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126話

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「ミゲル様、戻りました」
俺は馬を返し、歩いて騎士団に戻ると、夕方は過ぎていた。
日の落ちる時間は早くなっており、少し肌寒い。
「寒かっただろう」
ミゲル様は、執務室の机に向かっていた。
手にしていたペンを置くと、書類から顔を上げる。
「大丈夫です。ミゲル様、石と布、革紐を購入するつもりだったのですが......この小切手を見せたら、支払いは後でいいと言われてしまって......」
俺はしっかりとしまっておいた白色小切手をミゲル様に返した。
「あー......参ったな、本当にあの人たちには頭が上がらない......」
ミゲル様は小切手を受け取るとそっとしまい込む。
「石は、今日中に届くと......」
「もう、そこに届いている」
「布と革紐は明日には......」
ミゲル様が指差した先、ソファーの上には大きな箱。
「とりあえず、サハルには特別任務だな。全ての騎士団業務を免除して、付与を行って貰わないとならない。ただし睡眠、食事は必ずだ。守らなければ今回の討伐は行かせない」
「そんな!」
「当然だろう。いくらサハルの力が強くても数人の物じゃないだろう。最低でも200......多いと400はは必要になる。それだけ消耗するのを回復させるのですら大変なんだ」
「でも、俺が行かなければ......」
「ユキウサギの討伐方法はわかった。浄化は春になってから。それまでは土地を封鎖するしかない」
それは、ミゲル様の騎士団長としての苦渋の選択だろう。
「無理はしません、約束しますから参加させてください!」
「わかった」
ミゲル様は息を吐いて椅子から立ち上がり、俺の隣に並ぶとギュッと抱きしめてくれた。
「無理はさせたくないのだがな......サハルに頼るしかない。こんな時は本当に騎士団長の肩書きがお飾りだと痛感する」
ボソリと呟いたミゲル様に、俺は頭を振った。
「俺は、心が狭いので騎士団がミゲル様ではなかったら、こんな事はしなかったと思います。きっと浄化の石を作って置いてきてもらうだけ。討伐の事も伝えなかったかもしれません......」
「そうだ、良く400年も前のことを知っていたな。確かに大聖女様が行った事のひとつだと先程文献の写しが王宮から届いたが......」
ミゲル様の言葉にドキッとした。
流石に俺が前の記憶を持っていることは言っていない。
「神殿に仕える為には、聖女様がしてきたことを学ばなければなりませんから」
俺は誤魔化すように告げた。
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