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第十八部・麻衣と年越し 編
彼女の幸せを心底願う
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「御劔さんってクォーターでしょ? 純粋なドイツ人ではないけど、サイズ違うのかな? って思って……」
親友の悩みにはきちんと対応したく、香澄は改めて佑のアソコについて考えてみる。
――考える間もなく、大きい。
心の中で「うむ」と頷いたあと、香澄は改めて麻衣の質問に向き直る。
「……ご存じの通り、私って経験したのが健二くんしかいないんだよね。で、健二くんの時もあんまり現実を見ていなかったっていうか……」
「ごめん、いいよ。つらい事を思いだそうとしなくていい」
麻衣は慌てて首を横に振るが、香澄は「ううん」と彼女の手を握る。
「今のはただの前置きだから大丈夫。その上で、一人しか比べる人がいないけど、お、…………大きい……と、思います」
噛み締めるように言い、耳まで赤くなる。
「痛い?」
麻衣は茶化さずに真剣に尋ねてくる。
「うーん……。無理矢理入れられたら当然痛いと思うけど、たっぷり前戯して濡らしてくれるから、すっごい濡れてたらそんなに痛くないと思うの。佑さんと初めてした時、セカンドヴァージンの状態だったけど、痛さより気持ちよさのほうが強かった」
「そっか……」
麻衣は少し照れながらも何度か小さく頷く。
やがて、また口を開いた。
「……マティアスさんって、女性にどう接する人なんだろう? 彼の女性遍歴とか聞いた事ある?」
「いやぁー……。そこまで深く聞く関係じゃないな……。でも、元カノの話は聞いた事ないよ。あれだけ色んな事をズバズバ言うアロイスさんとクラウスさんも、マティアスさんの女性関係を口にしなかったし」
言いながら改めて、双子は佑の過去についてはからかったが、マティアスの女性関係については、何も言わなかったと思った。
「でも、あのルックスで彼女がいなかったなんて、信じないよ?」
「それは私も思うけど……。私たちの知らない所で色々あった……可能性はある。でも、佑さんも一緒だよ」
「ん?」
一緒と言われ、麻衣は顔を上げる。
「佑さんもマティアスさんも三十路だよ? 逆に女性経験がなかったらヤバイと思う」
「うん、それは思う」
「でしょ?」
香澄は「うん」と頷いてみせる。
それから改めて佑について思いを馳せた。
「自戒を込めてなんだけど、三十路の男性相手だと、過去に嫉妬するだけ無駄なんだよね。向こうは結婚を視野に入れて今後の事を考えてくれてる。それを信じて、最後の女になる覚悟をしなきゃいけないの。佑さんが色んな女性と付き合ったとしても、『今は私なんだ』って信じる。グチグチ言ってもどうしようもない過去を、気にしすぎたら負けだなって思う」
「言葉に重みがあるねぇ~。昔の女の事で、喧嘩でもした?」
鋭く察されて、香澄は苦笑いする。
「正直、何回かは。……でも佑さんは大人の対応をしてくれた。結局、子供っぽく嫉妬してる自分が情けなくなって終わり」
「そっか。私はまだマティアスさんの過去に嫉妬しないけど、付き合ってると嫉妬ってするもん?」
尋ねられ、香澄はもだもだと体を揺する。
「しちゃう~。お仕事だって分かっていても、女性と話している姿を見ると気になっちゃう。佑さんの周りって、公私ともに綺麗な女性が多いから、正直つらい。でもいちいち嫉妬して絡んでいたら心が狭い女って思われるから、なるべく気にしないようにしてるけど」
「はぁ~、全方面の女を気にしちゃうのか。それは気疲れしそうだね」
麻衣は溜め息をつき、よしよしと香澄の頭を撫でてくる。
「……嫉妬してるなんて、佑さんが喜ぶから絶対言わないんだけど」
「あはは! 喜ぶんだ!? さすがだね、御劔さん」
こんな、惚気ているんだか愚痴っているんだか分からない事を言えるのも、麻衣だけだ。
「良かったね、香澄、幸せそうで」
麻衣はとても優しい顔で微笑む。
「十月に会った時は追い詰められた顔をしてたから、凄く心配してたんだよ」
「ありがとう。もう大丈夫だよ」
定山渓の温泉で色んな事を話をした時、麻衣は一緒に泣いてくれた。
仲のいい友達は他にもいるけれど、ここまですべてを打ち明け、信じられるのは麻衣だけだ。
だからこそ、彼女の幸せを心底願っている。
「今は麻衣の話でしょ? エッチの心配するっていう事は、マティアスさんと付き合ってもいいっていう事?」
「う……うーん。まだ……分かんないけど。……付き合った事ないから、色々考え過ぎちゃう訳よ」
麻衣は「あはは」と笑って照れくささを誤魔化す。
親友の悩みにはきちんと対応したく、香澄は改めて佑のアソコについて考えてみる。
――考える間もなく、大きい。
心の中で「うむ」と頷いたあと、香澄は改めて麻衣の質問に向き直る。
「……ご存じの通り、私って経験したのが健二くんしかいないんだよね。で、健二くんの時もあんまり現実を見ていなかったっていうか……」
「ごめん、いいよ。つらい事を思いだそうとしなくていい」
麻衣は慌てて首を横に振るが、香澄は「ううん」と彼女の手を握る。
「今のはただの前置きだから大丈夫。その上で、一人しか比べる人がいないけど、お、…………大きい……と、思います」
噛み締めるように言い、耳まで赤くなる。
「痛い?」
麻衣は茶化さずに真剣に尋ねてくる。
「うーん……。無理矢理入れられたら当然痛いと思うけど、たっぷり前戯して濡らしてくれるから、すっごい濡れてたらそんなに痛くないと思うの。佑さんと初めてした時、セカンドヴァージンの状態だったけど、痛さより気持ちよさのほうが強かった」
「そっか……」
麻衣は少し照れながらも何度か小さく頷く。
やがて、また口を開いた。
「……マティアスさんって、女性にどう接する人なんだろう? 彼の女性遍歴とか聞いた事ある?」
「いやぁー……。そこまで深く聞く関係じゃないな……。でも、元カノの話は聞いた事ないよ。あれだけ色んな事をズバズバ言うアロイスさんとクラウスさんも、マティアスさんの女性関係を口にしなかったし」
言いながら改めて、双子は佑の過去についてはからかったが、マティアスの女性関係については、何も言わなかったと思った。
「でも、あのルックスで彼女がいなかったなんて、信じないよ?」
「それは私も思うけど……。私たちの知らない所で色々あった……可能性はある。でも、佑さんも一緒だよ」
「ん?」
一緒と言われ、麻衣は顔を上げる。
「佑さんもマティアスさんも三十路だよ? 逆に女性経験がなかったらヤバイと思う」
「うん、それは思う」
「でしょ?」
香澄は「うん」と頷いてみせる。
それから改めて佑について思いを馳せた。
「自戒を込めてなんだけど、三十路の男性相手だと、過去に嫉妬するだけ無駄なんだよね。向こうは結婚を視野に入れて今後の事を考えてくれてる。それを信じて、最後の女になる覚悟をしなきゃいけないの。佑さんが色んな女性と付き合ったとしても、『今は私なんだ』って信じる。グチグチ言ってもどうしようもない過去を、気にしすぎたら負けだなって思う」
「言葉に重みがあるねぇ~。昔の女の事で、喧嘩でもした?」
鋭く察されて、香澄は苦笑いする。
「正直、何回かは。……でも佑さんは大人の対応をしてくれた。結局、子供っぽく嫉妬してる自分が情けなくなって終わり」
「そっか。私はまだマティアスさんの過去に嫉妬しないけど、付き合ってると嫉妬ってするもん?」
尋ねられ、香澄はもだもだと体を揺する。
「しちゃう~。お仕事だって分かっていても、女性と話している姿を見ると気になっちゃう。佑さんの周りって、公私ともに綺麗な女性が多いから、正直つらい。でもいちいち嫉妬して絡んでいたら心が狭い女って思われるから、なるべく気にしないようにしてるけど」
「はぁ~、全方面の女を気にしちゃうのか。それは気疲れしそうだね」
麻衣は溜め息をつき、よしよしと香澄の頭を撫でてくる。
「……嫉妬してるなんて、佑さんが喜ぶから絶対言わないんだけど」
「あはは! 喜ぶんだ!? さすがだね、御劔さん」
こんな、惚気ているんだか愚痴っているんだか分からない事を言えるのも、麻衣だけだ。
「良かったね、香澄、幸せそうで」
麻衣はとても優しい顔で微笑む。
「十月に会った時は追い詰められた顔をしてたから、凄く心配してたんだよ」
「ありがとう。もう大丈夫だよ」
定山渓の温泉で色んな事を話をした時、麻衣は一緒に泣いてくれた。
仲のいい友達は他にもいるけれど、ここまですべてを打ち明け、信じられるのは麻衣だけだ。
だからこそ、彼女の幸せを心底願っている。
「今は麻衣の話でしょ? エッチの心配するっていう事は、マティアスさんと付き合ってもいいっていう事?」
「う……うーん。まだ……分かんないけど。……付き合った事ないから、色々考え過ぎちゃう訳よ」
麻衣は「あはは」と笑って照れくささを誤魔化す。
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