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全ての陰謀を終わらせる陰謀
Ильич
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何がおかしくて笑っているのか分からない。だが笑いは止まらない。楽しい夢を見た子どものような屈託のないものとは違う、虚ろなものを誰もが感じる狂気の世界の笑顔。人間の喉から出たものとは思えない程に異質で、普段の少年合唱団に例えられるような天使を感じる透き通る声を忘れたような、不協和音で形成された笑い声。イリーナの精神状況は破綻寸前のようであった。
「何が可笑しいんだ…!っクソ!」
電気量を再び集め、そこから電磁砲を生み出そうとする。それでもイリーナの笑い声は止まらない。それに苛立つような表情を見せる康太の顔が青ざめるのは、少女の背中に金色の羽根のようなものが見えた所から始まった。
その羽根のような何かが、康太の胴体を貫通する。暴れ狂う金羽根が、今まで経験したことのない痛みに狼狽える康太の身体中を抉り取り始める。内蔵の殆どが修復不能な程に散乱すると、何故か心臓と脳だけは全く攻撃を受けていない。
「化け物め…。…っう!…ァァァ!」
減らず口にもならない彼の叫び声を聴き、イリーナの精神はさらに高揚する。
「Иль…ич……!」
狂い笑いの中に交じるほんの僅かに聞き取れる人間の言葉は、日本人である彼らにも伝わった。もはや人間の範疇を超えたイリーナのシックス・センスに恐怖以外の感情が消えた学園横浜序列第5位は、指一本動かすことなく、倒れ込んだ場所に向かってくる4本の金色の波動が脳と心臓を貫き、怯えしか映っていない眼を閉じることなく息絶えたのだった。
生命が閉じたことを感じ取ったイリーナは笑い転げた。千鳥足で周辺を回り続けながら、怪物的な笑い声を出し続けた。学園横浜の中でも郊外の方にあり、未来と若葉とイリーナ、そして乱入者だった康太を除けば誰一人として近寄ることのない僻地だ。誰にも止められることのない狂喜乱舞だったのだ。
やがて全ての体力を使い果たしたイリーナは電池が切れたように、何も考えることなく綺麗に倒れ込む。
「イリーナ…。」
未来を咄嗟の座標転換で助けた若葉は、気が触れたようなイリーナに近寄れなかったのだ。学園横浜内では1番一緒にいる彼は、普段愛想笑いすらしている所を見たことがない少女の割れ響く笑い声を一生忘れられないだろう。
「イリイチ先輩は何やってんだよ…。妹がこんな目にあってんのに。」
空間閉鎖により途方に暮れているイリイチのことを知る由もない若葉は、誰よりも強くて誰よりも優しい先輩、という虚像を崩されるような気分だった。
「何が可笑しいんだ…!っクソ!」
電気量を再び集め、そこから電磁砲を生み出そうとする。それでもイリーナの笑い声は止まらない。それに苛立つような表情を見せる康太の顔が青ざめるのは、少女の背中に金色の羽根のようなものが見えた所から始まった。
その羽根のような何かが、康太の胴体を貫通する。暴れ狂う金羽根が、今まで経験したことのない痛みに狼狽える康太の身体中を抉り取り始める。内蔵の殆どが修復不能な程に散乱すると、何故か心臓と脳だけは全く攻撃を受けていない。
「化け物め…。…っう!…ァァァ!」
減らず口にもならない彼の叫び声を聴き、イリーナの精神はさらに高揚する。
「Иль…ич……!」
狂い笑いの中に交じるほんの僅かに聞き取れる人間の言葉は、日本人である彼らにも伝わった。もはや人間の範疇を超えたイリーナのシックス・センスに恐怖以外の感情が消えた学園横浜序列第5位は、指一本動かすことなく、倒れ込んだ場所に向かってくる4本の金色の波動が脳と心臓を貫き、怯えしか映っていない眼を閉じることなく息絶えたのだった。
生命が閉じたことを感じ取ったイリーナは笑い転げた。千鳥足で周辺を回り続けながら、怪物的な笑い声を出し続けた。学園横浜の中でも郊外の方にあり、未来と若葉とイリーナ、そして乱入者だった康太を除けば誰一人として近寄ることのない僻地だ。誰にも止められることのない狂喜乱舞だったのだ。
やがて全ての体力を使い果たしたイリーナは電池が切れたように、何も考えることなく綺麗に倒れ込む。
「イリーナ…。」
未来を咄嗟の座標転換で助けた若葉は、気が触れたようなイリーナに近寄れなかったのだ。学園横浜内では1番一緒にいる彼は、普段愛想笑いすらしている所を見たことがない少女の割れ響く笑い声を一生忘れられないだろう。
「イリイチ先輩は何やってんだよ…。妹がこんな目にあってんのに。」
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