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19話

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「うわぁ」

次々と円卓に並べられた料理。
一皿は少量ではあるが、その分たくさん食べられそうだ。
肉や魚、野菜など色とりどりの食材が色々な調理方法で盛り付けられている。

「わ、箸」

皿に添えられているのは取り分け用の菜箸とスプーンが添えられていた。

「取り分けますね?」

嬉々として菜箸を握った事にふたりが驚いたのを美南は気付かなかった。
幼い頃から箸の使い方は仕付けられていたため、特に気にせず握った箸で料理を取り分ける。
物によってはスプーンを使い分け

「シルヴィア、このくらいでいい?ベルゴッドさんはたくさん食べますか?」

取り分け終えるとふたりを見た。

「あぁ、食べようか」
「えぇ、ミナミもいただきましょう?」
「はい」

置かれていた箸に持ち変えてから、ふたりが食事を始めると漸く自分も食事に手を付ける。
どれも優しい味付けで苦手なものは無かった。

「ミナミ、どう?」
「美味しい。これ好き」

美南が指したのは鳥の唐揚げ甘酢あんかけ。
俗に言う油淋鶏。
この肉が鶏なのかはわからなかったが。

「そう、なら、私のもあげるわ?」
「大丈夫、他のも食べてみてまだ食べたかったら追加させてもらうからいいですか?ベルゴッドさん?」
「あぁ、いいぜ?しっかり食って帰ろうぜ」

ベルゴッドの皿に乗せた食事は瞬く間に無くなっていくのだが、その優雅に食べる姿から早さを感じない。
貴族だと言うのが本当なのだとふと理解した。
何だかんだでしっかりと食事をさせてもらうと、いくつか苦手な味のものがわかる。
パクチーのような香草、エビのような剥き身、貝。
臭いや食感が苦手であまり口にいれるのも避けたい。
それをあまり出さないようにしながらごちそうさまでしたと頭を下げて店を出た。
店員がどうぞと月餅のようなお菓子をくれたのをありがたく貰ってから帰路につく。
明日からはベルゴッドさんの秘書の仕事をすることになる。
頑張らなければと美南は決意する。
来たときの馬車に乗り込むと、3人は連れだって騎士団へと向かうのだった。
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