最後に報われるのは誰でしょう?

ごろごろみかん。

文字の大きさ
10 / 22
第二章

アホシュア再臨

しおりを挟む


ケイト様とお母様の睨み合いを制したのは、レスト様だった。レスト様に制止をかけられたケイト様はじろじろとレスト様を見たあと、わかりやすいほどに顔を逸らした。
王族の前だというのに、あまりにも礼儀に欠いている。見ている方がひやひやするほどだ。
アホシュアは変わらず、何が楽しいのかニヤニヤしている。何を考えているか分からず少し薄気味悪い。
お母様は自分も注意されたことが納得いかないのか、顔を非常に歪めていた。
場には険悪な雰囲気が漂った。

「コホン………各々、当家同士の問題は当事者同士で話し合いを進めるように。レスト・スレランの言う通り、この場は貴殿たちの話し合いの場ではない。お分かりかな、ブラウニー家、ケイト嬢。サンロー家、ホシュア殿、マダム・テラソー」

国王陛下に諌められると、ケイト様は優雅に腰を折る。全く反省の色は見られないが、国王陛下はそれ以上何も言うつもりはないようだった。マダム・テラソーと呼びかけられたお母様はギリギリと人を殺しそうな目でケイト様を見ていて、危険極まりない。アホシュアは「僕は承知しております」と何とも間の抜けた返事をしている。これが五貴族だというのだからゾッとする。
サンロー家のご当主の方は視線をあちこちにやって、落ち着きがなく、アホシュアたちの会話に介入するつもりはなさそうだ。ブラウニー家の当主はどこか余裕そうな、高みの見物と言わんばかりの顔で彼らを見ている。

「それでは本題に入る。ケビン」

「は。………既に通達を出させていただいたとおり、辺境の街・フィンハロンにて聖女様の出現を確認致しました」

ケビンと呼ばれた男の人が紙を手にしながら、その紙面に視線を落として続ける。

「聖女様が現れたのは約三百六十四年ぶりとなります。これは、なにか災厄の訪れる前兆かも知れません」

「………という訳だ。聖女様は今、フィンハロンの土地を持つデロノパ伯に保護させている。来週中には王都にお越しいただくよう手筈を整えているがーー貴殿ら五貴族に、聖女様の護衛を頼みたい」

みなが黙って聞いていると、陛下は顎髭に触れながら続ける。

「力が最も強い今代の代表者が行くのがいいのでな。不参加のベロニー家はまず無理として、ブラウニー家、サンロー家、スレラン家、リズラ家から2人選抜して欲しいと思っている」

「急で申し訳ございませんが、この後話し合いの場を設けさせていただきます。決まりましたら私、ケビンにお知らせください」

「突然の事ですまないな。だが、聖女様が現れたのも突然の事なのだ。急を要してすまないが、本日中に頼むぞ。では、我は戻る」

国王陛下はそれだけ仰ると、赤いマントを翻させて玉座を立った。そして、畏まる私たちの前を通り、水鏡の間を退室された。
陛下が退室されて、すぐにアホシュアがお母様に尋ねた。

「お母様、フィンハロンってどこですか?」

この人、この国の地図も理解してないのかしら……?一応五貴族の、しかも29歳の貴族令息とは思えない発言である。

「辺境の地ねぇ。ここよりずっと北西よ」

「辺境!?絶対行きたくありません!!」

既に辺境の地で聖女様が見つかったことは通達されていたというのに、今頃知ったのごとく叫ぶアホシュア。う、うるさい………。声が大きいわ………。

「そうだ、リリア!!お前がいけ!」

「ア………ホシュア様に指示されるいわれはありませんの」

「何だと!?僕の言うことが聞けないのか!」

アホシュアの激昂した声に、咳払いを入れたのはお父様だった。

「ホシュア殿。リリアと貴殿の婚約関係は破棄となったのだ。口を慎んでくれないか」
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

【完結】薔薇の花をあなたに贈ります

彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。 目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。 ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。 たが、それに違和感を抱くようになる。 ロベルト殿下視点がおもになります。 前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!! 11話完結です。 この度改編した(ストーリーは変わらず)をなろうさんに投稿しました。

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

素顔を知らない

基本二度寝
恋愛
王太子はたいして美しくもない聖女に婚約破棄を突きつけた。 聖女より多少力の劣る、聖女補佐の貴族令嬢の方が、見目もよく気もきく。 ならば、美しくもない聖女より、美しい聖女補佐のほうが良い。 王太子は考え、国王夫妻の居ぬ間に聖女との婚約破棄を企て、国外に放り出した。 王太子はすぐ様、聖女補佐の令嬢を部屋に呼び、新たな婚約者だと皆に紹介して回った。 国王たちが戻った頃には、地鳴りと水害で、国が半壊していた。

陛下を捨てた理由

甘糖むい
恋愛
美しく才能あふれる侯爵令嬢ジェニエルは、幼い頃から王子セオドールの婚約者として約束され、完璧な王妃教育を受けてきた。20歳で結婚した二人だったが、3年経っても子供に恵まれず、彼女には「問題がある」という噂が広がりはじめる始末。 そんな中、セオドールが「オリヴィア」という女性を王宮に連れてきたことで、夫婦の関係は一変し始める。 ※改定、追加や修正を予告なくする場合がございます。ご了承ください。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

処理中です...