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第十八部・麻衣と年越し 編
アレのサイズどう?
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香澄は麻衣と一緒にお風呂に入り、体を洗いながら尋ねる。
「さっき、ご飯の時どうしたの?」
麻衣は先に体と髪を洗って、湯船に浸かっていた。
彼女の髪は肩につくぐらいの長さなので、ギリギリ纏められずお湯につかないか気にしている。
「マ、マティアスさんが、足でいきなりふくらはぎに触ってくるんだもん。くすぐったいし、びっくりした」
「わぁお! マティアスさん、積極的!」
香澄は内心、彼に拍手を送った。
「わ、私そういう事をされたためしがないから、ほんっとうにびっくりして……。心臓止まるかと思った。外国の人って、日常的にああいう事をやってるの?」
言われて香澄は「んー?」と首をひねる。
佑もテーブルの下で悪戯するぐらいなら、普通にやっている。
「人に寄りけりなんじゃないかな? ……っていうか、さっき麻衣はマティアスさんそっちのけで話してたから、嫉妬したのかも」
ニヤァ、と笑った香澄に、麻衣は呆れて溜め息をつく。
「だったら普通に話し掛けてくればいいじゃん。気を引きたいからって、あんな……」
「マティアスさんって、積極的に主導権を握る人じゃないでしょ? 一対一になったらきちんと会話をしてくれるけど、他にお喋りする人がいるなら黙っちゃうタイプだと思う。だからついアピールしちゃったとか」
香澄は体の泡をシャワーで流し、バスタブに入る。
「マティアスさんとのデート楽しみだね」
「もー! 考えないようにしてたのに~!」
ずっと気になっている事を言うと、麻衣がわっと両手で顔を覆った。
「んふふ。いいじゃないか、麻衣くん。思いっきり照れた上で青春のデートを楽しみたまえ」
「何キャラ」
「んふふふふふ」
御劔邸のバスタブはゆったりサイズなので、こうして麻衣と一緒に入れてありがたい。
札幌時代、頻繁に麻衣とスーパー銭湯に行って、お風呂に浸かりながらおしゃべりしていた。
十月に帰省した時は定山渓に行ったが、彼女とは以前にも温泉に行っている。
しかしなかなか女友達とお風呂に入る機会はないので、こうして麻衣と一緒にお風呂に入れるのが嬉しかった。
「ねぇ、マティアスさんの事、どう思ってる?」
「んー? いやぁ……。どうもこうも……。格好いいからドキドキするし、アピールも躊躇わない人だから、どうしたらいいか分からない。すっごい照れちゃって、〝私〟ってキャラじゃないみたい」
「〝キャラ〟なんてどうでもいいんだよ。……ねぇ、マティアスさんとのお付き合い、アリ?」
茶化すと彼女が照れてしまうのは分かっているので、真面目なトーンで尋ねてみる。
「どうかなぁ……。見た目が格好いいからキドキしてるのは、恋愛初期の幻想だと思う。いざ付き合ったとして、言葉は大丈夫にしても、文化的な考え方の違い、価値観の差とか問題が出てきそう」
麻衣も真面目に考えているらしく、彼女の意見に頷く。
「確かに。……でも、マティアスさんって色々合わせてくれそうだけどね」
「それが素ならいいんだけど、無理して合わせてくれるなら申し訳ないよ」
「気持ちは分かるけど、マティアスさんって他人を気遣って合わせなさそう。誰に対してもマイペースを貫くっていうか」
「なるほどねぇ。そういう感じはするけど……」
そこまで会話が続いたあと、間が空く。
香澄は特に焦らず、ぼんやりと温まる。
だが、麻衣が口ごもりながら話題を振ってきた。
「と、ところでさ。すっごい下世話な質問して申し訳ないけど、御劔さんってアレのサイズどう?」
「ぶふっ」
いきなりすぎる質問に、香澄は噴いた。
「どっ、どうしたの!?」
「い、いや! ごめん! 変な意味じゃないの! ……いや、もし、もしもだよ? マティアスさんと〝そういう〟仲になった時、〝そういう〟事になるかもしれないでしょ? ド、ドイツの人って大きいのかな……って。……ほら、私初めてだし……。ちょっと怖くて……」
赤面した麻衣は、かなり先の事まで妄想してしまっているようだ。
(か、可愛い……!)
香澄は目の前の乙女に悶え、ギュッと拳を握った。
「さっき、ご飯の時どうしたの?」
麻衣は先に体と髪を洗って、湯船に浸かっていた。
彼女の髪は肩につくぐらいの長さなので、ギリギリ纏められずお湯につかないか気にしている。
「マ、マティアスさんが、足でいきなりふくらはぎに触ってくるんだもん。くすぐったいし、びっくりした」
「わぁお! マティアスさん、積極的!」
香澄は内心、彼に拍手を送った。
「わ、私そういう事をされたためしがないから、ほんっとうにびっくりして……。心臓止まるかと思った。外国の人って、日常的にああいう事をやってるの?」
言われて香澄は「んー?」と首をひねる。
佑もテーブルの下で悪戯するぐらいなら、普通にやっている。
「人に寄りけりなんじゃないかな? ……っていうか、さっき麻衣はマティアスさんそっちのけで話してたから、嫉妬したのかも」
ニヤァ、と笑った香澄に、麻衣は呆れて溜め息をつく。
「だったら普通に話し掛けてくればいいじゃん。気を引きたいからって、あんな……」
「マティアスさんって、積極的に主導権を握る人じゃないでしょ? 一対一になったらきちんと会話をしてくれるけど、他にお喋りする人がいるなら黙っちゃうタイプだと思う。だからついアピールしちゃったとか」
香澄は体の泡をシャワーで流し、バスタブに入る。
「マティアスさんとのデート楽しみだね」
「もー! 考えないようにしてたのに~!」
ずっと気になっている事を言うと、麻衣がわっと両手で顔を覆った。
「んふふ。いいじゃないか、麻衣くん。思いっきり照れた上で青春のデートを楽しみたまえ」
「何キャラ」
「んふふふふふ」
御劔邸のバスタブはゆったりサイズなので、こうして麻衣と一緒に入れてありがたい。
札幌時代、頻繁に麻衣とスーパー銭湯に行って、お風呂に浸かりながらおしゃべりしていた。
十月に帰省した時は定山渓に行ったが、彼女とは以前にも温泉に行っている。
しかしなかなか女友達とお風呂に入る機会はないので、こうして麻衣と一緒にお風呂に入れるのが嬉しかった。
「ねぇ、マティアスさんの事、どう思ってる?」
「んー? いやぁ……。どうもこうも……。格好いいからドキドキするし、アピールも躊躇わない人だから、どうしたらいいか分からない。すっごい照れちゃって、〝私〟ってキャラじゃないみたい」
「〝キャラ〟なんてどうでもいいんだよ。……ねぇ、マティアスさんとのお付き合い、アリ?」
茶化すと彼女が照れてしまうのは分かっているので、真面目なトーンで尋ねてみる。
「どうかなぁ……。見た目が格好いいからキドキしてるのは、恋愛初期の幻想だと思う。いざ付き合ったとして、言葉は大丈夫にしても、文化的な考え方の違い、価値観の差とか問題が出てきそう」
麻衣も真面目に考えているらしく、彼女の意見に頷く。
「確かに。……でも、マティアスさんって色々合わせてくれそうだけどね」
「それが素ならいいんだけど、無理して合わせてくれるなら申し訳ないよ」
「気持ちは分かるけど、マティアスさんって他人を気遣って合わせなさそう。誰に対してもマイペースを貫くっていうか」
「なるほどねぇ。そういう感じはするけど……」
そこまで会話が続いたあと、間が空く。
香澄は特に焦らず、ぼんやりと温まる。
だが、麻衣が口ごもりながら話題を振ってきた。
「と、ところでさ。すっごい下世話な質問して申し訳ないけど、御劔さんってアレのサイズどう?」
「ぶふっ」
いきなりすぎる質問に、香澄は噴いた。
「どっ、どうしたの!?」
「い、いや! ごめん! 変な意味じゃないの! ……いや、もし、もしもだよ? マティアスさんと〝そういう〟仲になった時、〝そういう〟事になるかもしれないでしょ? ド、ドイツの人って大きいのかな……って。……ほら、私初めてだし……。ちょっと怖くて……」
赤面した麻衣は、かなり先の事まで妄想してしまっているようだ。
(か、可愛い……!)
香澄は目の前の乙女に悶え、ギュッと拳を握った。
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