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母娘丼W002 初出勤して分かった残念ママたちの意外な事実
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母娘丼W
Zu-Y
№2 初出勤して分かった残念ママたちの意外な事実
まさかな。
アリスちゃんママ=アリママと、プリシラちゃんママ=プリママが、うちの会社=ドライアド・ジャパンの二枚看板のエースだったとは。
アリママは、うちのデザイン部門のトップでシェリフと呼ばれて尊敬されている強者だった。
しかも、出勤するときは、昨日の様に髪がぼさぼさですっぴんにスウェットと言うだらしない格好じゃなくて、メイクはばっちり、髪もきれいにセットされてて、ボンキュッボンのまるでモデルだ。
なんだよ、俺がメイクしてピカピカに磨き上げたかったけど、自分でできるじゃん。
プリママは、彫刻部門トップでマエストロと呼ばれており、やはり尊崇の念を集めていた。家具に繊細な彫刻を施すのだが、イス程度ならそれこそ、ちょちょいのちょいで、彫刻を施してしまう。
昨日は挨拶にも出て来なかったので、思いっ切り不精なのかなと思ってたけど、プリママもアリママに匹敵する、美人で巨乳で脚もすらっと長くて、スタイル抜群の、飛び切り上玉なアラサーお姉さんだった。つまり、ばっちりとメイクを決めているのだ。しかもプリシラちゃんと同じ銀髪紅眼が、美人なのをより一層、引き立てている。
アリママの斬新なデザインに沿って、プリママが忠実に彫刻を施したら、その家具はヒット商品間違いなしで、ふたりはドライアド・ジャパンの売り上げをがっちりと支えているのだった。
そのせいでおふたりは残業も多く、ほぼ毎日残業だとか。だから休日は、昨日みたいに残念になってしまうのな。それは仕方のないことだ。
「昨日はお休みのところをすみませんでした。」
「あ?なんのこと?」プリママはぶっきら棒だった。苦笑
「引っ越しのご挨拶に伺ったんですが、お休みのお邪魔をしてしまったようで。」
「ああ、坊やが昨日越して来たお隣さんか。」坊や?
「新入社員のジョージと言います。いろいろ教えて下さい。」
「私ゃ、ニコルだ。よろしくな。昨日は顔も見せずにすまなかったね。残業続きだからさ、休みの日は寝だめするんだ。」プリママはニコルさんと言うのか。
「そうなんですね。」
「それよりもさ、坊や…じゃなかったジョージくんだっけ?あんた、昨日プリシラの名前を褒めてくれたんだってね。」
「褒めたと言いますか、名前の雰囲気がお嬢さんにぴったりだなって思ったのでそう言いました。」
「あの子、引っ込み思案で人見知りが激しいんだけどね、ジョージくんに名前を褒められたって喜んでてさ、初対面であれだけ気を許すのは珍しいんだ。」
「そうなんですね。」
「友達も、ジェニーんとこのアリスくらいなんだよ。お隣の誼で、気に掛けてやっとくれ。」アリママはジェニーさんと言うのか。
「承知しました。」
「あら、プリシラもジョージくんを気に入ってたの?」アリママが話題に加わって来た。
「と言うことはアリスもかい?」
「天使みたいだって褒められたって言って喜んでたわ。」
「あの子たち、小学校じゃ、見掛けで敬遠されてるみたいだからねぇ。」
「日本人は皆、黒髪黒眼だものね。金髪碧眼や銀髪紅眼は見た目で浮いちゃうのよねぇ。」
「まったくだ。こないだなんか『銀髪紅眼は吸血鬼だ。』とか言われたって、プリシラったら相当凹んでたんだよ。アリスが庇ってくれたみたいだけど。」
「聞いたわ。例の3人のいじめっ子よね。小学生の男の子たちは言葉に遠慮がないものねぇ。」
「見掛けたら、そのクソガキども、きっちり叱っときます!」
「「え?」」
「言うに事欠いて吸血鬼?マジで許せん。」
「いやいや、そんな大袈裟にしなくても。」
「ニコルさん、何言ってるんですか!クソガキどもなんざ、一度きっちり締め上げなきゃいくらでも増長しますって。」
「まぁそうかもしれないわね。」
「ジェニーさん、さっきの話の流れだと、プリシラちゃんだけじゃなくて、アリスちゃんもそのガキどもに眼を付けられてるかもしれないですよ。一度、おふたりで学校に相談しておいた方がいいんじゃないですか?」
「まあ考えとくわ。」
「確かに担任の先生には伝えておいた方がいいかもしれないねぇ。」
「ところでジョージくん。昨日自己紹介しなかったけど、私の名前はジェニファーよ。ジェニーと呼んでいいのは親しい友人だけなの。日本ではニコルだけよ。気を付けてね。」
「あ、そうなんですね。それは失礼しました。」
「はい、それじゃ、朝礼始めるよ。新入社員諸君、こっち来て。」
支社長に呼ばれて、おふたりとの話を中断し、俺を含めた新入社員5名が皆の前で挨拶をしたのだった。
俺は、営業部に配属された。基本外回りで、うちの製品の売り込みを掛ける仕事だ。展示会とかも行う。
勤めてみて分かったが、アリママのジェニファーさんも、プリママのニコルさんも、部門の長だけあって、毎日が残業続きだった。と言うことは、アリスちゃんもプリシラちゃんも鍵っ子ってことだ。
毎日残業で遅くまで帰って来ないジェニファーさんとニコルさんを待って、ひとりで家にいるのかと思っていたら、日ごとに交代で互いの家に行って、ふたりで過ごしていた。
食事とか、どうしてるんだろ?気にはなったが、他人の俺がずかずか入り込むことでもないので、黙っておくことにした。
うちの支社=ドライアド・ジャパンは週休二日だ。土曜は営業日なので、社員は日曜と平日に休みがある。
ジェニファーさんとニコルさんは、水曜が平日休みの日なのだが、ふたりが欠ける水曜日はいろいろ仕事が停滞することが分かった。
ドライアド・ジャパンは、ほんとにふたりのエースにおんぶに抱っこなのな。
結局、うちの支社の体質のせいで、アリスちゃんやプリシラちゃんにも、巡り巡って大きなしわ寄せが行っているのだ。
ほんとにふたりには申し訳ない。
ちなみに俺の平日休みの日は金曜である。平日の休みは希望制だが、新入社員は一番人気がない金曜日になる。
さて、ドライアドについて少し触れよう。外資系の木工製品メーカーで、本社はフィンランド。日本は、木造建築などで木と関わりが深いのと、東洋の先進国と言うことで市場が大きく、7年前に日本支社として、ドライアド・ジャパンが設立された。
フィンランド出身の、ジェニファーさんとニコルさんは、ドライアド・ジャパンの設立当初から、日本に派遣されて来ているのだ。ってか、7年前ならまだ20代半ばとかだよな。それからたった7年で幹部のエースなんだから、ふたりともむっちゃやり手じゃんよ。
ふたりは大学からの親友で同い年。シングルマザーで同い年の娘を持つと言うとても良く似た境遇から、ふたりそろってドライアド・ジャパンへの転勤を決断したそうだ。
なんか凄ぇよな。
ところでおふたりには彼氏とかいるのかな?これだけ美人でいい女ならいてもおかしくなさそうだけど、仕事一筋みたいだし。どちらかでもいいからフリーだったら嬉しいな。
ようやく元カノのことを忘れられそうな予感がするジョージなのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
メインの2作品はファンタジーで、ラブコメはこの作品が初めてです。
本日は1時間おきに5話投稿します。明日は19時から1時間おきに4話投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№2 初出勤して分かった残念ママたちの意外な事実
まさかな。
アリスちゃんママ=アリママと、プリシラちゃんママ=プリママが、うちの会社=ドライアド・ジャパンの二枚看板のエースだったとは。
アリママは、うちのデザイン部門のトップでシェリフと呼ばれて尊敬されている強者だった。
しかも、出勤するときは、昨日の様に髪がぼさぼさですっぴんにスウェットと言うだらしない格好じゃなくて、メイクはばっちり、髪もきれいにセットされてて、ボンキュッボンのまるでモデルだ。
なんだよ、俺がメイクしてピカピカに磨き上げたかったけど、自分でできるじゃん。
プリママは、彫刻部門トップでマエストロと呼ばれており、やはり尊崇の念を集めていた。家具に繊細な彫刻を施すのだが、イス程度ならそれこそ、ちょちょいのちょいで、彫刻を施してしまう。
昨日は挨拶にも出て来なかったので、思いっ切り不精なのかなと思ってたけど、プリママもアリママに匹敵する、美人で巨乳で脚もすらっと長くて、スタイル抜群の、飛び切り上玉なアラサーお姉さんだった。つまり、ばっちりとメイクを決めているのだ。しかもプリシラちゃんと同じ銀髪紅眼が、美人なのをより一層、引き立てている。
アリママの斬新なデザインに沿って、プリママが忠実に彫刻を施したら、その家具はヒット商品間違いなしで、ふたりはドライアド・ジャパンの売り上げをがっちりと支えているのだった。
そのせいでおふたりは残業も多く、ほぼ毎日残業だとか。だから休日は、昨日みたいに残念になってしまうのな。それは仕方のないことだ。
「昨日はお休みのところをすみませんでした。」
「あ?なんのこと?」プリママはぶっきら棒だった。苦笑
「引っ越しのご挨拶に伺ったんですが、お休みのお邪魔をしてしまったようで。」
「ああ、坊やが昨日越して来たお隣さんか。」坊や?
「新入社員のジョージと言います。いろいろ教えて下さい。」
「私ゃ、ニコルだ。よろしくな。昨日は顔も見せずにすまなかったね。残業続きだからさ、休みの日は寝だめするんだ。」プリママはニコルさんと言うのか。
「そうなんですね。」
「それよりもさ、坊や…じゃなかったジョージくんだっけ?あんた、昨日プリシラの名前を褒めてくれたんだってね。」
「褒めたと言いますか、名前の雰囲気がお嬢さんにぴったりだなって思ったのでそう言いました。」
「あの子、引っ込み思案で人見知りが激しいんだけどね、ジョージくんに名前を褒められたって喜んでてさ、初対面であれだけ気を許すのは珍しいんだ。」
「そうなんですね。」
「友達も、ジェニーんとこのアリスくらいなんだよ。お隣の誼で、気に掛けてやっとくれ。」アリママはジェニーさんと言うのか。
「承知しました。」
「あら、プリシラもジョージくんを気に入ってたの?」アリママが話題に加わって来た。
「と言うことはアリスもかい?」
「天使みたいだって褒められたって言って喜んでたわ。」
「あの子たち、小学校じゃ、見掛けで敬遠されてるみたいだからねぇ。」
「日本人は皆、黒髪黒眼だものね。金髪碧眼や銀髪紅眼は見た目で浮いちゃうのよねぇ。」
「まったくだ。こないだなんか『銀髪紅眼は吸血鬼だ。』とか言われたって、プリシラったら相当凹んでたんだよ。アリスが庇ってくれたみたいだけど。」
「聞いたわ。例の3人のいじめっ子よね。小学生の男の子たちは言葉に遠慮がないものねぇ。」
「見掛けたら、そのクソガキども、きっちり叱っときます!」
「「え?」」
「言うに事欠いて吸血鬼?マジで許せん。」
「いやいや、そんな大袈裟にしなくても。」
「ニコルさん、何言ってるんですか!クソガキどもなんざ、一度きっちり締め上げなきゃいくらでも増長しますって。」
「まぁそうかもしれないわね。」
「ジェニーさん、さっきの話の流れだと、プリシラちゃんだけじゃなくて、アリスちゃんもそのガキどもに眼を付けられてるかもしれないですよ。一度、おふたりで学校に相談しておいた方がいいんじゃないですか?」
「まあ考えとくわ。」
「確かに担任の先生には伝えておいた方がいいかもしれないねぇ。」
「ところでジョージくん。昨日自己紹介しなかったけど、私の名前はジェニファーよ。ジェニーと呼んでいいのは親しい友人だけなの。日本ではニコルだけよ。気を付けてね。」
「あ、そうなんですね。それは失礼しました。」
「はい、それじゃ、朝礼始めるよ。新入社員諸君、こっち来て。」
支社長に呼ばれて、おふたりとの話を中断し、俺を含めた新入社員5名が皆の前で挨拶をしたのだった。
俺は、営業部に配属された。基本外回りで、うちの製品の売り込みを掛ける仕事だ。展示会とかも行う。
勤めてみて分かったが、アリママのジェニファーさんも、プリママのニコルさんも、部門の長だけあって、毎日が残業続きだった。と言うことは、アリスちゃんもプリシラちゃんも鍵っ子ってことだ。
毎日残業で遅くまで帰って来ないジェニファーさんとニコルさんを待って、ひとりで家にいるのかと思っていたら、日ごとに交代で互いの家に行って、ふたりで過ごしていた。
食事とか、どうしてるんだろ?気にはなったが、他人の俺がずかずか入り込むことでもないので、黙っておくことにした。
うちの支社=ドライアド・ジャパンは週休二日だ。土曜は営業日なので、社員は日曜と平日に休みがある。
ジェニファーさんとニコルさんは、水曜が平日休みの日なのだが、ふたりが欠ける水曜日はいろいろ仕事が停滞することが分かった。
ドライアド・ジャパンは、ほんとにふたりのエースにおんぶに抱っこなのな。
結局、うちの支社の体質のせいで、アリスちゃんやプリシラちゃんにも、巡り巡って大きなしわ寄せが行っているのだ。
ほんとにふたりには申し訳ない。
ちなみに俺の平日休みの日は金曜である。平日の休みは希望制だが、新入社員は一番人気がない金曜日になる。
さて、ドライアドについて少し触れよう。外資系の木工製品メーカーで、本社はフィンランド。日本は、木造建築などで木と関わりが深いのと、東洋の先進国と言うことで市場が大きく、7年前に日本支社として、ドライアド・ジャパンが設立された。
フィンランド出身の、ジェニファーさんとニコルさんは、ドライアド・ジャパンの設立当初から、日本に派遣されて来ているのだ。ってか、7年前ならまだ20代半ばとかだよな。それからたった7年で幹部のエースなんだから、ふたりともむっちゃやり手じゃんよ。
ふたりは大学からの親友で同い年。シングルマザーで同い年の娘を持つと言うとても良く似た境遇から、ふたりそろってドライアド・ジャパンへの転勤を決断したそうだ。
なんか凄ぇよな。
ところでおふたりには彼氏とかいるのかな?これだけ美人でいい女ならいてもおかしくなさそうだけど、仕事一筋みたいだし。どちらかでもいいからフリーだったら嬉しいな。
ようやく元カノのことを忘れられそうな予感がするジョージなのだった。
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メインの2作品はファンタジーで、ラブコメはこの作品が初めてです。
本日は1時間おきに5話投稿します。明日は19時から1時間おきに4話投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
応援ありがとうございます!
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