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20.村

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私達は城に戻り私、マーク、ミュウ皇女、アリーゼ第一皇子、マリス第二皇子、バニ様で会議を開いた。ミュウ皇女は、私達が城に居ない事を察していたらしく、呼ぶとすぐ来てくれた。

「すみません、ミュウ皇女。こんな時間に」
「いえ。大丈夫です」

 6人でちょっとした、城の部屋に集まり、話し合いをする。

「それで、バニさん、私に聞きたいこととは…?」
「ビアードの事について、ミュウ皇女に聞きたい事があるのです」
「…ビアード?」
「貴女と、ビアードが、恋仲だと聞いて」
「知ってらっしゃるのですね……もしかして、ビアードに何か、あったのでしょうか?」
「それが、そうなんです」

 ミュウ皇女は、気丈に振舞っていたが、語尾が震えていた。バニ様は落ち着いた口調でお話する。

「彼は、市場があった後に、教会に来なくなりまして…、それで、もし良かったら、ビアードについて、知ってる事を、お話して頂けないでしょうか?」
「…それが、私にもわからないのです。私とビアードは、小さい頃からの幼馴染で、私が王族の子って判明した後も、ずっと私の事を心配してくれて、様子を見に来てくれていました。それで、最近彼が神権に入ったって聞いて、そこからは何も」
「それは、比較的最近の事だ。バニ」

アリーゼ第一皇子が、付け加える。それに、バニ様は考え込んでいた。

「…ミュウ皇女って、確か「ユルク村」、出身でしょうか。
「そうですが、あの村に、なにか、あるのですか?」
「いいえ、そうではないのですが…、ただ、もしかして、ビアードは、自分の村に帰ってるんじゃ、ないかと思いましてね。相当、私の所から離れてますし...、決めました。私、一回、そこの村に訪れてみます」
「今から行くのか?」
「ええ、ちょっと気掛かりな所がありますので。あの村だったら、すぐいけます」
「なら、私も行きますわ。バニ様」
「シルバー王女様?」
「私もビアードの事が心配ですし、何か嫌な予感がするのでしょう?」
「しかし...、」
「シルバー王女様。私も連れて行ってください」
「ミュウ皇女?」
「私は、あの故郷の事をよく知る人間ですし…。もしかして、ビアードは、何かしら事故に巻き込まれて、って思って、心配なのです」
「でも、もう深夜よ。危ないわ」
「大丈夫です。夜目が、聞きますし、ビアードの場所も案内できます」

確かに、場所がわからない私達が行くより、ミュウ皇女をつれていった方が良いけど、彼女は戦闘が出来るタイプではないし...、

「俺も行く」

すると、アリーゼ第一皇子様が、そう言った。

「…だけど、アリーゼ、もし神権の奴らが絡んでいて、それを今の王権の不祥事に繋がったなら、危ないんじゃないの?」
「まだ、そうだと決まってないし、バニの予感は当たりやすい。それに、ビアードという奴は、ミュウの大事な奴なんだろ」

アリーゼ第一皇子は、ミュウ皇女の方を向き、そういうと、ミュウ皇女は、驚いた顔をしたが、何回か頷いた。

「なら、今から行こう。少数名だがな。念の為に、城に、武装した兵士を、何名か、待機させておこう」

✕✕✕

 ミュウ皇女の故郷に、私達は馬で行った。
見渡す限りの草原で、夜風が、それらを揺らしていた。
黒い月が浮かんでいるのは、相変わらずだ。

「懐かしい」

 ミュウ皇女は、呟く。

「ビアードの家は向こうです。先に、そこに行きますか?」
「ええ......」

すると、ガサッと、音が立ち、黒い影が見えた。

「何だ?」

私達は、それを、息を潜めて、注視して見ていると、再び茂みから、音が立つ。すると、黒いモヤみたいなのが注意深く出てきて、密集住宅から、少し離れている道の方を、進んでいった。

「どうします?」
「...私は、追います。もしかして、何かビアードに関係している気がするのです。本当はそう、思いたくないのですが」

バニ様は、元気無さそうにその事を呟いた。すると、アリーゼ第一皇子は、

「じゃあ、先にそちらをいこうか」

✕✕✕

私達は、黒い、謎の物体を追った。
黒い影について行って、たどり着いた場所は、古びた教会だった。もやは、小さな階段を辿りドアの中に入った。

「ここは、村で集まっていた、集会所の役割をしていた、教会らしいです。大分昔の物ですが、私がいた時から、こんな風に建っていました」
「そうなの」

ふと、先程のバニ様が、心配て、その様子を見てみると、彼は、顔を真っ青にさせている。

「どうされました?バニ様」
「ここから、邪悪な気配がします」
「何?」

私達はわからないけれど、バニ様は、その力を感じるらしい。

「皆様、引き返すなら、今です。ここから、先は、安全が保証できません」
「でも、バニ様は、そこに入るのでしょう?ビアードを連れ戻しに」
「ええ。ですが、」

バニ様は私達の方を見た。本当に、それを真剣に伝えたいっていう気持ちが伝わってくる。すると、

「バニ、貸し一だからな。だから、ちゃんと、今後、王権の為に尽くしてくれ」
「アリーゼ第一皇子様」
「また、そんな事言って。だから、一部で暴君って言われるんだよオ」
「いいじゃないか。マリス。つかず、離れず。その方が良い人間関係築ける」
「はいはい...。ま、バニ。そんな責任持たずに、それなりに、俺達も覚悟が出来ているからね」
「ああ」
「ミュウ皇女も、私が責任持って、お守りするわ。離れてはだめよ」
「はい」
「...皆様、有り難うございます。では、念の為にこれを」

すると、彼は懐から取りだし、お札のような物を取り出した。

「これは?」
「祓魔用の、お札です」
「祓魔?悪魔の事か。あの、想像上の?」
「ええ。もしかして、何か、その事に関係しているかもしれませんので...、皆様、いくつか懐に、持っていてください」

私達は、平等に、それを貰うと、各々が、ポケットの中などに仕舞う。悪魔、なんて、いるのかしら?そんな描写、少女漫画にはなかったけど...。

「じゃあ、開けるぞ」

アリーゼ第一皇子は、そう言う。
彼は、先に出て、長い、ドアノブを触ると、古く、開けづらいそのドアを、おもいっきり、開いた。

「なッ……!!」
「!!?」
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