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121話
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軽く食事を買ってから、俺達は帰路につく。
「あっ!ミゲル様これを持ってください」
目の前で転んだ子供。
数人で歩いていた男の子達は友達なのだろう。
「大丈夫?」
俺は声を掛けた。
「ん……」
大丈夫だと頷く子供の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
石畳だからきっと擦りむいて痛いだろうに。
「待って、痛くないよ」
俺はその傷を瞬時に治す。
「わぁ!痛くなくなった!」
男の子の声に、周りもすげぇと声を上げる。
「ありがとう聖女さま」
「いや、俺男だから……」
「でも、かーちゃんが傷を治してくれるのは聖女さまなんだって、神殿に居るんだって言ってた!」
にこにこと笑う男の子に、それ以上否定できなくて俺はぽんと男の子の頭に手を乗せる。
「泣かなくて偉かったな、ほら何処か行く途中だろ?」
「やべっ!急ごうぜ、ありがとう聖女のにーちゃん!」
手を振って駆け出した少年たちに手を振ると、いつの間にか傍にミゲル様が来ていた。
「聖女のにーちゃんか、言い得て妙だな」
「ですね……病院の男性医師は全て聖女のにーちゃんなんでしょうかね」
子供たちの言葉にクスクスと笑ってしまいながらミゲル様に持たせていた荷物を受け取ろうと手をさ差し出すと、その手を掴まれた。
「ミゲル様」
「荷物くらい持たせてくれないか?」
「……ありがとうございます」
今は恋人同士なのだからと。上司部下ではそうもいかないのだろうけれど。
「でも、騎士団が近くなったら俺が持ちますから」
「いや、今日は完全な休日だし、皆も恋仲なのを知っているだろうから問題ないと思うが……」
「ミゲル様……俺なんかがミゲル恋人で恨まれますよねきっと」
兄弟という独特の風習ではあるが、恋仲なのは間違いない。
「何故だ?」
何故って、分からないのだろうか……この野暮天。
「ミゲル様が騎士団長で皆から信頼されているからですよ?それに、騎士団自体が外部からも人気があるじゃないですか……1部の方たちは容姿端麗なので、見た目の審査もあるんじゃないかとか言われてるんですよ?」
騎士団だけでなくミゲル様のファンクラブがあるとも聞くし、これだけ容姿も整っているのだから、騎士団の内外で人気が出るのもわかる気がする。
「ミゲル様は格好良いんです」
そんな会話をしているうちに馬車留めに到着した。
騎士団に行く馬車を頼み乗り込むと、馬車は動き出す。
暫く馬車は石畳の上を走り騎士団に到着する。
その瞬間、一人の騎士が走ってきたのだった。
「あっ!ミゲル様これを持ってください」
目の前で転んだ子供。
数人で歩いていた男の子達は友達なのだろう。
「大丈夫?」
俺は声を掛けた。
「ん……」
大丈夫だと頷く子供の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
石畳だからきっと擦りむいて痛いだろうに。
「待って、痛くないよ」
俺はその傷を瞬時に治す。
「わぁ!痛くなくなった!」
男の子の声に、周りもすげぇと声を上げる。
「ありがとう聖女さま」
「いや、俺男だから……」
「でも、かーちゃんが傷を治してくれるのは聖女さまなんだって、神殿に居るんだって言ってた!」
にこにこと笑う男の子に、それ以上否定できなくて俺はぽんと男の子の頭に手を乗せる。
「泣かなくて偉かったな、ほら何処か行く途中だろ?」
「やべっ!急ごうぜ、ありがとう聖女のにーちゃん!」
手を振って駆け出した少年たちに手を振ると、いつの間にか傍にミゲル様が来ていた。
「聖女のにーちゃんか、言い得て妙だな」
「ですね……病院の男性医師は全て聖女のにーちゃんなんでしょうかね」
子供たちの言葉にクスクスと笑ってしまいながらミゲル様に持たせていた荷物を受け取ろうと手をさ差し出すと、その手を掴まれた。
「ミゲル様」
「荷物くらい持たせてくれないか?」
「……ありがとうございます」
今は恋人同士なのだからと。上司部下ではそうもいかないのだろうけれど。
「でも、騎士団が近くなったら俺が持ちますから」
「いや、今日は完全な休日だし、皆も恋仲なのを知っているだろうから問題ないと思うが……」
「ミゲル様……俺なんかがミゲル恋人で恨まれますよねきっと」
兄弟という独特の風習ではあるが、恋仲なのは間違いない。
「何故だ?」
何故って、分からないのだろうか……この野暮天。
「ミゲル様が騎士団長で皆から信頼されているからですよ?それに、騎士団自体が外部からも人気があるじゃないですか……1部の方たちは容姿端麗なので、見た目の審査もあるんじゃないかとか言われてるんですよ?」
騎士団だけでなくミゲル様のファンクラブがあるとも聞くし、これだけ容姿も整っているのだから、騎士団の内外で人気が出るのもわかる気がする。
「ミゲル様は格好良いんです」
そんな会話をしているうちに馬車留めに到着した。
騎士団に行く馬車を頼み乗り込むと、馬車は動き出す。
暫く馬車は石畳の上を走り騎士団に到着する。
その瞬間、一人の騎士が走ってきたのだった。
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