお絵描きに付き合ってもらっていたんだけど、これがまた絵が上手で。
画家のような芸術的な絵ではなく、描かれたのは僕が求めていた柔らかいタッチの絵だった。
これならいけるんじゃない?
絵本作りに協力してくれないかなぁ?
最悪、権力乱用か女神様に神託下して貰うって手もあるけど、出来れば自主的に手伝って欲しいなーなーんて。
「凄い凄い」
「ネリちゃん凄い!」
「これは、素晴らしいです」
「ほ、褒めても何も出ませんわよ」
頬を赤く染めてツンと顔を逸らすその姿は正にツンデレ、女の子がいる光景っていいね、うちにも女の子いるはずなんだけど一人も手元に残ってないんだよね。
「……なぁ」
「うん、いいね」
「コルネリア嬢、頼みがある」
「出来れば協力して欲しい」
「なんですの?」
真剣な様子の双子にネリちゃんが少し驚いたようだ。
「僕らは今、母様と協力して絵本作りをしようとしている」
「物語は母様の中にあるから、絵の描き手を探していたんだ」
「画家に頼めばよろしいのでは?」
「あれはダメ、芸術的で求めている絵とは違う、僕らが捜しているのはこれ、兄様を描いたこの絵みたいに優しい絵」
「……お待ちになって、兄様?」
今までスルーされていたから知っていたと思ってた。
「シャムスは俺らのお兄ちゃんだ」
「そうだよ、ねー兄様」
『そーよ』
「え、で、でも年齢が」
「やりたい事あって急成長したんだ」
「とん挫したけどね」
ちょっと根に持ってる?
混乱しているネリちゃんに、今のうちに丸め込んでしまえと双子が言葉を重ねる。
「それで、俺らの事業に参加して欲しい」
「期間は無期限、出来れば絵が描ける限りずっと」
つまりは終身雇用、三食昼寝おやつ付きの高待遇です、何せシャムスの為の国家事業だから。
後援は国王様を始めとした国家重役から、神様やその上司までずらっと、シャムスが読む、自然とアー君も読むという事で騎士様が本気でやる気を出している事案です。
「もしかして好きな人とか婚約者いる?」
(はいはいはいはいはい!!! 縦巻きロール公爵令嬢の婚約者は国の王子です! でもピンク髪の女と浮気していて蔑ろにされています! 現在、留学した事も気付かずに国を追放する罪を捏造中! テンプレェェエエエエエ)
僕とマシュー君が同時に耳を押さえたので、ナーガが女神様の叫びをぶった切ってくれた、ありがたやありがたや。
「屑男なんて捨てよう! 刀国においで!」
「そんな簡単にはいきませんわ、これは、王子に後ろ盾を作るための政略結婚です」
「大丈夫! 権力なら腐るほどあるから!」
「神託使うって手もあるし、いざとなったら父様にお願いするよ!」
叫びを煩がられて声をぶった切られるような人ですが、一応この世界を管理している女神様だからね、利用しない手はない。
「婚約者の王子が急死すれば問題ないのではないか? 殺るか?」
「ナーガはストップ、女神様も何もしないでくださいね、張り切り過ぎて国ごと消滅させないでくださいね」
返事は無理だろうけど念は押しとかないとね、名誉挽回の為に暴走されても困るんだ。
「婚約者なんて捨てよう、そして僕らに協力して欲しい」
「あ、そうだ! 僕って王太子だった! 僕と婚約しよう! そして刀国に来て!」
「鬼羅もストップ、暴走しすぎ、はい甘い物食べて落ち着いて」
『あーん』
「おいしー」
シャムスにドーナツを持たせて鬼羅に食べさせると、目を細めて大人しくなった。ふぃー。
「私、絵を、描いていいの?」
「いいよ!」
「むしろそれが生涯のお仕事!」
「エンジェルも手伝ってね」
「は?」
「ネリちゃんには絵を描く事に集中して欲しいから、エンジェルにはネリちゃんやこの後にスカウトする人たちの生活支援や、仕事の管理をお願いしたい」
「私は国に戻る予定なのだが」
「諦めて!」
「兄さんに見初められた時点で諦めて!」
あっという間に二人が捕獲されました。
マシュー君が「シャムス様の為だから」と声をかけているけれど、それが慰めになっているかは微妙な所だ。
絵を描いてくれる人一人、中間管理職一人ゲットしました。
この調子でガンガン行こう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
331
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる