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ダンジョン探検
第73話
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昼食も食べ終わった穏やかな午後の日の下で、アー君を膝に乗せた騎士様が庭を眺めながら会話をしている。
ぬいぐるみを抱く美形か……あれはあれで良い。
『私もダンジョン行ってみたい』
「だめ」
『強いのは知ってるだろう、行ってみたい』
「力の使い方が不安定でしょ」
『鍛錬も兼ねて行ってみたい』
「おやつあーん」
『あーん……っ違う、私はダンジョン行きたい!』
「はいはい、もう一個」
『うまー』
今日のおやつは焼き栗です。
女神様がマロン系のスイーツ食べたいって大量にくれたので、シンプルに焼き栗にして騎士様に出してみました。
シャムスは池に行ってトラちゃんと分けっこしながら食べてる、保護者にもふもふズとスラちゃん付いているから安心して欲しい。
栗をどうやって増やすか悩んだけど、ドリちゃんが栗を数個、一体のドリアンに渡したと思ったらその子が台所の片隅で立派な栗の木になりました。
しかも周りを覆うトゲトゲなしの栗で、葡萄みたいに一房にわさわさ成ってるんだよね、本来とは違うけどまぁそこは異世界仕様ってことで。
棘の殻がないから、こうちゃんがいつでも食べ放題、雪ちゃんも採っては猪くんと分けて食べているのをよく見かける。
何て言うか、ここって邪神の本拠地な割には弱者に優しい暮らしが出来るよね。
「ははうえー」
「!!!!!」
幼い声に呼ばれて咄嗟に振り向いたら、「あ」って顔でアー君が口元を押さえていた。
「し、舌っ足らずで可愛いいいいい」
『失敗した』
アー君を騎士様から奪い上げ、頭に頬を擦り付ければ「やめよ」と小さな声で抵抗された。けど声が小さかった事を良い事に聞こえない振りしちゃった。
抱っこできるサイズのぬいぐるみ、あああミルクの匂いに、僕の頬を押し返すぷにぷにの肉球! 至福! 癒しタイム!!
『っく、こうなる事が分かっていたのに!』
「はぁアー君ったら可愛いなぁもう」
「アルジュナを可愛がる樹も可愛いよ」
「アー君、アー君、もう一回呼んで?」
『いやだ!』
「もう一回、可愛いお声で呼んで欲しいなー」
「……聞いてないね」
なかなか手強い、奥義を発動するか。
「呼んでくれたらアー君の好きなおやつを作ってあげる」
「ははうえ!」
チョロい。
「月餅ピザ!! チーズ多め!!」
前に好奇心で作ったあれ、気に入ったんだ光栄です。
でも実はまだ試作品が残っているんだよね、という訳で取り出してアー君に上げたらとてもいい笑顔を頂きました。
尻尾千切れないか心配になっちゃう。
「ははうえ! ダンジョン行きたい!」
「うんいいよ」
「樹!?」
「騎士様、案内お願いしますね」
「俺が連れてくの!?」
「夕食のおかず、サービスしますから」
どちらにしろそろそろ一度様子を見に行く予定だったんだよね、おやつも尽きる頃だろうし、タイガの様子も見たい、なにより――ダンジョン入ってみたい!
「そうと決まれば差し入れを大量生産しなきゃ! アー君、もふもふズと遊んでてね!」
「ん」
月餅を食べながらアー君が手を振り返してくれた。デレ期が来ました!
よーし張り切っておやつ作るぞ!
ぬいぐるみを抱く美形か……あれはあれで良い。
『私もダンジョン行ってみたい』
「だめ」
『強いのは知ってるだろう、行ってみたい』
「力の使い方が不安定でしょ」
『鍛錬も兼ねて行ってみたい』
「おやつあーん」
『あーん……っ違う、私はダンジョン行きたい!』
「はいはい、もう一個」
『うまー』
今日のおやつは焼き栗です。
女神様がマロン系のスイーツ食べたいって大量にくれたので、シンプルに焼き栗にして騎士様に出してみました。
シャムスは池に行ってトラちゃんと分けっこしながら食べてる、保護者にもふもふズとスラちゃん付いているから安心して欲しい。
栗をどうやって増やすか悩んだけど、ドリちゃんが栗を数個、一体のドリアンに渡したと思ったらその子が台所の片隅で立派な栗の木になりました。
しかも周りを覆うトゲトゲなしの栗で、葡萄みたいに一房にわさわさ成ってるんだよね、本来とは違うけどまぁそこは異世界仕様ってことで。
棘の殻がないから、こうちゃんがいつでも食べ放題、雪ちゃんも採っては猪くんと分けて食べているのをよく見かける。
何て言うか、ここって邪神の本拠地な割には弱者に優しい暮らしが出来るよね。
「ははうえー」
「!!!!!」
幼い声に呼ばれて咄嗟に振り向いたら、「あ」って顔でアー君が口元を押さえていた。
「し、舌っ足らずで可愛いいいいい」
『失敗した』
アー君を騎士様から奪い上げ、頭に頬を擦り付ければ「やめよ」と小さな声で抵抗された。けど声が小さかった事を良い事に聞こえない振りしちゃった。
抱っこできるサイズのぬいぐるみ、あああミルクの匂いに、僕の頬を押し返すぷにぷにの肉球! 至福! 癒しタイム!!
『っく、こうなる事が分かっていたのに!』
「はぁアー君ったら可愛いなぁもう」
「アルジュナを可愛がる樹も可愛いよ」
「アー君、アー君、もう一回呼んで?」
『いやだ!』
「もう一回、可愛いお声で呼んで欲しいなー」
「……聞いてないね」
なかなか手強い、奥義を発動するか。
「呼んでくれたらアー君の好きなおやつを作ってあげる」
「ははうえ!」
チョロい。
「月餅ピザ!! チーズ多め!!」
前に好奇心で作ったあれ、気に入ったんだ光栄です。
でも実はまだ試作品が残っているんだよね、という訳で取り出してアー君に上げたらとてもいい笑顔を頂きました。
尻尾千切れないか心配になっちゃう。
「ははうえ! ダンジョン行きたい!」
「うんいいよ」
「樹!?」
「騎士様、案内お願いしますね」
「俺が連れてくの!?」
「夕食のおかず、サービスしますから」
どちらにしろそろそろ一度様子を見に行く予定だったんだよね、おやつも尽きる頃だろうし、タイガの様子も見たい、なにより――ダンジョン入ってみたい!
「そうと決まれば差し入れを大量生産しなきゃ! アー君、もふもふズと遊んでてね!」
「ん」
月餅を食べながらアー君が手を振り返してくれた。デレ期が来ました!
よーし張り切っておやつ作るぞ!
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