上 下
116 / 416
手に入れた女神 編

やっと抱けた ☆

しおりを挟む
 生まれて初めて、夢中になってセックスをした。

 朱里が啼くたびに興奮と満足感が増し、さらに気持ちよくさせたいという欲が芽生える。

 彼女の膣内は腰が溶けそうに熱く、たっぷり濡れていて締め付けが凄い。

 こんな体を満足させられないなんて、田村は本当に大馬鹿だ。

 ――これは俺の女だ。

 物凄い支配欲と征服感が俺を襲い、生まれて初めて『満たされている』と感じた。

 最初こそ、大人の余裕で包んで、じっくりたっぷり焦らして俺に夢中にさせてやろうと思っていた。

 だがバスルームで前戯するまでは良かったが、いざ挿入したあとはあっけなく理性が飛んだ。

 俺はガキみたいに必死に腰を振り、『気持ちよくなってほしい』という想いで手を動かし、キスをして、無我夢中で朱里を愛した。

 呼吸を荒げ、体液で体を濡らし、快楽の傀儡となって互いを求め合うさまは、まるで二匹の獣だ。

 頭の中を真っ白にさせた俺は、何回も射精して、朱里を犯しぬいた。

『…………あぁ…………』

 四時近くになって最後の射精を終えた俺は、朱里の体を抱き締めて声を漏らす。

 あまりに激しいセックスをしたものだから、全身汗みずくだ。

 彼女はすでに気絶していて、ぐったりと体を弛緩させている。

『…………気持ち良かった……』

 呟いた俺は、汗で額に張り付いた朱里の前髪を除け、そこにキスをした。

 そのあと眠っている彼女の顔を飽きることなく見つめ、唇にもキスをする。

『…………やっと抱けた』

 呟き、ポロッと涙を零す。

 ――嬉しい。

 ――人を愛せたのが、こんなにも嬉しい。

『ありがとう、朱里』

 彼女の頭を撫でて微笑みかけた時、もう自分は彼女に妹を重ねていないと確信した。

 これからは朱里を一人の女として見て、愛し、守っていく。

(そのためには怜香を完全に黙らせないと。――これで完全に覚悟が決まった)

 暗闇の中、俺は静かに決意し、ゆっくり息を吐く。

『……絶対にお前と幸せになる』

 泣きそうな顔で朱里に笑いかけ、俺はもう一度気持ちを込めて彼女にキスをした。





 そのあとも朱里と一緒に過ごしていたら、彼女が目を覚ませばまた抱き潰してしまいそうだった。

 だから自分に〝終わり〟を示すために、朱里の体を清拭したあと、パジャマを着せて布団を掛けた。

 スヤスヤと寝ている彼女の顔を見た俺は、反省して溜め息をつく。

『……悪い。ずるい抱き方だったよな。お前の気持ちを大切にして、ちゃんと告白して正々堂々といくつもりだったのに……』

 衝動的な感情に負けてしまった自分が情けなく、俺は深い溜め息をつく。

『一旦頭を冷やす。挽回するから、ちょっと待ってくれ』

 このまま朱里の家に留まり、朝チュンする訳にいかない。

 帰ろうと思った俺は書き置きでもしようかと思ったが、すぐに『襲うように抱いておきながら、する事じゃねぇだろ』と自分に突っ込んだ。

 それにセックス後の書き置きって、恋人同士がするもんじゃないか?

 今の俺が何を書く?

【気持ちよかった。また会社でもよろしく】なんて書いたら、最低野郎だ。

【田村の事でもう落ち込むな。俺にしておけ】? 抱き潰してからメモ帳で語る事かよ。

 散々悩んだあと、結局何も書かずに家を出た。

 それもまた最低なんだが、『沈黙は金』という言葉を信じる事にした。





 月曜日になって出社すれば、〝いつも〟に戻ると思っていた。

 俺がいつもいる部長室は、透明なパーティションで囲われていてフロアが見渡せる。

 朱里より先に出社した俺はモニターに視線を落としつつも、チラチラとフロアを伺っていた。

 ――来た。

 出社した朱里は、いつも通りの様子を見せながらも、まっさきにこちらを見た。

 バチッと目が合った瞬間、ドキンッと胸が高鳴って顔が赤くなる。

 ――やべぇ。

 こんな感覚、今まで味わった事がない。

 ドッドッドッドッ……と鼓動が速まり、体温が上がっていく。

 経験した事はないが、知識では分かる。これは典型的な恋の反応だ。

 生まれて初めて女性相手に初心な反応をした俺は、密かに動揺した。

 しかし他の社員もいる中、見つめ合っていると知られてはいけないと思い、目が合ったあとはさり気なく視線を逸らした。

 だが体勢はそのままなので、視界に彼女の姿は映る。

 だから彼女が少しの間、立ったまま俺を見ていたのが分かってしまった。

『…………っ』

 それを知った瞬間、額に汗が浮かび、呼吸が乱れ、――――股間が芯を持ってくる。

 脳裏に蘇るのは、長年見守り続けた女をようやく抱けたあの悦び。

 朱里はただの女じゃない。俺が何よりも大切にし続けた存在だ。

 その大切な女を欲棒で貫き、蹂躙した興奮を思いだし、いてもたってもいられなくなる。

 ――結果、俺は我慢できなくなって会議室で朱里を抱くという暴挙に出てしまったのだったのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!

臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。 そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。 ※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています ※表紙はニジジャーニーで生成しました

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【R18】鬼上司は今日も私に甘くない

白波瀬 綾音
恋愛
見た目も中身も怖くて、仕事にストイックなハイスペ上司、高濱暁人(35)の右腕として働く私、鈴木梨沙(28)。接待で終電を逃した日から秘密の関係が始まる───。 逆ハーレムのチームで刺激的な日々を過ごすオフィスラブストーリー 法人営業部メンバー 鈴木梨沙:28歳 高濱暁人:35歳、法人営業部部長 相良くん:25歳、唯一の年下くん 久野さん:29歳、一個上の優しい先輩 藍沢さん:31歳、チーフ 武田さん:36歳、課長 加藤さん:30歳、法人営業部事務

男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話

mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。 クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。 友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

処理中です...