神様のポイント稼ぎに利用された２

ダンジョン探検

第95話

　結局、魔王様とアー君の過去に関する因縁は「水に流そう」と言う事で片が付いた。水に流させた。とも言うのかなぁ。
　何せ騎士様が生まれる前の話で正しく全てを語れる人物が一人も居ないのだから仕方がない、騎士様が権力もチートで良かった。

　快く（？）和解を受け入れてくれたルネさんには、騎士様に体験してもらったあのサービスに、エステとフランス料理フルコースをプラスしてプレゼント。
　ルネさんが綺麗になって魔王様ご機嫌、甘い言葉をこれでもかと囁きまくってたので多分ルネさんの脳内からアー君の事消えてたね。
　魔王様、ありがとうございます。

　お二方が帰られた後、「ご褒美！」と言って騎士様に寝室に連れ込まれたのはお約束かな。
　……エロかった。
　本当騎士様、エロかった。
　均衡の取れた肉体に滴る汗とか本当に、もうっ！


　それは置いといて。


　魔王様は騎士様の善意でこの世界に身を置いている。
　ルネさんは仲間を裏切ってまで魔王様を助けようとし、暴走の末に死に瀕した所を騎士様に救われ傘下に下る事で命を永らえた。

　騎士様に救われたからこそ生きて再会でき、ラセンという子を授かる事が出来た。
　例えどんなに理不尽な命令でも、二人に騎士様に逆らうという選択肢は存在しない。これ春日さん情報。

　アー君は過去に色々背負っているけれど、すでに前世のあれこれは贖罪を終え、騎士様の許しも得ているし、現世での立場は騎士様のご子息、二人がどうにか出来る相手ではない。
　シャムスが赤ちゃん返りしてしまった事に怒りは感じているものの、なんか可愛いのでこれはこれで悪くないと言ってたのでまぁ問題ない。　

『ほらシャムス、あーん』
『みゃー』

　アー君の興味は世界の命運よりシャムスにあるので、とりあえず我が家と魔王一家は和解したって事で一件落着。
　安心してここで暮らせる。

「アー君僕も！」
『はいイネスもあーん』
「あーん」

　なんだあれ可愛い。
　豹のぬいぐるみとケモミミ幼児と獣人幼児……悶え死にそう。

「プリンも美味しいですけど、上に乗ってるクリームも美味しいです」
『甘さのバランスが絶妙だな』
『みぅ、みぅ！』

　イネスとシャムスの口周りに付いてしまたクリームは四匹が舐めとっている。うん、そう、今日はルークがお休みでいるんです。
　三匹がルークの大きさに合わせてしまうともうどれが誰だか。

　レイアさん情報ではラーシャは獣人の国にイネスを探しに行き、居ないと言われて今は知り合いを訪ね回っているらしい。
　焦っているのは分かるけれど、冷静になってほしい、イネスが帰るのはここだよ？　いや、まぁ過保護な保護者が怖くて無意識に避けてるのかもしれないけどね。
　
「うーん」

　僕が口出していいものか、でもなぁ、せっかくの番が仲違いしたままってのもなぁ。
　ちらりと騎士様を見ると池でのんびり釣りを楽しんでいる。一人で悩んでいても仕方がない、おやつでも差し入れして気分転換しよう。