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第45話 ドッキリではすまない
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下手をすれば家を追い出されたり、強制就労所に……そこまで頭によぎるとカリブラは恥を忍んでアスーナに縋ることにした。
どうしても自分が追い詰められた状況を受け入れたくなかったのだ。
「あ、アスーナ! 許してくれ! 僕はドッキリのつもりだったんだ!」
「「「「「……はぁ?」」」」」
「ぼ、僕は、本当はこんな酷いドッキリなんかしたくなんかなかったんだ! それなのにこいつらが僕を脅して無理強いして君たちに酷いことをするようなドッキリを強要されて……僕も被害者なんだ、だから助けてくれ!」
「「「「「…………」」」」」
ドッキリ、カリブラはそう言った。しかも、自分が悪くないとでも言うように取り巻きのせいにしようとしたのだ。
バニアもハラドも、謎の二人組みも、何よりもアスーナも、呆れ果てて唖然とした。カリブラが何かしらの抵抗すると思っていたのだが、まさかみっともなくアスーナに縋ってくるとは思っていなかったのだ。
この期に及んでドッキリで済まそうとする……カリブラらしいのだろうがそんな嘘が通用するはずもない。
(ここでアスーナに頼るなんて……)
(どこまでも図々しい……)
(なんて男……)
(見苦しい……)
(……もうやだこの人。頭おかしいのを通り越して頭空っぽじゃないの?)
カリブラ以外の誰もが、カリブラを軽蔑した。特にアスーナに関してはもう見るのも嫌になっていた。決着をつけようと思ってカリブラの計画の裏までかいたのだが、今からでも姿を消してほしいとすら思ったほどだ。
だからこそ、アスーナは自分がしっかりしなければならないと思った。
(もう関わりたくない……だけど、そのためにも私がカリブラ様の心を叩き潰さないと……!)
「カリブラ様、それは言い逃れでしょう。貴方が主導で私達を襲うつもりだったのでしょう」
「違う! 本当にドッキリのつもりだったんだ! 僕は脅された被害者なんだ!」
「無理な言い訳ですね。取り巻きの方々の弱みを握り、保健室の教師を脅して追い出し、一部の衛兵に賄賂を渡していた貴方が脅されていたなど到底思えません」
「そ、それは――っ!?」
カリブラは目を大きく見開いた。アスーナが計画の下準備を直前まで知っていたことに驚いたからだ。だが、アスーナの口から語られるのはそれだけではなかった。
「そもそも、この件はドッキリで済まされません。更に言えば、あの日からカリブラ様が学園を休んでまで良からぬ動きをしていたのも把握させていただきました。そうすると大体何を目論んでいるのかも予想がついたので、ハラド様の反対を押し切って私自ら囮になってカリブラ様の計画を打ち破ろうということになったのです」
「お、囮だと!?」
囮。つまり、アルーナは貴族令嬢でありながら自ら囮になるという危険を犯したというのだ。カリブラの計画を潰すためだと聞いたカリブラは、アスーナのことを下に見ていただけに信じられない思いだった。眼の前にいる女性が本当にアスーナなのかとすら思うほどに。
どうしても自分が追い詰められた状況を受け入れたくなかったのだ。
「あ、アスーナ! 許してくれ! 僕はドッキリのつもりだったんだ!」
「「「「「……はぁ?」」」」」
「ぼ、僕は、本当はこんな酷いドッキリなんかしたくなんかなかったんだ! それなのにこいつらが僕を脅して無理強いして君たちに酷いことをするようなドッキリを強要されて……僕も被害者なんだ、だから助けてくれ!」
「「「「「…………」」」」」
ドッキリ、カリブラはそう言った。しかも、自分が悪くないとでも言うように取り巻きのせいにしようとしたのだ。
バニアもハラドも、謎の二人組みも、何よりもアスーナも、呆れ果てて唖然とした。カリブラが何かしらの抵抗すると思っていたのだが、まさかみっともなくアスーナに縋ってくるとは思っていなかったのだ。
この期に及んでドッキリで済まそうとする……カリブラらしいのだろうがそんな嘘が通用するはずもない。
(ここでアスーナに頼るなんて……)
(どこまでも図々しい……)
(なんて男……)
(見苦しい……)
(……もうやだこの人。頭おかしいのを通り越して頭空っぽじゃないの?)
カリブラ以外の誰もが、カリブラを軽蔑した。特にアスーナに関してはもう見るのも嫌になっていた。決着をつけようと思ってカリブラの計画の裏までかいたのだが、今からでも姿を消してほしいとすら思ったほどだ。
だからこそ、アスーナは自分がしっかりしなければならないと思った。
(もう関わりたくない……だけど、そのためにも私がカリブラ様の心を叩き潰さないと……!)
「カリブラ様、それは言い逃れでしょう。貴方が主導で私達を襲うつもりだったのでしょう」
「違う! 本当にドッキリのつもりだったんだ! 僕は脅された被害者なんだ!」
「無理な言い訳ですね。取り巻きの方々の弱みを握り、保健室の教師を脅して追い出し、一部の衛兵に賄賂を渡していた貴方が脅されていたなど到底思えません」
「そ、それは――っ!?」
カリブラは目を大きく見開いた。アスーナが計画の下準備を直前まで知っていたことに驚いたからだ。だが、アスーナの口から語られるのはそれだけではなかった。
「そもそも、この件はドッキリで済まされません。更に言えば、あの日からカリブラ様が学園を休んでまで良からぬ動きをしていたのも把握させていただきました。そうすると大体何を目論んでいるのかも予想がついたので、ハラド様の反対を押し切って私自ら囮になってカリブラ様の計画を打ち破ろうということになったのです」
「お、囮だと!?」
囮。つまり、アルーナは貴族令嬢でありながら自ら囮になるという危険を犯したというのだ。カリブラの計画を潰すためだと聞いたカリブラは、アスーナのことを下に見ていただけに信じられない思いだった。眼の前にいる女性が本当にアスーナなのかとすら思うほどに。
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