【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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初デート 編

部長とデート

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「その辺りを話すためにも、食事をしないか?」

 改めて誘われて、私はまた溜め息をついた。

「仕方がないですね。お肉食べさせてくださいよ?」

 食い気を見せると、部長はクシャッと笑って「任せろ」とサムズアップした。

 会議室内の空気の入れ換えは終わったようで、部長は「そろそろいいな」と言って窓を閉める。

 私は先ほどの突然すぎるセックスを思い出し、彼がこちらに背中を向けているのをいい事に、一人赤面した。

「……じゃあ、仕事がありますから」

 私はそういって、そそくさと会議室をあとにした。



**



 金曜日の会議が終わり、同僚たちとゾロゾロと歩いている時、会議に出席していた部長が後ろに立った。

「上村さん、さっき発表した企画書について、一箇所確認したいところがあるんだけど」

「はい」

 部長に話しかけられ、私は立ち止まる。

「コンセプトのキャッチコピーだけど……」

 言いながら、部長は私のジャケットのポケットにクシャリとメモを押し込んだ。

 彼が確認しているのは、取るに足らない事だ。

 キャッチコピーの〝てをには〟のニュアンスがどうこう……など。

「あ、なるほど。分かった」

 軽く確認したあと、部長はスタスタと歩いていく。

 廊下に一人残された私は、周囲を確認してからポケットを探った。

 白いメモ帳には、部長の電話番号とメッセージアプリのIDが書いてある。

 登録しておけ、という事なんだろう。

(結局、私も何だかんだで食事に行くつもりになってるしな)

 いいお店なら、お洒落をしていかないとならないんだろうか。

 ぬかりのない部長の事だから、ドレスコードのある店なら一言注意書きがあると思う。

 だからスカートかワンピースで臨めば、多分大丈夫かな。

「はぁ……」

 私は溜め息をつき、メモをまたポケットに入れた。



**



 メッセージアプリで部長と連絡をとり、結局土曜日は昼間からデートする事になった。

 午前十時ぐらいに待ち合わせをし、映画館でアクション映画を見る。

 私は映画好きで、気になった映画は一人ででもハシゴして見るタイプだ。

 それを知ってか知らずか、部長は前日の金曜日が公開初日の映画を選んでくれた。

「すっごかったですね! ジム・ディーンって老い知らずかな?」

 還暦を超えたハリウッドの超有名俳優が主演の映画だったけれど、歳を感じさせないアクションが本当に素晴らしかった。

 ストーリーも二転三転して、どんでん返しが素晴らしい。

 大興奮して歩いていると、部長がクスクス笑っているのに気づいた。

「何か?」

 目を瞬かせると、彼は「いや」と笑う。

「お前、好きなものについて語る時、そんなに生き生きするんだな。いや、仕事で没になっても、食らいついて頑張ってるタフさを評価してるけど、他は割と淡々としてるイメージがあったんだよ」

「あぁ……」

 私は立ち止まり、シネコン内のポスターをチェックし、スマホのスケジュールアプリに公開日を登録しながら頷く。

「私、あんまり感情を露わにするのが得意じゃないんですよ」

「どうして?」

「んー……」

 それを話すには、まだ部長との付き合いが浅いように感じた。

 個人的に付き合い始めたのはつい最近なのに、自分の人生の根幹に関わる事を話すのは早計だ。

 もしかしたらすぐに関わらなくなるかもしれない。

 その時に「信頼してあんな事まで話したのに……」ってなるのは御免だ。

「今はまだ話さないでおきます。信頼してないとかじゃないですけど」

 再び歩き始めた私を、部長はしげしげと見てくる。

「心のシャッターが閉まったのが分かってしまった」

「そういう訳じゃないですけど」

 心を閉ざしたと言われると、なんだか申し訳なくなる。

 けど、部長に対して、過度に期待しないようにしてるのは確かだ。

 この話が続かないように、私は話題を変える事にした。
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