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12.許諾
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「シルバー王女に、…ミュウ」
あの後、マークの行動が、早く、私とミュウ皇女は、アリーゼ第一皇子に、夕暮れ、すぐ会える事になった。軍の帰りなのか、軽装姿のアリーゼ第一皇子が、廊下に兵士達と一緒にいたので、私達は廊下の端の方で待っていると、彼は気付く。
「アリーゼ皇子様。お帰りなさいませ」
「お、お帰りなさいませ」
「ああ……」
私とミュウ皇女は、彼に挨拶する。
「軍の帰りか、そのようなものですか?」
「まあ、そうですね…ここの生活に少しは慣れましたか。シルバー王女」
「はい。とても優しい方ばかりですので」
「そうですか」
私に気を使っているが、少し淡々とした、言葉遣いで、返すアリーゼ第一皇子。マリス第二皇子と比べて、抑揚がないので冷淡な印象を受けてしまうわ…。
「……アリーゼ皇子様。お願いしたい事がありますの」
「お願い?…ああ。そういえば。聞きました。何でしょう」
「もう少ししたら、私の王妃教育が始まりますが、その時に、ミュウ皇女も一緒に教育を受けさせて欲しいのですその、一緒に居るものが、いれば楽しいですし」
「……」
彼は黙り込み、私に、すぐ返事をしなかった。
そして、しばらく、彼は、考え込む仕草をすると、
「…ミュウには王妃教育はまだ早いかと思います。そもそも、必要がないので大丈夫でしょう」
アリーゼ第一皇子は私に向かってそう言い切った。
「何故ミュウ皇女には、必要ないと?」
「神聖カリーテナ帝国は、皇女はそこまで国を任される事はありませんから。それに、まだ彼女は幼い」
「そうでしょうか…でも、私は、王位継承権の低い王女だとしても、ミュウ皇女の頃には、教育は受けましたし…、ミュウ皇女もさせるべきではありませんか?この国の担う存在の一人ですから」
「…。等の本人に、その意思があるかどうかはわかりませんけど」
すると、アリーゼ第一皇子は、ミュウと呼ぶ。ミュウ皇女はそれに、びくついては、はい。と、小さな声で返事をした。
「い、いるだけでも、駄目でしょうか…勿論、シルバー王女の、邪魔はしません…だから、お願いしますアリーゼお兄様」
ミュウ皇女は頭を下げ、アリーゼ第一皇子に懇願した。
それに、アリーゼ第一皇子は、…そういうことなんだなと、呟いた。
「シルバー王女が言うならご自由に。…だが、ミュウ。くれぐれも失敬のないように」
「……は、はい!」
ミュウ皇女は、嬉しそうにし、有難うございます。アリーゼお兄様と、頭を下げ、私にもシルバー王女様、有難うございます。と言った。
「良かったわね。ミュウ王女」
「はい」
「それでは、アリーゼ皇子様。御用件は、これだけですわ。本当にありがとうございます」
「待ってください。シルバー王女。俺は、貴女に話がある」
「話?」
「ミュウ、ここから先は、王妃教育について二人で話すから、外してもらえるか」
私は、ミュウ皇女と顔を見合わせる。ミュウ王皇女はそれに、頷き、それでは。と、頭を下げて戻っていった。ミュウ皇女の姿が消えた後、アリーゼ第一皇子が声を出した。
「…あまり、ミュウに、深く関わらないで貰えますか」
小さい声で、言う彼。そういや、もう辺りは誰もおらず、真っ暗で、冷たい風がほそぼそと自分に当たっていた。私は、周りを見渡すと、同じように彼に返す。
「私は、ミュウ皇女と仲良くしたいのですが、どうして?」
「彼女の事を、信用しない方が良いからです。…幼いからって油断をしていると危険です。あれでも、ミュウも、この国の一員ですので」
なんだか、吐き捨てるように語尾の方を強く、強調した。この国の一員…神聖カリーテナ帝国の一員っていう事かしら。
アリーゼ皇子様は、この国自体あまり好きではないの?
それとも、ミュウ皇女の事を警戒してるの?
アリーゼ皇子様の思惑がよく分からない。
「…ミュウ皇女が、アリーゼ皇子様の脅威になるとでも?」
「ないとは言い切れませんし、私だけでなく、貴女にだって危害が及ぶ可能性が高い」
「ですが、私は、ミュウ皇女と一緒にいて、彼女がそのような人物だと思いませんでしたわ」
「人間の本性なんて、わからないものですよ。…それを確信するものが、貴女にはあると?」
彼を見ると、真黒に澄んだ目をしていた。
…確信するものと言われても、私とミュウ皇女は知り合って、日が浅い。だから、彼女の事は、詳しくわからないし、それに、マンガで読んだ彼女のイメージ…清廉で、頑張り屋というのが、自分の中では、抜けていないから、それが本当の彼女かわからないというのは事実だ。
「…いえ」
「だったら、…あまり近づかない事ですね。近づいたとしても、信用はしないでください。王妃教育は、仕方ないですし、貴女の言う事も一理ありますから、しょうがないですが。…俺が言いたいのは、これだけです」
アリーゼ第一皇子はそこで言葉を切った。暫く、辺りが無音になる。…しかし、
「…アリーゼ皇子様」
「何でしょう」
「でも、ミュウ皇女は、この国の皇女として、扱ってもらえないことに、とても悲しい思いをしていらっしゃいましたわ…。まだ日も浅く、見知らぬ他人…私に、相談する程、自分の事情を、赤裸にするということは、彼女は何かに苦しんでいる。ということではないでしょうか。だから、今日王妃教育の相談に二人で参りましたのよ」
「……」
「そういう風に、素直に吐き出してくる方はそうそういらっしゃいませんし、その思いを大切にしてみたい。それに、私、仲の良い姉妹に憧れていますの…私、ミュウ皇女とならそれが築けると思っていますわ」
私が彼にそう言うと、そうですか。と返事を返された。すると、ふと、冷たい風に辺り、私はついくしゃみをすると、彼は懐中時計を懐から取り出し見た。
「…失礼しましたわ。アリーゼ皇子様」
「いえ、…長居させてしまいましたね。本格的に、寒くなる前に中に入りましょう」
「王妃教育の事は?」
「それは、後々お話しますよ…ただ、先に、ミュウの事をお話しておきたかったので」
「そうなんですか……」
「…では、俺はこれで」
そうして、彼は、頭を下げると、城の中へ入っていったので、私も奥の方で待っているマークの元へ行った。
あの後、マークの行動が、早く、私とミュウ皇女は、アリーゼ第一皇子に、夕暮れ、すぐ会える事になった。軍の帰りなのか、軽装姿のアリーゼ第一皇子が、廊下に兵士達と一緒にいたので、私達は廊下の端の方で待っていると、彼は気付く。
「アリーゼ皇子様。お帰りなさいませ」
「お、お帰りなさいませ」
「ああ……」
私とミュウ皇女は、彼に挨拶する。
「軍の帰りか、そのようなものですか?」
「まあ、そうですね…ここの生活に少しは慣れましたか。シルバー王女」
「はい。とても優しい方ばかりですので」
「そうですか」
私に気を使っているが、少し淡々とした、言葉遣いで、返すアリーゼ第一皇子。マリス第二皇子と比べて、抑揚がないので冷淡な印象を受けてしまうわ…。
「……アリーゼ皇子様。お願いしたい事がありますの」
「お願い?…ああ。そういえば。聞きました。何でしょう」
「もう少ししたら、私の王妃教育が始まりますが、その時に、ミュウ皇女も一緒に教育を受けさせて欲しいのですその、一緒に居るものが、いれば楽しいですし」
「……」
彼は黙り込み、私に、すぐ返事をしなかった。
そして、しばらく、彼は、考え込む仕草をすると、
「…ミュウには王妃教育はまだ早いかと思います。そもそも、必要がないので大丈夫でしょう」
アリーゼ第一皇子は私に向かってそう言い切った。
「何故ミュウ皇女には、必要ないと?」
「神聖カリーテナ帝国は、皇女はそこまで国を任される事はありませんから。それに、まだ彼女は幼い」
「そうでしょうか…でも、私は、王位継承権の低い王女だとしても、ミュウ皇女の頃には、教育は受けましたし…、ミュウ皇女もさせるべきではありませんか?この国の担う存在の一人ですから」
「…。等の本人に、その意思があるかどうかはわかりませんけど」
すると、アリーゼ第一皇子は、ミュウと呼ぶ。ミュウ皇女はそれに、びくついては、はい。と、小さな声で返事をした。
「い、いるだけでも、駄目でしょうか…勿論、シルバー王女の、邪魔はしません…だから、お願いしますアリーゼお兄様」
ミュウ皇女は頭を下げ、アリーゼ第一皇子に懇願した。
それに、アリーゼ第一皇子は、…そういうことなんだなと、呟いた。
「シルバー王女が言うならご自由に。…だが、ミュウ。くれぐれも失敬のないように」
「……は、はい!」
ミュウ皇女は、嬉しそうにし、有難うございます。アリーゼお兄様と、頭を下げ、私にもシルバー王女様、有難うございます。と言った。
「良かったわね。ミュウ王女」
「はい」
「それでは、アリーゼ皇子様。御用件は、これだけですわ。本当にありがとうございます」
「待ってください。シルバー王女。俺は、貴女に話がある」
「話?」
「ミュウ、ここから先は、王妃教育について二人で話すから、外してもらえるか」
私は、ミュウ皇女と顔を見合わせる。ミュウ王皇女はそれに、頷き、それでは。と、頭を下げて戻っていった。ミュウ皇女の姿が消えた後、アリーゼ第一皇子が声を出した。
「…あまり、ミュウに、深く関わらないで貰えますか」
小さい声で、言う彼。そういや、もう辺りは誰もおらず、真っ暗で、冷たい風がほそぼそと自分に当たっていた。私は、周りを見渡すと、同じように彼に返す。
「私は、ミュウ皇女と仲良くしたいのですが、どうして?」
「彼女の事を、信用しない方が良いからです。…幼いからって油断をしていると危険です。あれでも、ミュウも、この国の一員ですので」
なんだか、吐き捨てるように語尾の方を強く、強調した。この国の一員…神聖カリーテナ帝国の一員っていう事かしら。
アリーゼ皇子様は、この国自体あまり好きではないの?
それとも、ミュウ皇女の事を警戒してるの?
アリーゼ皇子様の思惑がよく分からない。
「…ミュウ皇女が、アリーゼ皇子様の脅威になるとでも?」
「ないとは言い切れませんし、私だけでなく、貴女にだって危害が及ぶ可能性が高い」
「ですが、私は、ミュウ皇女と一緒にいて、彼女がそのような人物だと思いませんでしたわ」
「人間の本性なんて、わからないものですよ。…それを確信するものが、貴女にはあると?」
彼を見ると、真黒に澄んだ目をしていた。
…確信するものと言われても、私とミュウ皇女は知り合って、日が浅い。だから、彼女の事は、詳しくわからないし、それに、マンガで読んだ彼女のイメージ…清廉で、頑張り屋というのが、自分の中では、抜けていないから、それが本当の彼女かわからないというのは事実だ。
「…いえ」
「だったら、…あまり近づかない事ですね。近づいたとしても、信用はしないでください。王妃教育は、仕方ないですし、貴女の言う事も一理ありますから、しょうがないですが。…俺が言いたいのは、これだけです」
アリーゼ第一皇子はそこで言葉を切った。暫く、辺りが無音になる。…しかし、
「…アリーゼ皇子様」
「何でしょう」
「でも、ミュウ皇女は、この国の皇女として、扱ってもらえないことに、とても悲しい思いをしていらっしゃいましたわ…。まだ日も浅く、見知らぬ他人…私に、相談する程、自分の事情を、赤裸にするということは、彼女は何かに苦しんでいる。ということではないでしょうか。だから、今日王妃教育の相談に二人で参りましたのよ」
「……」
「そういう風に、素直に吐き出してくる方はそうそういらっしゃいませんし、その思いを大切にしてみたい。それに、私、仲の良い姉妹に憧れていますの…私、ミュウ皇女とならそれが築けると思っていますわ」
私が彼にそう言うと、そうですか。と返事を返された。すると、ふと、冷たい風に辺り、私はついくしゃみをすると、彼は懐中時計を懐から取り出し見た。
「…失礼しましたわ。アリーゼ皇子様」
「いえ、…長居させてしまいましたね。本格的に、寒くなる前に中に入りましょう」
「王妃教育の事は?」
「それは、後々お話しますよ…ただ、先に、ミュウの事をお話しておきたかったので」
「そうなんですか……」
「…では、俺はこれで」
そうして、彼は、頭を下げると、城の中へ入っていったので、私も奥の方で待っているマークの元へ行った。
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