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親友の恋 編
この縁を大切にしよう
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「恵ちゃんって、まっすぐな印象なんだよ。他の人は綿飴とか溶けたチョコレートみたいな感じかな。黙っていると無許可でこっちの領域に侵入してきて、ベタベタ体にくっつく。でも恵ちゃんは目の前でスッと立っていて、そこからこっちに侵入して来ない。だから安心して対峙できるんだ」
「……はぁ、よく分かりません」
頭のいい人の言う事って、時々とても抽象的だ。独自の世界観があるんだろうな。
「……でも、ベタベタした関係が嫌いっていうのは分かったので、適度な距離を保てるよう気をつけますね」
そう言うと、涼さんは少し焦ったように言った。
「いや、そうじゃない。恵ちゃんは素がそれだから、頼られても嫌じゃないんだ。俺を利用してやろうっていう下心ありきじゃないって、もう分かってるから。君はそのままでいいよ」
自分には〝女らしさ〟というものが不足していると思っていたので、「そのままでいい」と言われて少し楽になった。
朱里という〝理想〟を知っているからこそ、私の中で〝素敵な女性〟と言えば彼女を意味するようになっていた。
髪が長くて芸能人顔負けの美人で、胸が大きくて性格も可愛らしい。
自分とはかけ離れたタイプだから、余計に朱里に憧れ、彼女の側にいたいと願うようになっていた。
なのに、色気の欠片もない私を「いい」という人がいるなんて、とても不思議な気持ちだ。
「涼さんって変な人ですね。さすがゲテモノ好き」
冗談のつもりで言ったけれど、私の言葉を聞き、それまで微笑んでいた彼がスッと真顔になった。
「そういう事を言わないでほしい」
「え」
雰囲気が変わったので、私は「まずい事を言ったかな」と焦る。
涼さんはヘッドボードにもたれかかっていた上体を起こし、ベッドの上で胡座をかいて言う。
「恵ちゃんはゲテモノなんかじゃないよ。充分に魅力的だ。今まで男と縁がなかったのは、恵ちゃんが望んでいなかったからじゃないの? 可愛いし、告白されたり『付き合おう』とは言われたでしょ」
すぐ別れてしまったけど、確かに元彼と言える人は一応いたので、おずおずと頷く。
「男女関係ってタイミングだ。どれだけ魅力的でも、本人に付き合う気がなかったり、恋をする気持ちになれていなかったら縁がない。……俺もある意味ゲテモノだけど、その気になったら付き合えていた。でも、興味を持たなかった。その意味では俺たち一緒だと思うんだ」
美貌の御曹司に「同じ」と言われ、私はカーッと赤面する。
「俺たちは今、ビビッときて縁ができた。人の縁っていうものが目に見えない線みたいなものなら、その先端が今この辺でカチッと嵌まってるのかな」
そう言って、涼さんは私と彼の間にある空間を指さした。
別の人が言っていたら「キザ……。うわあ……」と思っただろう言葉も、涼さんが言うとすんなり受け止め、なんなら照れてしまっている自分がいる。
「この縁を大切にしよう。色々、やってみないと分からない事は多くあるけど、慎重に試していく価値はあると思う」
「……そう、ですね」
いつになくしおらしくなった私は頷くと、照れ隠しのために着替えを持って立ちあがった。
「お、遅くなるのでシャワー入ります」
「うん、いってらっしゃい」
ニコッと笑った涼さんは、約束通りまたイヤフォンを耳に入れ、スマホに目を落とした。
そんな彼をチラッと見た私は、そそくさと洗面所に入り、ドアの外を意識しながら服を脱ぎ始める。
服をすべて脱ぎ去った私は、メイクを落としてから大きな鏡に映った自分を見た。
ちょっと強気そうだけど平凡な顔。活発そうなボブヘア。体はスレンダーと言えば聞こえがいいけど、女性らしい丸みがあまりない。
胸に触ってみるけれど、骨格ナチュラルのBカップはささやかなものだ。
下着売り場のお姉さんに見てもらって、一番フィットする下着をつけているけれど、谷間とは縁が遠い。
朱里の下着姿を初めて見た時は、魅力的な谷間に感動したぐらいだ。
(……失望されそう)
溜め息をついた私は、生まれて初めて「胸が大きかったらいいのに」と願った。
(……朱里って美胸のために色々やってるって言ってたっけ。……秘訣聞いてみようかな)
どうやら豆乳を飲んだり、胸を支える胸筋を鍛える体操をしたり、マッサージクリームを塗っているらしい。
(胸が大きくなるクリームってあるんだろうか)
私は悶々とそんな事を考えながら、バスルームに入った。
「……はぁ、よく分かりません」
頭のいい人の言う事って、時々とても抽象的だ。独自の世界観があるんだろうな。
「……でも、ベタベタした関係が嫌いっていうのは分かったので、適度な距離を保てるよう気をつけますね」
そう言うと、涼さんは少し焦ったように言った。
「いや、そうじゃない。恵ちゃんは素がそれだから、頼られても嫌じゃないんだ。俺を利用してやろうっていう下心ありきじゃないって、もう分かってるから。君はそのままでいいよ」
自分には〝女らしさ〟というものが不足していると思っていたので、「そのままでいい」と言われて少し楽になった。
朱里という〝理想〟を知っているからこそ、私の中で〝素敵な女性〟と言えば彼女を意味するようになっていた。
髪が長くて芸能人顔負けの美人で、胸が大きくて性格も可愛らしい。
自分とはかけ離れたタイプだから、余計に朱里に憧れ、彼女の側にいたいと願うようになっていた。
なのに、色気の欠片もない私を「いい」という人がいるなんて、とても不思議な気持ちだ。
「涼さんって変な人ですね。さすがゲテモノ好き」
冗談のつもりで言ったけれど、私の言葉を聞き、それまで微笑んでいた彼がスッと真顔になった。
「そういう事を言わないでほしい」
「え」
雰囲気が変わったので、私は「まずい事を言ったかな」と焦る。
涼さんはヘッドボードにもたれかかっていた上体を起こし、ベッドの上で胡座をかいて言う。
「恵ちゃんはゲテモノなんかじゃないよ。充分に魅力的だ。今まで男と縁がなかったのは、恵ちゃんが望んでいなかったからじゃないの? 可愛いし、告白されたり『付き合おう』とは言われたでしょ」
すぐ別れてしまったけど、確かに元彼と言える人は一応いたので、おずおずと頷く。
「男女関係ってタイミングだ。どれだけ魅力的でも、本人に付き合う気がなかったり、恋をする気持ちになれていなかったら縁がない。……俺もある意味ゲテモノだけど、その気になったら付き合えていた。でも、興味を持たなかった。その意味では俺たち一緒だと思うんだ」
美貌の御曹司に「同じ」と言われ、私はカーッと赤面する。
「俺たちは今、ビビッときて縁ができた。人の縁っていうものが目に見えない線みたいなものなら、その先端が今この辺でカチッと嵌まってるのかな」
そう言って、涼さんは私と彼の間にある空間を指さした。
別の人が言っていたら「キザ……。うわあ……」と思っただろう言葉も、涼さんが言うとすんなり受け止め、なんなら照れてしまっている自分がいる。
「この縁を大切にしよう。色々、やってみないと分からない事は多くあるけど、慎重に試していく価値はあると思う」
「……そう、ですね」
いつになくしおらしくなった私は頷くと、照れ隠しのために着替えを持って立ちあがった。
「お、遅くなるのでシャワー入ります」
「うん、いってらっしゃい」
ニコッと笑った涼さんは、約束通りまたイヤフォンを耳に入れ、スマホに目を落とした。
そんな彼をチラッと見た私は、そそくさと洗面所に入り、ドアの外を意識しながら服を脱ぎ始める。
服をすべて脱ぎ去った私は、メイクを落としてから大きな鏡に映った自分を見た。
ちょっと強気そうだけど平凡な顔。活発そうなボブヘア。体はスレンダーと言えば聞こえがいいけど、女性らしい丸みがあまりない。
胸に触ってみるけれど、骨格ナチュラルのBカップはささやかなものだ。
下着売り場のお姉さんに見てもらって、一番フィットする下着をつけているけれど、谷間とは縁が遠い。
朱里の下着姿を初めて見た時は、魅力的な谷間に感動したぐらいだ。
(……失望されそう)
溜め息をついた私は、生まれて初めて「胸が大きかったらいいのに」と願った。
(……朱里って美胸のために色々やってるって言ってたっけ。……秘訣聞いてみようかな)
どうやら豆乳を飲んだり、胸を支える胸筋を鍛える体操をしたり、マッサージクリームを塗っているらしい。
(胸が大きくなるクリームってあるんだろうか)
私は悶々とそんな事を考えながら、バスルームに入った。
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