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年末イチャイチャ 編
彼の家
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「俺だって周りが見えなくなる事はある。でもその時はお前が俺を引き戻してくれると信じてる。……だろ?」
「はい!」
「信じてる」と言われるのが、こんなにも嬉しいと思わなかった。
いつも私が一方的に尊さんに甘やかされ、引っ張ってもらっている気がしたけれど、彼もまた私を頼ってくれていると思えたからだ。
「あの人と決着つける時、俺は多少なりとも感情的になり、取り乱すと思う。……そん時は援護頼んだぞ」
「背中は任せてください」
頼られたのが嬉しくて胸を張って言ったけれど、彼が茶化してきた。
「頼むから背中を撃つなよ。お前は凡ミスしそうだ」
「だ~か~ら~……。ちょいちょい〝部長〟出してくるのやめてください」
うなるように言うと、尊さんは肩を揺らして笑った。
**
彼のマンションは港区三田にある。
周囲の情報を簡単に説明すると、麻布や白金高輪、芝に囲まれた土地で、慶應義塾大学や駐日イタリア大使館、在日オーストラリア大使館などもある所だ。
尊さんが住んでいるのは低層マンションの最上階で、ワンフロアに二戸しかないゴージャスな造りだ。
私たちはコンシェルジュさんに挨拶をしてエレベーターに乗る。
部屋に入ると、別世界が待っていた。
「すごぉ……」
まぁ、玄関からして広い。ダークブラウンのドアの奥にはシューズクローゼットがあり、チラッと見せてもらうとピカピカの靴やスニーカーが並んでいた。
リビングダイニングは四十畳ぐらいあるそうで、広々とした空間に黒いレザーのソファと、大理石のテーブルがあった。
壁に設置されたテレビはバカでかく、その下にある木製の収納に、ブルーレイデッキや色んな物が収納されてるっぽかった。
リビングルームには、どっしりとしたグランドピアノがある。
彼がピアノを弾くのは意外だったけれど、クリスマスデートの時に音楽に詳しいような事を言っていたから、好きなんだろう。
十畳近くあるアイランドキッチンの近くには、六人掛けのダイニングテーブルがあった。
「こんばんは」
ダークカラーで統一されたキッチンでは家政婦さんが忙しく働いていて、私を見ると感じよく挨拶してくれた。
「こんばんは。お手伝いしますか?」
「あっ、いいんですよ。もうおいとまする時間ですし、あとは片づけだけなんです」
四十代半ばの感じのいい女性は、そう言ってにこやかに笑った。
「朱里」
「はい」
尊さんに呼ばれて返事をすると、手招きされた。
「部屋、案内する」
彼は一度リビングダイニングの外に出て、廊下を進んだ。
「この階段は? 上にも部屋があるんですか?」
途中に上に向かう階段があったので尋ねると、彼は何でもない事のように言う。
「屋上に出る階段だよ。洗濯物を干すのはバルコニーで事足りるし、ほぼ使ってないな」
「バルコニーあるんですか?」
「ああ、結構広いよ。今はカーテン閉めてたから気づかなかったか。夏場は外に置いてある椅子に座って酒飲んだりとか。ハーブ類とかも育ててる」
「おっしゃれ~! あとで見せてくださいね」
会話している間、尊さんは玄関横にあるトイレの場所を私に教えてくれ、すぐ近くの部屋のドアを開けた。
「ここ、客室。まぁ、寝るだけなら困らないと思うから、好きに使ってくれ」
「広い!」
客室と言っても八畳はありそうで、シンプルながら作りのいいベッドがあり、デスクやチェストなどもあってホテルみたいだ。
その部屋に小さめのスーツケースを置かせてもらうと、尊さんがまた手招きして隣の部屋のドアを開けた。
「ここは俺の書斎」
「ほう……」
言葉の通り、部屋にはデスクやパソコンがあり、あとは本棚に本がびっしり詰められてあった。
その奥に十五畳ほどのマスターベッドルームがあり、どでかいベッドとゆったり座れる長ソファ、こちらにも液晶テレビがある。
隣接しているウォークインクローゼットはお店みたいになっていて、スーツや私服、小物などが整頓されて並んでいた。
その向かいにもう一つのトイレ、そして洗面ボウルが二つある大理石の洗面台、洗濯機に脱衣所、奥に広いバスルームがあった。
「これで全部。質問は?」
「……一人で寂しくないです?」
心から疑問に思って言ったけれど、嫌そうな顔をされて終わってしまった。
そのあと、ポンと頭に手を乗せられる。
「これからお前と住むんだろ」
「…………はい!」
そう言われては、顔のにやつきを止める事ができなかった。
「はい!」
「信じてる」と言われるのが、こんなにも嬉しいと思わなかった。
いつも私が一方的に尊さんに甘やかされ、引っ張ってもらっている気がしたけれど、彼もまた私を頼ってくれていると思えたからだ。
「あの人と決着つける時、俺は多少なりとも感情的になり、取り乱すと思う。……そん時は援護頼んだぞ」
「背中は任せてください」
頼られたのが嬉しくて胸を張って言ったけれど、彼が茶化してきた。
「頼むから背中を撃つなよ。お前は凡ミスしそうだ」
「だ~か~ら~……。ちょいちょい〝部長〟出してくるのやめてください」
うなるように言うと、尊さんは肩を揺らして笑った。
**
彼のマンションは港区三田にある。
周囲の情報を簡単に説明すると、麻布や白金高輪、芝に囲まれた土地で、慶應義塾大学や駐日イタリア大使館、在日オーストラリア大使館などもある所だ。
尊さんが住んでいるのは低層マンションの最上階で、ワンフロアに二戸しかないゴージャスな造りだ。
私たちはコンシェルジュさんに挨拶をしてエレベーターに乗る。
部屋に入ると、別世界が待っていた。
「すごぉ……」
まぁ、玄関からして広い。ダークブラウンのドアの奥にはシューズクローゼットがあり、チラッと見せてもらうとピカピカの靴やスニーカーが並んでいた。
リビングダイニングは四十畳ぐらいあるそうで、広々とした空間に黒いレザーのソファと、大理石のテーブルがあった。
壁に設置されたテレビはバカでかく、その下にある木製の収納に、ブルーレイデッキや色んな物が収納されてるっぽかった。
リビングルームには、どっしりとしたグランドピアノがある。
彼がピアノを弾くのは意外だったけれど、クリスマスデートの時に音楽に詳しいような事を言っていたから、好きなんだろう。
十畳近くあるアイランドキッチンの近くには、六人掛けのダイニングテーブルがあった。
「こんばんは」
ダークカラーで統一されたキッチンでは家政婦さんが忙しく働いていて、私を見ると感じよく挨拶してくれた。
「こんばんは。お手伝いしますか?」
「あっ、いいんですよ。もうおいとまする時間ですし、あとは片づけだけなんです」
四十代半ばの感じのいい女性は、そう言ってにこやかに笑った。
「朱里」
「はい」
尊さんに呼ばれて返事をすると、手招きされた。
「部屋、案内する」
彼は一度リビングダイニングの外に出て、廊下を進んだ。
「この階段は? 上にも部屋があるんですか?」
途中に上に向かう階段があったので尋ねると、彼は何でもない事のように言う。
「屋上に出る階段だよ。洗濯物を干すのはバルコニーで事足りるし、ほぼ使ってないな」
「バルコニーあるんですか?」
「ああ、結構広いよ。今はカーテン閉めてたから気づかなかったか。夏場は外に置いてある椅子に座って酒飲んだりとか。ハーブ類とかも育ててる」
「おっしゃれ~! あとで見せてくださいね」
会話している間、尊さんは玄関横にあるトイレの場所を私に教えてくれ、すぐ近くの部屋のドアを開けた。
「ここ、客室。まぁ、寝るだけなら困らないと思うから、好きに使ってくれ」
「広い!」
客室と言っても八畳はありそうで、シンプルながら作りのいいベッドがあり、デスクやチェストなどもあってホテルみたいだ。
その部屋に小さめのスーツケースを置かせてもらうと、尊さんがまた手招きして隣の部屋のドアを開けた。
「ここは俺の書斎」
「ほう……」
言葉の通り、部屋にはデスクやパソコンがあり、あとは本棚に本がびっしり詰められてあった。
その奥に十五畳ほどのマスターベッドルームがあり、どでかいベッドとゆったり座れる長ソファ、こちらにも液晶テレビがある。
隣接しているウォークインクローゼットはお店みたいになっていて、スーツや私服、小物などが整頓されて並んでいた。
その向かいにもう一つのトイレ、そして洗面ボウルが二つある大理石の洗面台、洗濯機に脱衣所、奥に広いバスルームがあった。
「これで全部。質問は?」
「……一人で寂しくないです?」
心から疑問に思って言ったけれど、嫌そうな顔をされて終わってしまった。
そのあと、ポンと頭に手を乗せられる。
「これからお前と住むんだろ」
「…………はい!」
そう言われては、顔のにやつきを止める事ができなかった。
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