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⑪新天地へ-2-
しおりを挟む商業ギルドに「他国でマッサージ店を開く」と言ったら、受付嬢だけではなく職員達が悲しそうな表情を浮かべる。
「嘘だろ、おいっ!」
「ナオミさんのハンドマッサージを受けてから俺の腕が軽くなったんだぞ!」
「ナオミさんがアームズの町から居なくなるのは悲しいけれど、こればかりは仕方ありません・・・」
商人としてはこれが正しい在り方なのだと自分に言い聞かせた受付嬢は、ビューティー王国に行く為に護衛として冒険者を雇うように忠告してくれた。
但し、護衛依頼は神経を使うから依頼を引き受けてくれる冒険者が居るかどうか見当がつかない。
そこそこの高ランク冒険者でないと引き受けてくれないとも。
幸いな事に奈緒美は洗濯用洗剤で稼いでいるので護衛を雇えるだけの金銭は十分にある。
受付嬢の言葉に従い冒険者ギルドに行った奈緒美はビューティー王国までの護衛の依頼書を提出した。
ちなみに料金は雇う護衛一人につき一日一ゴールドだった。
危険度がどれくらいなのか分からないが護衛の依頼って目的地によっては日数がかかるし、依頼人の機嫌を損ねないように冒険者は神経を使わないといけないので人気があるかと言われたらそうではない。
どちらかと言えば地味で人気のない仕事だったりする。
先程も述べたが護衛依頼は神経を使うので、色々な経験を積んでランクアップしたそこそこの高ランク冒険者でないと引き受けてくれないのだ。
朝から夜まで依頼人を護る事を考えたら一日一ゴールドというのは妥当な金額かも知れない。
「ナオミさんの護衛は俺達が引き受けよう」
「えっ?」
そんな依頼を受けてくれると言ったのはバーナード、アデライト、ブルーノ、シンディー───暁の剣の人達だったのだ。
暁の剣は四人パーティー。
一日四ゴールドでアームズの町からファイティング王国を通り抜けてビューティー王国までは徒歩で八日くらい掛かる。
単純計算で三十二ゴールドを冒険者ギルドに払わないといけない。
無料で安全は買えないし何と言ってもまだ死にたくない奈緒美は洗濯用洗剤で得た金で依頼料を冒険者ギルドに支払うと、冒険者パーティー暁の剣と共にビューティー王国に向けて出発するのだった。
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