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ダンジョン探検

第72話

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 その日、帰宅した神薙さんに「しばらくご飯いらない」と言われた。

「……っな、どこか具合が悪いですか!?」
「違うよ」

 だって他の誰でもなく神薙さんが「ご飯いらない」って!
 慌てるあまりお茶と間違えて薬湯を出したけど、普通にいらないと断られた。これ、僕が飲むの?

「明日から暫く魔物を食べまくるんだ」

 高級抹茶を飲みながらうっとりと語られた。

 本気や。
 お腹を空かせて本気で魔物食い散らかすつもりだ。

「生態系のバランスを崩さない程度にしてくださいね」
「ううん、そっちはご遠慮してください言われた。回復魔法のお陰で冒険者の質が上がってきたから、人間でなんとか出来そうなんだって」
「あれ、じゃあどうして?」

 魔物を食べ放題じゃなければなぜ……っは、まさかまた妊娠!?

「あのね、近場にダンジョンが出現して、難易度不明だから調査してくれるなら出てくる魔物全部食べても良いって言われたの」

 違ったか、魔物食べ放題は間違ってなかったけど、ってダンジョン!?
 あのファンタジー小説お馴染みの宝の宝庫の事か!!!!

「うん、昼夜を問わず魔物が湧き出る場所なんだって、地上に出てきたらそれこそ生態系が狂うからその前にあわよくば潰して欲しいって依頼された。報酬は次に周辺でスタンピードが起こった時の優先食事権!!」
「確かに神薙さん向きの報酬ではあるけど、結局ギルドが得している!」

 あのギルド長、美味しいとこどりが特技か!

「お宝出たら持って帰って来るね」
「余裕と理性が残ってたらお願いします」

 どう考えても宝があっても魔物ごと食べちゃいそうだよなぁ、そもそも宝を貰ったところで生かせない!!
 小説の主人公のように売り払って金儲けひゃはー! だけはないなー、だってすでに蔵に宝が詰まっていて今もドリアン達が整頓中だし、むしろ物を増やすなと怒られそうだ。
 おじいちゃんや教会に寄付するとか?
 いや、もっといい方法が、神薙さんが持ってきた場合はドンの一族と物々交換すればいいんだ。

「美味しい物と交換できるといいですね」
「頑張る」

 神薙さんが持ち帰った物なら宝だろうがただの石ころだろうが家宝にしてくれるだろう、僕はそれをドンの一族しか手に入れられないような美味しい物と交換……いや、また海に招待してもらおうかなぁ、浜辺でバーベキュー楽しかった。

「口直しのおやつとかいりますか?」
「いる」
「一人で寂しくないですか、誰か一緒に行きますか?」
「タイガ、野営したい」

 じゃあ野営セットも用意しなきゃ、何を用意すればいいかは刀雲に聞けばいいかな。

『卵ちゃんお留守番?』
「ん、帰るまでお世話してね」
『あい』

 どうやら卵はシャムスが預かるようだ。




 本当に出てこないな、あの子。
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