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母娘丼W032 ママたち合流

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№32 ママたち合流

 翌朝、目覚めると両横で天使たちがすぅすぅと寝息を立てていた。
 おかしい。昨夜、天使たちを寝落ちさせてから、もうひとつの和モダンに移ったはずだったが…、夜中にこっちに潜り込んで来たか。
 まったくもう。

 そーっと抜け出して、部屋付半露天風呂に浸かった。外はまだ薄暗い。もうすぐ日の出だ。
 熱海は伊豆半島の東岸。高台にオーシャンビューで建てられた湯宿からは、熱海の町と太平洋が一望できる。当然、部屋付半露天風呂からも日の出が拝めるのだ。

「やっぱいた。」「起こしてくれればいいのに。」
 天使たちが入って来た。振り向いたら、ちょうど天使たちが浴槽を跨ぐタイミングで、辺りはまだ薄暗かったものの、丸見えだった。笑
「「見たでしょ。」」
「ばっちり。」
「「えっちー。」」

 それから3人で温泉に浸かりつつ、日の出のご来光を拝んだのだった。さっきは観音様も拝んだけどね。笑

 朝食後、ゆっくりしてから、天使たちを連れて、熱海の町を回った。いろいろな土産物屋があって、やはり熱海は有数の温泉観光地だなと感心した。

 観光中の街中では、行き交う人々の多くが俺たちを振り返る。やはり、金髪碧眼、銀髪紅眼のふたりの美少女が眼を引くのだろう。
 子供から年頃の娘へと変貌していく成長期に、一歩足を踏み入れた天使たちだ。もう1・2年もすると、街中では必ず声を掛けられるような美少女に育つに違いない。楽しみではあるが心配でもあるな。

 さて、熱海と言えば、名作、金色夜叉の名場面で知られる貫一・お宮の像がある。これを見た天使たちは、
「この男の人、酷ーい!」「女の人を蹴るなんてー。」と憤慨していた。
「でもね、この女の人はね、フィアンセの男の人を捨てて、お金持ちと結婚したんだよ。お金に眼がくらんだんだね。お金持ちと結婚した後、フィアンセを裏切ったことを後悔して、フィアンセの男の人の所に戻ろうとしたんだけど、その男の人に拒絶されてるシーンなんだよね。」
「え?そうなの?じゃあ、女の人が悪いよね。」
「そうだね。お金に眼がくらんでフィアンセを裏切るとかって、最っ低。」
 おっと、ふたりがお宮を攻め出したぞ。そう簡単な話でもないのだけどな。やっぱJSはピュアか。苦笑

「でも反省している女の人を蹴るのはどうなんだろうね。」と俺が言うと、
「んー、しつこく纏わり付いて来たんじゃない?」
「きっとそうだよ。合わせる顔ないよね。普通は。」
 天使たちふたりは、お宮に対して、非常にきついご意見だった。
「私なら、ジョージさんを裏切ったりしないよ。」
「私も。絶対にジョージさんがいい。」
「おっとそれは嬉しいね。」
 俺は貫一の頑なな心情には、同情もするけど違和感も感じるんだよな。お宮がそんなに後悔してるなら、話ぐらいは聞いてやればいいのに…とも思う。

 ふっと、お宮とエリカが被った。
 エリカは俺よりハイスペックなラークにあっさり乗り換えた。俺、エリカが縒りを戻したいって言ったら許せるだろうか?
 絶対無理だわ。でもそれって、ジェニーさんやニコルさんがいるからだよな。いなかったら許せる?いや、やっぱ無理でしょ。てことは俺も貫一と一緒?
「ジョージさん、どうしたの?」
「何を考え込んじゃったの?」
「ん?俺も、アリちゃんとプリちゃんがいいよなって考えてた。」ほんとは違うけど。
「「嬉しい。」」左右から両腕に抱き付かれ、ちょこっと気まずい俺なのだった。

 湯宿に帰って天使たちと温泉に浸かり、昨日に引き続いて豪勢な温泉宿の夕食を摂っていると、ママたちからのリャイーンが来た。
『やっと終わったよ。これから東京を出るんで、熱海に着くのは9時過ぎだね。』
『駅までお迎えよろしくね。』
『承知しました。』

 宿の浴衣に茶羽織を羽織って、ママたちを、車で駅まで迎えに行った。もちろん天使たちも付いて来ている。
『もうすぐ着くわ。』
『こちらはすでに駅に着いてますんで、すぐ改札に向かいますね。』
『すまないね。』

 改札からママたちが出て来たので、俺はおふたりの荷物を受け取った。
「「ママー!」」
「アリスー。」「プリシラー。」
 すかさず、ママたちと天使たちがハグ。
 ひと息ついてから、
「原材料の確保は何とかなったよ。」
「納期も一部を延ばしてもらったわ。その分、値引きもしたけどね。」
「お疲れさまでした。大変でしたね。」

 それから車で湯宿へ。

 部屋割りは、俺と天使たちの3人、ママたちふたりになった。でも、前回同様、俺たちの部屋に皆が集まった。
「ひと部屋でよかったのに。」
「4人定員だったんですよ。」
「子供たちは小学生だからふたりでひとり分だろ?」
「それは気付きませんでした。ふたりともひとりのレディーとして見てましたんで。」
「あらあら、ジョージくんったら、さり気なく子供たちのポイントを稼ぐじゃないの。」
「ジョージさんはね、私たちをレディーとして見てくれてるんだよ。」
「そうだよ。ジョージさんは私たちを子供扱いしないもん。」
「おやおや、私たちが悪者かい?参ったね。」

 その後、家族風呂はすべて予約でいっぱいだったので、皆で大浴場へと向かった。大浴場は男湯と女湯に分かれている。ママたちと天使たちは女湯へ、俺はひとりで男湯に入ったのだった。

 この日は、そのまま部屋に分かれて就寝。天使たちは、この晩も潜り込んで来たのだった。苦笑

 翌日の午前中は、俺と天使たちの部屋で、ママひとりの監督下、天使たちはお勉強…と言う名目で軟禁された。
 俺はもうひとりのママを、ママたち部屋で施術だ。
 流石に全身コース上級編を施しているところを、天使たちに見られる訳には行かないものな。こう考えると、ふた部屋取ってよかったな。

 最近は、ママたちは施術着を着ないから、巨大な双子山の両頂も、草叢の奥の蜜壺の入口もばっちり拝みながら施術ができる。この利点は、正確にツボを刺激できることだ。そう、正確な施術上、必要なのだよ。
 先攻のジェニーさんが、施術中に何度が昇天し、その余韻を冷ましてから、ニコルさんと交代した。後攻のニコルさんも、施術中に何度も昇天したのだった。

 昨日、熱海の市内観光をしたので、天使たちは俺と湯宿でゆっくり遊ぶんだそうだ。遊ぶと言ってもトランプとか、健全な遊びだけどな。

 夕方まで天使たちと遊んで、予約していた貸切風呂の時間になった。貸切風呂は部屋単位で予約できるので、ふたつの貸切風呂を取っている。
 俺は天使たちと入ろうとしたのだが、
「ママたちとジョージさんで入って来なよ。」
「そうだよ。私たちは昨日一緒に入ったからさ。」
「「「え?」」」
「ジョージさん、嬉しいでしょ。」
「ママたちも平気よね?」
「いやいや、フィアンセをほっといて、フィアンセのママたちと一緒に入れないよ。」
「そうよ、アリス。それにママたち、ジョージくんに襲われちゃうわ。」
「そうだよ、プリシラ。ママたちがジョージくんに襲われちゃ、嫌だろ?」
「ジョージさんはそんなことしないもん。」
「そうよ。私たちのフィアンセなんだから。」
「どっちかって言うと、ママたちの方がジョージさんを襲いそうよね。」
「そうよね。ママたち、ジョージさんを襲っちゃだめよ。」
「「…。」」ママたちふたりが絶句するのを見て、俺が横で爆笑してしまった。当然、ママたちに睨まれたけど。

 で、結局ママたちと混浴している。3人で温泉に浸かりつつ…、
「はあ、ショックだよ。私たちの方がジョージくんを襲いそうだと思われてるなんてさ。」
「そうですよね。俺も意外でした。」ああ、顔が緩む。
「ジョージくん、私たちを慰める振りしてそのドヤ顔、やめてよね。イラっと来るわ。」
「すみません。」ダメだ、ニタニタが止まらない。
「だからそのニヤニヤがイラっと来るんだよ。ジェニー、いっそのこと、襲っちまおうか?」
「ほんとよね。このドヤ顔をぎゃふんと言わしてやりたくなって来たわ。」
 俺はさっと湯船から出て、浴室の床に寝転んだ。
「お願いしますっ。」マイドラゴンは天井に向かって屹立している。
 しかし、ママたちふたりからは、冷水を浴びせられたのだった。苦笑

 こんな感じで、楽しい温泉旅行は土曜日まで続いたのだった。結局、ご機嫌を損ねたママたちからのサービスはなかったけどね。

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 毎日22時に投稿します。

 以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739

 カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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