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第2章 ラメール王国
14.ダンジョン攻略開始
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離島のダンジョン行きの船に乗ること数十分、その中には俺達だけでなく多くの冒険者の姿があった。
その島へ着けばまず目に映ったのは巨大な遺跡のダンジョンで圧倒されるほどの大きさであった。
「こんなに大きいなんて聞いてないんだけど…そりゃあ今まで攻略出来た人がいない訳よ!」
「本当ですね。僕の想定も上回りました」
「ルルにぃ、行くの…やめとく?」
ユリアはここに来てようやく踏破出来た者が何故いないのか分かったようだ。一方ルルも思っていたより踏破するのが難しそうだと感じたのか表情は若干硬くなっていた。
「いや!大丈夫だよ。少し想定を上回っただけさ、心配ない」
だが妹のララが心配そうに手を掴んで問いかければその手を力強く握り返して気丈に振る舞っていた。
「取り敢えず中に入ってみないことには何も分からないだろう…攻略できるかどうかもな」
「そうね…リオの言う通りだわ。行ってみるしかないわね!」
俺たちは迷っていても仕方ないと考え、他の冒険者に続いてダンジョンの中へ入ってみることにした。俺たちより前の冒険者も含め全員入る前に”何人だ?”と書かれた壁画の問いに答えていた。
このダンジョン面白いことに答えた人数のメンバー同士は同じ場所からスタート出来るが、それ以外の冒険者とはダンジョン内で出会うことが無いように造られているようだ。
俺達もそれに習って「4人だ」と答えればその瞬間足元が光ってダンジョン内へワープしていた。そこは天井も床も周りが全て切り揃えられた石で囲まれ光がなく狭い場所であった。
「光の球体」
ユリアが魔法なのか言葉を発した途端直径約12cm程の光を放つ球体が彼女の手のひらの上に現れその場が明るく照らされた。
「僕達は暗い場所でも普通に見えるのですが、明かりがある方が嬉しいのでありがとうございます!」
「あ、ありがとうござり…ございます」
噛んでしまって恥ずかしいのか最後はごにょごにょと小さい声で下を向いて耳がショボーンと気持ちを表すかのように垂れていた。
ユリアのお陰で周りが明るく照らされたことで俺たちの居る場所の後ろは行き止まりで進めず、一本道なのか前にしか進めない感じだった。
「ありがとうユリア。先へ進もう」
「ええ!道も1つしか無いようだし進みましょ」
1つしか無い道を先に進んで行くと二手に道が別れた場所へと来た。どちらも明かりに照らされた先に広がる景色は同じようだが、果たしてどちらへ進むべきか…
「うーん。私の勘的には左かしら…」
「僕の感じ方や匂い的には右ですね」
ユリアとルルで意見が割れた。ルルには悪いがいつもなら当たる勘を信じて左と速攻で決めていたのだが、今回はどうも自信がない様子だ。おそらくユリア自身もハッキリとした感じでは無さそうに見える。
「すまないがルル、左でもいいか…?」
「…構いませんよ。行ったら分かることですし行ってみましょう」
判断に迷った俺は最終的にユリアを信じることにして左を選んだ。ルルは少し間を置いたものの左へ行くことを承諾してくれた。
ララは何も言わずただ左の道をじっと見つめていただけであった。まるでその先に何かがあるか或いは居るとばかりに…
「あ、それを踏むと危ないですよ…」
その先を進んでいる時、急にルルがそう声を上げたのと同時に先頭を歩いていたユリアが次の1歩を踏み出し石の床を踏めばその床が”ガコンッ”と音を立てて2cm程沈んだ。
次の瞬間天井や道の先から無数の矢が俺達に向かって飛んできた。
「ララ任せたよ」
「うん、分かった…」
俺がどうしようか逡巡している内にルルがまるで何が起こるか分かっていたかのように”ララ”と呼び、それだけで何をしたら良いのか2人だけで通じ合っているようでララは腕輪に手を当てて”結界壁を使って俺達に矢が当たらないように全て防いでくれた。
「すまない2人とも助かった」
「いえいえ、大丈夫ですよ!罠を踏んでしまう事はよくあることですから…僕がもう少し早く伝えれば良かったですね」
「本当にありがとう。罠があるだなんて知らなかったわ…」
もしかしてルルが右の方がいいと言っていたのはこの罠があったからなのか…分からないが踏む前に罠を見抜いていた洞察力は凄いな。それにしても今日のユリアの勘は調子が悪いのかもしれない。
「確証はなくて多分なんだけど…私の勘ダンジョン内だと力を発揮しないのかも…?さっきは勘というより殆ど適当で左って言っちゃったらこれだしね」
全く…勘だと思って信じた俺は何だったんだ。それならそうともっと早く言って欲しかった。ならこっちの道は不正解で右が正解だなと考え、俺達は来た道を引き返して2つの分かれ道の所まで戻って右へと進み直した。
右は先程のような罠もなく終始何も起こることなく安全に先に進めた。突き当たりに辿り着けば上へと登る梯子がありそれを登って上の階に進んだ。
梯子を登った先の景色は先程とうってかわり外からは想像も出来なかった砂漠が広がっていた。
「これは一体どういうこと…フロア事に景色も変わるってことなのかしら?」
「多分そのようですね。それにしても見事な再現度の砂漠ですね。辺り一面砂しか見えないなんて…」
「うん…ルルにぃ、魔物もいる…ね」
俺とユリアは驚きの方が勝っていたがルルとララはそれほどなのか冷静に辺りを観察している様子であった。
「おい!魔物が居るかどうかも分かるのか!?」
「ええ、僕達獣人は他の種族よりも嗅覚聴力がいいので」
「それって凄い事じゃない!パーティーに獣人1人居るだけで助かるわね」
どうやら獣人とは思っていたよりも色々と優れているようだ。これはユリアの言うように共に旅する仲間に欲しいかもな…ダンジョン攻略が終わったら2人を誘ってみるか…
その島へ着けばまず目に映ったのは巨大な遺跡のダンジョンで圧倒されるほどの大きさであった。
「こんなに大きいなんて聞いてないんだけど…そりゃあ今まで攻略出来た人がいない訳よ!」
「本当ですね。僕の想定も上回りました」
「ルルにぃ、行くの…やめとく?」
ユリアはここに来てようやく踏破出来た者が何故いないのか分かったようだ。一方ルルも思っていたより踏破するのが難しそうだと感じたのか表情は若干硬くなっていた。
「いや!大丈夫だよ。少し想定を上回っただけさ、心配ない」
だが妹のララが心配そうに手を掴んで問いかければその手を力強く握り返して気丈に振る舞っていた。
「取り敢えず中に入ってみないことには何も分からないだろう…攻略できるかどうかもな」
「そうね…リオの言う通りだわ。行ってみるしかないわね!」
俺たちは迷っていても仕方ないと考え、他の冒険者に続いてダンジョンの中へ入ってみることにした。俺たちより前の冒険者も含め全員入る前に”何人だ?”と書かれた壁画の問いに答えていた。
このダンジョン面白いことに答えた人数のメンバー同士は同じ場所からスタート出来るが、それ以外の冒険者とはダンジョン内で出会うことが無いように造られているようだ。
俺達もそれに習って「4人だ」と答えればその瞬間足元が光ってダンジョン内へワープしていた。そこは天井も床も周りが全て切り揃えられた石で囲まれ光がなく狭い場所であった。
「光の球体」
ユリアが魔法なのか言葉を発した途端直径約12cm程の光を放つ球体が彼女の手のひらの上に現れその場が明るく照らされた。
「僕達は暗い場所でも普通に見えるのですが、明かりがある方が嬉しいのでありがとうございます!」
「あ、ありがとうござり…ございます」
噛んでしまって恥ずかしいのか最後はごにょごにょと小さい声で下を向いて耳がショボーンと気持ちを表すかのように垂れていた。
ユリアのお陰で周りが明るく照らされたことで俺たちの居る場所の後ろは行き止まりで進めず、一本道なのか前にしか進めない感じだった。
「ありがとうユリア。先へ進もう」
「ええ!道も1つしか無いようだし進みましょ」
1つしか無い道を先に進んで行くと二手に道が別れた場所へと来た。どちらも明かりに照らされた先に広がる景色は同じようだが、果たしてどちらへ進むべきか…
「うーん。私の勘的には左かしら…」
「僕の感じ方や匂い的には右ですね」
ユリアとルルで意見が割れた。ルルには悪いがいつもなら当たる勘を信じて左と速攻で決めていたのだが、今回はどうも自信がない様子だ。おそらくユリア自身もハッキリとした感じでは無さそうに見える。
「すまないがルル、左でもいいか…?」
「…構いませんよ。行ったら分かることですし行ってみましょう」
判断に迷った俺は最終的にユリアを信じることにして左を選んだ。ルルは少し間を置いたものの左へ行くことを承諾してくれた。
ララは何も言わずただ左の道をじっと見つめていただけであった。まるでその先に何かがあるか或いは居るとばかりに…
「あ、それを踏むと危ないですよ…」
その先を進んでいる時、急にルルがそう声を上げたのと同時に先頭を歩いていたユリアが次の1歩を踏み出し石の床を踏めばその床が”ガコンッ”と音を立てて2cm程沈んだ。
次の瞬間天井や道の先から無数の矢が俺達に向かって飛んできた。
「ララ任せたよ」
「うん、分かった…」
俺がどうしようか逡巡している内にルルがまるで何が起こるか分かっていたかのように”ララ”と呼び、それだけで何をしたら良いのか2人だけで通じ合っているようでララは腕輪に手を当てて”結界壁を使って俺達に矢が当たらないように全て防いでくれた。
「すまない2人とも助かった」
「いえいえ、大丈夫ですよ!罠を踏んでしまう事はよくあることですから…僕がもう少し早く伝えれば良かったですね」
「本当にありがとう。罠があるだなんて知らなかったわ…」
もしかしてルルが右の方がいいと言っていたのはこの罠があったからなのか…分からないが踏む前に罠を見抜いていた洞察力は凄いな。それにしても今日のユリアの勘は調子が悪いのかもしれない。
「確証はなくて多分なんだけど…私の勘ダンジョン内だと力を発揮しないのかも…?さっきは勘というより殆ど適当で左って言っちゃったらこれだしね」
全く…勘だと思って信じた俺は何だったんだ。それならそうともっと早く言って欲しかった。ならこっちの道は不正解で右が正解だなと考え、俺達は来た道を引き返して2つの分かれ道の所まで戻って右へと進み直した。
右は先程のような罠もなく終始何も起こることなく安全に先に進めた。突き当たりに辿り着けば上へと登る梯子がありそれを登って上の階に進んだ。
梯子を登った先の景色は先程とうってかわり外からは想像も出来なかった砂漠が広がっていた。
「これは一体どういうこと…フロア事に景色も変わるってことなのかしら?」
「多分そのようですね。それにしても見事な再現度の砂漠ですね。辺り一面砂しか見えないなんて…」
「うん…ルルにぃ、魔物もいる…ね」
俺とユリアは驚きの方が勝っていたがルルとララはそれほどなのか冷静に辺りを観察している様子であった。
「おい!魔物が居るかどうかも分かるのか!?」
「ええ、僕達獣人は他の種族よりも嗅覚聴力がいいので」
「それって凄い事じゃない!パーティーに獣人1人居るだけで助かるわね」
どうやら獣人とは思っていたよりも色々と優れているようだ。これはユリアの言うように共に旅する仲間に欲しいかもな…ダンジョン攻略が終わったら2人を誘ってみるか…
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