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⑪新天地へ-1-
しおりを挟む「ねぇ、ナオミちゃん。手と肩だけではなく足のマッサージも出来ないものかね~?」
「足の裏に疲れが溜まっていくと言えばいいのかね~?そんな感じだから足のマッサージもして欲しいんだよ」
最初は手のマッサージ、それから肩のマッサージをしていた奈緒美。
だが、立ち仕事・座り仕事で足が怠かったり浮腫んでいる客からは足のマッサージをして欲しいという要望が出るようになっていた。
フ
ットマッサージも視野に入れた方がいいのかも?と思ったが、今はどうか分からないが日本では足のマッサージをしている露店を奈緒美は見た事がない。
店舗として買い取るにせよ、借りるにせよ砂金以外の金属・・・例えば銀かプラチナ、或いはダイヤモンドにルビー、サファイアにエメラルド、真珠にアレキサンドライトといった宝石の種を栽培して実ったそれを売って金銭を得る。
・・・・・・いや、金属を売って金銭を得るという方法は余り使わない方がいいというのが奈緒美の考えだ。
この方法はいざという時に使えばいいとして問題は店を開く場所である。
アームズの町は人の行き来があるから賑わっているのだが、空き店舗と言えばいいのか一軒家と言えばいいのか、とにかく空き家がないからエステティックサロンを開けないのだ。
「・・・・・・うん!決めた!ビューティー王国に行こう!」
パールディア王国の隣国はファイティング王国があり、彼の国の隣にはビューティー王国という国がある。
ビューティー王国がどのような国なのか分からないが、名前からして美にこだわりがあるような気がする。
・・・・・・多分。
単なる勘でしかないけど・・・。
ビューティー王国に行けばエステティシャンとして培ってきた奈緒美の技術を活かせるはずだし、空き店舗もあるはず!
(それに・・・ディーフリードさんから逃げなければ・・・)
実は奈緒美、お互いの立場と『貴族の在り方を知らない人間が嫁になるのは誰も納得しない!』と断っているにもかかわらずディーフリードにプロポーズされていたりする。
それどころかディーフリードは『義姉上の実家の養女になればいいし、貴族の心構えは俺が教える。俺の立場が障害になっていると言うのであれば俺が全てを捨てて平民になってもいい。幸いな事に一生遊んで暮らせるだけの金は稼いでいるからな』とか宣っているのだ。
奈緒美はディーフリードに対して人間的に好意は抱いているので男女の垣根を越えた友で居たいと願っているし、身分相応な女性を嫁に迎えて幸せな人生を歩んで欲しいと願っている。
身分を捨ててまで自分と一緒になって欲しいなんて望んではいないのだ。
このままパールディア王国に居たら奈緒美が辿る道は一つ。
間違いなくディーフリードの義姉という人物の実家の養女として迎えられた上で彼の嫁になるしかないのだろう。
善は急げと言わんばかりに、旅に必要な道具と栽培した種から実った食糧や調味料等をリュックに入れた奈緒美は商業ギルドへと向かった。
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