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年末イチャイチャ 編
もっと食わせたい
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そのあとは家政婦さんが料理をダイニングテーブルに並べ、尊さんがワインセラーからワインとシャンパンを出してきた。
尊さんいわく「仕事を頑張った褒美に、肉を用意しておいた」らしい。
綺麗な薔薇色のローストビーフが、大きく、そして厚めに切られ、お皿の上に並べられる。
他にも綺麗に整えられた前菜三種盛り、様々な種類の温野菜を山葵ベースのドレッシングで和えたサラダ、ゴボウのポタージュもある。
「それでは、どうぞ召し上がれ」
家政婦さんはすべての仕事を終えたあと、明るく言って帰っていった。
「彼女、今日で仕事納めなんだ。正月料理とか、張り切って作ってくれて、冷蔵庫や鍋の中にある。ま、年末年始、食っちゃ寝しようぜ」
尊さんはシャンパンの栓を開け、グラスを斜めにして注いでいく。
「楽しみです」
「お前が好きそうな酒、とりあえず全部揃えておいた」
「嬉しいですけど、大酒飲みみたいな言い方やめてください」
減らず口をたたくと、彼はクスクス笑った。
その日は美味しいご飯とお酒を食べて飲んで、お風呂に入ってイチャイチャして寝た。
翌日、三十日は早めに起きて、尊さんと一緒に築地まで行ってでかいカニや海老、大トロに中トロ、ウニ、いくらを買ってくる。
尊さんに「目がバキッてる」と笑われたが、無視した。だって美味しそうだったんだもん……。
買い物を終えて車で帰ったあとは、海鮮をでかい冷蔵庫にしまい、近くのラーメン屋さんへ行く。
午後はテレビで映画を二本見て、夜になってから銀座にある高級寿司店に向かった。
メニューが〝お任せ〟しかない恐ろしいお店で、最初は緊張していたけれど、最初の平目を食べてから美味しくて感動し、集中して味わっていった。
美味しい日本酒も飲んで満足した私が、帰ったあとに〝寿司代〟として尊さんにペロリといただかれたのは言うまでもなく……。
三十一日は遅めに起きて、お昼前に尊さんが作ってくれた海鮮丼を食べた。
昨日築地で買った海鮮を使った高級食材丼で、私は「おいしい、おいしい」と涙ぐみながら食べた。その姿を見た尊さんが、震えるほど笑っていたのは言うまでもない。
そのあとはまたゆっくり過ごし、夕方にお風呂に入って落ち着いたあと、A5ランクの米沢牛リブロースで最高のすき焼きを食べた。
お肉が溶けるという現象を初めて味わった私は、満足いくまですき焼きを食べ、少し脂っぽくなった口の中を、尊さんが前もって自由が丘で買ってくれたソルベで洗い流す。
二人で片付けをしたあと、私たちはテレビをみながらソファでぐうたらしていた。
「……死んでしまうかもしれないです」
尊さんに膝枕をしてもらっていた私は、ボソッと呟く。
「は?」
「こんなに美味しい物、食べた事なかったです。こんな幸せな年末も経験した事なかったです」
「あと、カロリーやべぇな」
「言わないで!」
ボソッと言った尊さんの言葉を聞き、私はバッと両手で耳を覆う。
それを見て彼はクスクス笑い、私の髪を弄ぶ。
「たまにはいんでね? 毎晩〝運動〟もしてるし」
「表現の仕方がおっさんですね」
「こんにゃろ……。余計な事を言った口はこれか。それともこっちの腹か」
「きゃあっ」
尊さんが私の唇とお腹を摘まんできたので、私は思いきり抵抗した。
「そんだけ腹を気にするなら、年越し蕎麦は食わないんだな?」
「…………た、食べます……」
私の答えが分かっておきながら、尊さんは意地悪を言う。
……というか私、すっかり餌付けされてる。
「やめてくださいよもぉ……。私、すっかり食いしん坊キャラじゃないですか」
「食わない女よりずっといいだろ」
そう言って、尊さんはワシャワシャと私の髪を撫でる。
「お正月終わったら、ちょっと走ろうかな……」
今すぐじゃないところが、我ながら情けない。
その時、尊さんがポツッと言った。
「俺の母親があんまり食えない人だったんだよ。線が細くてか弱いイメージの人だった。……だからかな、お前が美味そうにパクパク食べてる姿を見ると、安心するんだよ。もっと食わせたい」
ただ餌付けされているだけではないと知り、私は口を噤む。
尊さんいわく「仕事を頑張った褒美に、肉を用意しておいた」らしい。
綺麗な薔薇色のローストビーフが、大きく、そして厚めに切られ、お皿の上に並べられる。
他にも綺麗に整えられた前菜三種盛り、様々な種類の温野菜を山葵ベースのドレッシングで和えたサラダ、ゴボウのポタージュもある。
「それでは、どうぞ召し上がれ」
家政婦さんはすべての仕事を終えたあと、明るく言って帰っていった。
「彼女、今日で仕事納めなんだ。正月料理とか、張り切って作ってくれて、冷蔵庫や鍋の中にある。ま、年末年始、食っちゃ寝しようぜ」
尊さんはシャンパンの栓を開け、グラスを斜めにして注いでいく。
「楽しみです」
「お前が好きそうな酒、とりあえず全部揃えておいた」
「嬉しいですけど、大酒飲みみたいな言い方やめてください」
減らず口をたたくと、彼はクスクス笑った。
その日は美味しいご飯とお酒を食べて飲んで、お風呂に入ってイチャイチャして寝た。
翌日、三十日は早めに起きて、尊さんと一緒に築地まで行ってでかいカニや海老、大トロに中トロ、ウニ、いくらを買ってくる。
尊さんに「目がバキッてる」と笑われたが、無視した。だって美味しそうだったんだもん……。
買い物を終えて車で帰ったあとは、海鮮をでかい冷蔵庫にしまい、近くのラーメン屋さんへ行く。
午後はテレビで映画を二本見て、夜になってから銀座にある高級寿司店に向かった。
メニューが〝お任せ〟しかない恐ろしいお店で、最初は緊張していたけれど、最初の平目を食べてから美味しくて感動し、集中して味わっていった。
美味しい日本酒も飲んで満足した私が、帰ったあとに〝寿司代〟として尊さんにペロリといただかれたのは言うまでもなく……。
三十一日は遅めに起きて、お昼前に尊さんが作ってくれた海鮮丼を食べた。
昨日築地で買った海鮮を使った高級食材丼で、私は「おいしい、おいしい」と涙ぐみながら食べた。その姿を見た尊さんが、震えるほど笑っていたのは言うまでもない。
そのあとはまたゆっくり過ごし、夕方にお風呂に入って落ち着いたあと、A5ランクの米沢牛リブロースで最高のすき焼きを食べた。
お肉が溶けるという現象を初めて味わった私は、満足いくまですき焼きを食べ、少し脂っぽくなった口の中を、尊さんが前もって自由が丘で買ってくれたソルベで洗い流す。
二人で片付けをしたあと、私たちはテレビをみながらソファでぐうたらしていた。
「……死んでしまうかもしれないです」
尊さんに膝枕をしてもらっていた私は、ボソッと呟く。
「は?」
「こんなに美味しい物、食べた事なかったです。こんな幸せな年末も経験した事なかったです」
「あと、カロリーやべぇな」
「言わないで!」
ボソッと言った尊さんの言葉を聞き、私はバッと両手で耳を覆う。
それを見て彼はクスクス笑い、私の髪を弄ぶ。
「たまにはいんでね? 毎晩〝運動〟もしてるし」
「表現の仕方がおっさんですね」
「こんにゃろ……。余計な事を言った口はこれか。それともこっちの腹か」
「きゃあっ」
尊さんが私の唇とお腹を摘まんできたので、私は思いきり抵抗した。
「そんだけ腹を気にするなら、年越し蕎麦は食わないんだな?」
「…………た、食べます……」
私の答えが分かっておきながら、尊さんは意地悪を言う。
……というか私、すっかり餌付けされてる。
「やめてくださいよもぉ……。私、すっかり食いしん坊キャラじゃないですか」
「食わない女よりずっといいだろ」
そう言って、尊さんはワシャワシャと私の髪を撫でる。
「お正月終わったら、ちょっと走ろうかな……」
今すぐじゃないところが、我ながら情けない。
その時、尊さんがポツッと言った。
「俺の母親があんまり食えない人だったんだよ。線が細くてか弱いイメージの人だった。……だからかな、お前が美味そうにパクパク食べてる姿を見ると、安心するんだよ。もっと食わせたい」
ただ餌付けされているだけではないと知り、私は口を噤む。
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