おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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93.紫々井明の決断

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明さんが帰って来て二日で、私の体調はすっかり元に戻った。

最後の診察の後、何故か明さんは外で待っていた雅楽代さん達を呼んだ。

雪野ゆきのさんも雅楽代うたしろさんも尾長谷おばせさん親子も詠川よみかわ先生も、瑠璃川るりかわ先生と伊海いうみ先生も居た。

「明さん、みんなをどうして・・・」

明さんがずっと深刻な表情をしていて気になっていた。
何か私に深刻な病気が見付かったんだ、そう思って覚悟を決めていたけど、明さんが取った行動は予期せぬものだった。
明さんは初めて会った時のように、時代劇で見る美しい所作で、床に正座をし、両手を床に付いた。

「巫女様、この度は私の不用意な行動により、お命を危険に晒し、誠に申し訳御座いません。」

明さん床に額が付きそうな程深々と頭を下げた。

「あ、明さん・・・!そんな、これは仕方ありません!顔を上げてください!こ、こんなに人も居るのに・・・!!」
「謝ったところで到底許されないことは承知しております。」
「そんなことありません!顔を上げ」
「楓ちゃん。」
尾長谷さんの声に振り向く。
「最後まで、ちゃんと話を聞いてあげて。」

誰もがただ、明さんの言葉を待っていた。
その表情を見たら、私は遮る事ができなくて、口を閉じて明さんに向き直った。

「その上、この様なことを所望するなど、有るまじき事ですが・・・」

私は明さんの声が震えている事に気付いて、ようやく、明さんが思い詰めていた事を察した。

「巫女様、私に新しい権能をお与えください。」
「新しい・・・権能・・・?」
「今の私では、巫女様をこの施設の外に出す事すらできません。」
「えっ・・・?」

私以外、誰も驚かなかった。
免疫が付いたら外に出れる。鵜呑みにしていた言葉はまやかしだった。

「で、でも、私を外に出す方法を探しに行ってたんですよね・・・?」
「はい。ですが、今日まで見つかりませんでした。」「探せばまだあるかもしれません。」
「今回は運良く戻れたんです。それに、日本から近い国は調べ尽くしました。これから探すなら、今回より長期でここを空けることになります。その時、また今回のような事が起こったら、巫女様の命をお守りできません。ですから、探す事は諦めざるを得ません。」

大きなショックに耐えながら、私は必死に言葉を飲み込んだ。

「私にはもう、できる事がありません。」

明さんは誠実に頑張ってくれたのに、酷く裏切られたようで、私はぼたぼたと涙を零した。
私は権能の与え方なんて知らない。きっと一生分からない。誰も教えてくれないのだから。
私は一生ここから出られないんだ。

「明さん、ずっと、私に嘘吐いてたの・・・?出られないのわかってたのに、出れるって、期待させる事だけ・・・」
「申し訳御座いません。ですが」

耐えきれなくなって、私は病室を飛び出した。
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