異世界喫茶『甘味屋』の日常

癸卯紡

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ヒメゴト

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 朝食を終え一人自分の部屋で熟睡していた俺の口に何やら生暖かい感触がするものが放り込まれ口の中で俺の舌と絡み合っていた。口で息ができず寝苦しさを感じて目を開けると、目の前にはヴィエラの顔があり仰向けで寝る俺に覆いかぶさり濃厚なキスをしていた。

(なんだこれ? 夢か??)

まぁ異世界に来てからアッチの方はとんとご無沙汰なうえにライラやヴィエラのような美人2人と生活してればこんな夢も見るか、などと俺が独り言を呟くとヴィエラはキスを止め仰向けに寝ている俺に馬乗りになる形で上体を起こしどこか妖艶な表情で微笑んでいた。

「あら、美人だなんて嬉しい!」

「・・・・は?」

「それにしても異世界ってどういうことかしら? マスターさんってもしかしてこの世界の人間じゃなかったりするの?」

「は? えっ?? あの・・・ えぇ!?」

俺はヴィエラの言葉で一気に目が覚め上体を起こす。再び俺とヴィエラの顔がゼロ距離になるとセクシーなネグリジェ姿のヴィエラは再び妖艶な笑みを浮かべ俺の両肩に左右の腕を伸ばすと抱きしめながらキスをした。

「今はどうだっていいことね。こんな時に出自を聞くのも野暮だったわ」

状況が理解できず困惑する俺の上半身をヴィエラは抱きしめながらベッドに倒れ込む。状況は理解できない、理解できないが俺の下半身は既に臨戦態勢に入っており仰向けの俺に跨って覆いかぶさっているヴィエラも愚息の愚行に気づいたようでさきほどの妖艶な笑みからは打って変わり、今度は悪戯を企てる子供の様な表情でニヤニヤしていた。


「かなりご無沙汰だったの? 我慢せず言ってくれればよかったのに」

「いやいや、それはマズいでしょ。お客様に手は出せません」

「あら、ちゃんとお金取ったから問題なかったわよ? 私こう見えて高いんだから」

「ええ!?」

「 ふふっ 」

それから2時間弱、俺とヴィエラはお互い貪るように愛し合った。その間に俺もヴィエラも何度も何度も果てたが、それでもお互い夢中で体を重ねた。

これを愛し合ったという言い方が正しいのかはわからない。ヴィエラと何度も何度も体を重ねた俺の頭に浮かんだのはライラの顔だったのだ。そんな俺の思いを読み取ったのか、ヴィエラは俺の頬に手を当てると少し悲しそうな顔で笑い俺に言った。

「こんな美女が相手してくれるなんてなかなかないわよ、マスターさん。だから今は私に集中しないともったいないわよ?」

「・・・・」

言葉に詰まった俺の返事を聞かずヴィエラは再び俺の上で腰を激しく動かす。その後、何度目かの絶頂を迎えると仰向けの俺に跨っていたヴィエラは俺に体を預けるように倒れ込んだ。

しばらくベッドで横になった俺たちだったが、さっきの悲しそうなヴィエラの顔が気になり俺はうつ伏せに寝ているヴィエラの顔を覗き込む。だがうつ伏せに寝ている彼女の顔は髪の毛に隠れて確認できなかった。

髪を手でたくし上げ顔を見る事も出来たが、うつ伏せで横になっているヴィエラが今は自分の顔を見られたくないと言っているような気がしたため、俺は彼女の顔を見ることなくそのまま少し眠ることにした。
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