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北海道旅行 編

帰宅

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「まだちょっと時間あるから、パフェ食うか?」

「食います!」

 気合いを入れて返事をすると、札幌駅に直結している札幌ステラプレイスの二階にある『グラッシェル』というカフェに連れて行ってもらった。

 カフェの隣にはショーケースにジェラートが並んでいて、コーンやカップで購入する事もできるっぽい。他にもアイスケーキも置いていて、見た目が物凄く可愛い。

 パフェは少しお高めだけど、尊さんのオススメなら美味しいに違いない。

「本当は表参道にも店舗があったんだけど、閉店になっちまったんだよな。だから正真正銘、グラッシェルのパフェが食べられるのはここだけになった」

「あらら、そうなんですね」

「この店、ドゥーブルフロマージュで有名な『ルタオ』が元になってるんだけど、神奈川県大和市にある『メゾン・ジブレー』のシェフが監修してメニューを作ってきたんだ。ミラノ万博では、ジェラートの本場のイタリアを差し置いて優勝したから、マジで凄いよ」

「へええ!」

「だから間違いなく美味い。札幌のパフェと言ったら、『雪印パーラー』や『四つ葉』も外せないけど、個人的にはここを推したかった」

「こうやって説明してもらえると、凄さが分かって大切に味わえる気がします」

 そして出てきたのは、バレンタイン時期らしいチョコとベリーのパフェだ。

 見た目からとてもお洒落で、美味しそうなのが伝わってくる。

「いただきます」

 ワクワクして一口食べてみて、私は目を大きく見開いた。

「んー!」

「美味いだろ?」

 微笑んだ尊さんに言われ、私はコクコクと頷く。

 そのあとは夢中になってスプーンを動かし、あっという間に食べ終わってしまった。

「よし、じゃあ空港向かうか」

「はい、ごちそうさまです!」





 札幌駅から快速エアポートに乗った私たちは、新千歳空港に向かう。

 空港に着くとお土産を買いあさり、詰める物を詰めてから、尊さんの提案で空港内にある宅急便でスーツケースごと三田のマンションに送ってもらう事にした。

 あとは手荷物のみでブラブラ過ごし、最後のあがきでソフトクリームを食べ、十六時フライトの飛行機に乗る。

「あああ……、二泊三日、長いようで短かった……」

 ファーストクラスのフカフカのシートに座り、私は満足しきって目を閉じる。

「朱里は食いしん坊だから、機内食もいけるよな?」

「いけるに決まってます」

 目を開けてサムズアップすると、尊さんは「ぶふっ」と笑い崩れた。

「…………でも、帰ったら体重計に乗るのが怖い」

 今になって現実が待っている事に気づき、私は自分を抱き締めて俯く。

「お前の腹の柔らかさは、十分評価してるよ」

「だから、も~」

「太っただの痩せただの、気にしすぎなんだよ」

「パーフェクトバディ速水に言われると、つらいっす」

「……帰ったら、一緒に走るか?」

「うす」

「よし」

 尊さんにクシャクシャッと頭を撫でられた私は、幸せに浸りながら離陸時間を待った。



**



 三田の尊さんのマンションに着いたのは、十八時過ぎだ。

「うああ……、たらいまぁ……」

 彼のゴージャスなマンションに「ただいま」を言った私は、ソファの上にバフッと倒れ込む。

「お疲れさん」

 尊さんは私のお尻をポンと叩き、バスルームに行ってお湯を貯め始める。

「疲れたろ、ちょっと部屋で寝てな」

「……はい」

 彼の好意に甘え、私は部屋に向かうとパジャマに着替え、ベッドに潜り込んで目を閉じた。

 でも興奮していてなかなか寝付けず、家族や恵にメッセージを送って、無事東京に戻った事を伝えた。

 それでも部屋を暗くして目を閉じていると、だんだん眠くなってきて、気がついたらスヤリと眠っていたのだった。
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