40 / 780
篠宮家 編
ブチ切れ継母
しおりを挟む
「初めまして。上村朱里と申します」
私は丁寧にお辞儀をする。
「初めまして。私は篠宮フーズの代表取締役社長、篠宮亘だ」
社長が言い、私に名刺を渡してくる。
「僕は副社長の篠宮風磨と言います」
優しげな顔立ちをしたイケメン副社長が言い、微笑みかけてくれた。
「私は篠宮怜香。経理部で部長をしています。……宜しくね。商品開発部、企画三課の上村さん」
う……っ。
なにげに「お前の事は知ってるぞ」と言われてる。
初っぱなからバチバチの空気を出されたのを察して、風磨さんが私に笑いかけた。
「すっかり寒くなりましたね。僕たちもお茶をもらいましょうか」
「そうね」
全員着席したあとに三人分のお茶が出され、飲み物をオーダーして、予め頼んでいたコース料理を運んできてもらう事にした。
「前もってお伝えしましたが、僕は朱里さんと結婚したいと思っています」
尊さんが切り出し、私は緊張して背筋を伸ばす。
「上村さんはどちらの大学ご出身なの?」
怜香さんがにこやかに先制攻撃してきた。
「……都内の××大学ですけれども……」
私が通っていた大学は、難関大学ではない。
でもそこそこ頑張って勉強したので、中の上ぐらいだと思っている。
けどこの流れは……。
「そうなんですか。○○女学院ぐらいかと思っていたのですが……」
ですよねー!
選ばれしお嬢様しか行けない学校名を出さないでほしい。
「申し訳ございません。一般家庭の出でして、学費が掛かる学校には通えていません」
ムカッときたけど、穏便に済ませておく。
「お金がないなんて言うつもりはなかったのよ? 勘違いさせたらごめんなさいね?」
おわぁ……。今ハッキリ口にしましたねぇ……。
ここまでテンプレートな嫌みだと、逆に面白くなってきた。
「怜香」
社長が彼女を窘め、尊さんが続きを口にする。
「彼女のご両親には挨拶をしたのか?」
社長の言葉に、尊さんが首を横に振る。
「いいえ。普通なら彼女のご両親に挨拶するものでしょう。ですが僕は先に、母さんに『結婚したい女性がいるので、丸木さんとの縁談はお受けできない』と伝えたかったのです」
あ、やっぱりお相手は丸木エミリさんなんだ。
そして向かいでは、風磨さんが表情を強張らせていた。
自分の恋人を継弟に宛がわれるなんて、屈辱以外の何でもないよね……。
いっぽうで怜香さんは、能面みたいな無表情で尊さんを睨んでいた。こっわ。
「前から何回も言っていますが、丸木さんは兄貴の恋人です。兄貴から彼女を取り上げて、弟と結婚させて面白いですか? これで兄弟仲が悪くなっても、息子たちから憎まれても構わないと? それに、気持ちがないのに兄貴とお見合いをさせられる、三ノ宮重工の春日さんにも失礼です」
わぁ……。三ノ宮重工っていったら、名門も名門じゃない。
三ノ宮グループは不動産や銀行とか手広く事業を広げていて、遡ると明治華族にたどり着くお貴族様だ。
そんなところのお嬢様とのご縁って言ったら、飛びつきたくなるのは分かるけどさぁ……。いやぁ……ないわぁ。
私は微笑みながらも、スッと目の温度を下げる。
尊さんが反抗したからか、怜香さんは柳眉を逆立てて激怒した。
「私の決めた事に逆らうと言うの!? 風磨にいい結婚相手を探すのは当たり前でしょう!?」
「……僕は望んでいません」
とうとう我慢できなくなったのか、風磨さんが押し殺した声で口を挟んだ。
「あんな秘書なんかと結婚して、幸せになれる訳がないでしょう!」
「言葉が過ぎやしませんか? 秘書たちは立派な仕事をしてくれています。社長だって僕だって、秘書なしに仕事はできません。個人的な感情で彼らを貶めるのはやめていただきましょうか」
風磨さんに反抗されたのが堪えたのか、怜香さんは息子二人をきつく睨み、立ちあがった。
そしてクローゼットからコートを出し、袖に腕を通すと言い捨てる。
「とにかく、そんな低学歴な女性との結婚は認めません! 私の言う事を聞きなさい!」
そう言って、怜香さんは個室を出ていった。
「はぁ……」
私は止めていたように思える息を、大きく吐いた。
私は丁寧にお辞儀をする。
「初めまして。私は篠宮フーズの代表取締役社長、篠宮亘だ」
社長が言い、私に名刺を渡してくる。
「僕は副社長の篠宮風磨と言います」
優しげな顔立ちをしたイケメン副社長が言い、微笑みかけてくれた。
「私は篠宮怜香。経理部で部長をしています。……宜しくね。商品開発部、企画三課の上村さん」
う……っ。
なにげに「お前の事は知ってるぞ」と言われてる。
初っぱなからバチバチの空気を出されたのを察して、風磨さんが私に笑いかけた。
「すっかり寒くなりましたね。僕たちもお茶をもらいましょうか」
「そうね」
全員着席したあとに三人分のお茶が出され、飲み物をオーダーして、予め頼んでいたコース料理を運んできてもらう事にした。
「前もってお伝えしましたが、僕は朱里さんと結婚したいと思っています」
尊さんが切り出し、私は緊張して背筋を伸ばす。
「上村さんはどちらの大学ご出身なの?」
怜香さんがにこやかに先制攻撃してきた。
「……都内の××大学ですけれども……」
私が通っていた大学は、難関大学ではない。
でもそこそこ頑張って勉強したので、中の上ぐらいだと思っている。
けどこの流れは……。
「そうなんですか。○○女学院ぐらいかと思っていたのですが……」
ですよねー!
選ばれしお嬢様しか行けない学校名を出さないでほしい。
「申し訳ございません。一般家庭の出でして、学費が掛かる学校には通えていません」
ムカッときたけど、穏便に済ませておく。
「お金がないなんて言うつもりはなかったのよ? 勘違いさせたらごめんなさいね?」
おわぁ……。今ハッキリ口にしましたねぇ……。
ここまでテンプレートな嫌みだと、逆に面白くなってきた。
「怜香」
社長が彼女を窘め、尊さんが続きを口にする。
「彼女のご両親には挨拶をしたのか?」
社長の言葉に、尊さんが首を横に振る。
「いいえ。普通なら彼女のご両親に挨拶するものでしょう。ですが僕は先に、母さんに『結婚したい女性がいるので、丸木さんとの縁談はお受けできない』と伝えたかったのです」
あ、やっぱりお相手は丸木エミリさんなんだ。
そして向かいでは、風磨さんが表情を強張らせていた。
自分の恋人を継弟に宛がわれるなんて、屈辱以外の何でもないよね……。
いっぽうで怜香さんは、能面みたいな無表情で尊さんを睨んでいた。こっわ。
「前から何回も言っていますが、丸木さんは兄貴の恋人です。兄貴から彼女を取り上げて、弟と結婚させて面白いですか? これで兄弟仲が悪くなっても、息子たちから憎まれても構わないと? それに、気持ちがないのに兄貴とお見合いをさせられる、三ノ宮重工の春日さんにも失礼です」
わぁ……。三ノ宮重工っていったら、名門も名門じゃない。
三ノ宮グループは不動産や銀行とか手広く事業を広げていて、遡ると明治華族にたどり着くお貴族様だ。
そんなところのお嬢様とのご縁って言ったら、飛びつきたくなるのは分かるけどさぁ……。いやぁ……ないわぁ。
私は微笑みながらも、スッと目の温度を下げる。
尊さんが反抗したからか、怜香さんは柳眉を逆立てて激怒した。
「私の決めた事に逆らうと言うの!? 風磨にいい結婚相手を探すのは当たり前でしょう!?」
「……僕は望んでいません」
とうとう我慢できなくなったのか、風磨さんが押し殺した声で口を挟んだ。
「あんな秘書なんかと結婚して、幸せになれる訳がないでしょう!」
「言葉が過ぎやしませんか? 秘書たちは立派な仕事をしてくれています。社長だって僕だって、秘書なしに仕事はできません。個人的な感情で彼らを貶めるのはやめていただきましょうか」
風磨さんに反抗されたのが堪えたのか、怜香さんは息子二人をきつく睨み、立ちあがった。
そしてクローゼットからコートを出し、袖に腕を通すと言い捨てる。
「とにかく、そんな低学歴な女性との結婚は認めません! 私の言う事を聞きなさい!」
そう言って、怜香さんは個室を出ていった。
「はぁ……」
私は止めていたように思える息を、大きく吐いた。
157
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】広間でドレスを脱ぎ捨てた公爵令嬢は優しい香りに包まれる【短編】
青波鳩子
恋愛
シャーリー・フォークナー公爵令嬢は、この国の第一王子であり婚約者であるゼブロン・メルレアンに呼び出されていた。
婚約破棄は皆の総意だと言われたシャーリーは、ゼブロンの友人たちの総意では受け入れられないと、王宮で働く者たちの意見を集めて欲しいと言う。
そんなことを言いだすシャーリーを小馬鹿にするゼブロンと取り巻きの生徒会役員たち。
それで納得してくれるのならと卒業パーティ会場から王宮へ向かう。
ゼブロンは自分が住まう王宮で集めた意見が自分と食い違っていることに茫然とする。
*別サイトにアップ済みで、加筆改稿しています。
*約2万字の短編です。
*完結しています。
*11月8日22時に1、2、3話、11月9日10時に4、5、最終話を投稿します。
拗れた恋の行方
音爽(ネソウ)
恋愛
どうしてあの人はワザと絡んで意地悪をするの?
理解できない子爵令嬢のナリレットは幼少期から悩んでいた。
大切にしていた亡き祖母の髪飾りを隠され、ボロボロにされて……。
彼女は次第に恨むようになっていく。
隣に住む男爵家の次男グランはナリレットに焦がれていた。
しかし、素直になれないまま今日もナリレットに意地悪をするのだった。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる