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125話

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一頭馬を借り、先程の店に向かうと事情を話して石を買った。
付与に耐えうるものでなければならない為、どうしてもそれなりの物になり、支払いはこれでと白色小切手を取り出すと笑われた。
「あの坊やのお使いか......小切手は持ち帰って、無事に帰ってきたらこれを持って顔を出せと言ってくれるかの?このくらいじゃウチは傾かんし、この後仕入れる予定もあるからもし出発までにに足りなさそうならおいで。
帰ってきたら倍額を貰うつもりだからね、無事に帰ってくるようにな」
はっはっはと、豪快に笑った店主。
「全部持って帰れるかい?他に入用なものがあるなら持っていくといい。革紐や小袋も買わなくていいかね?」
「あ」
加工する時間は無いから、小袋に革紐を通して持ち歩いて貰う事になるのを失念していた。
「道向かいの布屋の女将になら、入れるだけの形にしたのを納品してくれるだろうから聞いてみるといい」
「ありがとうございます!」
俺はぺこりと頭を下げた。
「無理はせんようにな?行くまでに疲れてしまうと困るからな」
「はい!」
心配してもらうのが申し訳ないが、それだけ自分に余裕が無いのだと気付かされた。
「ずしりと重い石が入った袋を抱えて行くのも何じゃろ、騎士団に届けておいてやるから、行ってこい」
そう言われて遠慮なく店を後にした。
そして、言われた通り道向かいの店に入る。
これもまた通常の店とは少し趣が違う。
雑多に布が積み上がっている。
「何だい?」
「すみません、向かいの宝石屋さんでこちらを紹介されて......石を入れて首から下げる袋を最低で400早急に作成をお願いしたいのですが」
「布の種類は」
「特に指定はありません」
「石ならベルベットだね、首から下げるなら革紐は?」
「一緒に欲しいです」
「……早くて明後日だね」
「すみません、支払いなんですが、この小切手で......」
返されていた小切手を差し出すと、この女性も笑い始めた。
「なんだ、坊のお使いかい。いいよいいよ、明日の昼までに仕上げてやるさ。ただし、支払いは直接来いって言っとくれ」
「え、さっきの方も同じように......」
「そりやそうさね、坊の頼みだから仕方ない、この路地裏にある店の殆どは坊と懇意なんだよ。さぁさ、店仕舞いして作らなきゃねぇ。ほらほら大口の仕事がはいったからね、キリキリ働きな!」
女性が叫ぶと、店の奥からははーいと言う返事がいくつも聞こえた。
「ほらほら帰っておくれ」
そう言われながら俺はまた店を出されたのだった。
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