おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

文字の大きさ
61 / 105

61.人望

しおりを挟む
スーツに着替えて外に飛び出すと、祐子さんと瑠璃川先生がバイクに跨る雅楽代さんの傍に立っていた。

「「楓ちゃん!!」」

駆け寄ると、二人は順に私を抱き締めてくれた。

「楓ちゃん、とやかく言われても、見てないあんた達に何が分かるんだ!って言ってやんな。全て見てた楓ちゃんが正義なんだからね。」

「楓ちゃん、女は泣かなければいけない時にだけ涙を見せるの。いい?泣かなければいけない時だけ。だけよ。クソジジイ共になんか絶対涙見せてやっちゃダメだからね!」

「うん。二人共ありがとう。行ってきます。」

私は雅楽代さんの運転する大型バイクの後ろに座った。

「楓様、こちらのヘッドセットをお付けください。移動しながら話します。」

「わかりました。」

私はヘッドセットを付けて、ヘルメットを被った。

「飛ばしますのでしっかり掴まってください。」

雅楽代さんの腰に掴まると、バイクは発進した。

門の手前で別のバイクが待っていて、私達が門を出ると後ろを着いて来た。

『後ろは高辻くんです。彼も少々向こうに用があるので、護衛として同行してもらいます。』

「用?」

『ええ。』

「雪野さんはどこに?」

『向こうに居ます。彼は向こうで先にやる事がありましたから。』

「私がする事、雪野さんも知ってるんですか?」

『私は元よりこうするつもりでしたが、これは彼に頼まれた事でもあります。』

「雪野さんが・・・?」

『彼は責任者ですから業務でこちらには戻れません。ですから、楓様に協力を頼んで欲しいと頼まれました。水無瀬さんは彼の恩人ですから、この世で最も嫌いな私に頭を下げてでも守りたかったのでしょう。』

「雪野さん・・・」

墓地に向かう車の中で、雪野さんは水無瀬さんが大学の先輩で可愛がってもらっていたと話してくれた。

その時の雪野さんの表情で、水無瀬さんの協力にお礼を言った理由がわかった。

「私が家から出た事は伝わってますよね。インタビューを受けるなんて着く頃には対策をされてませんか?」

『ご心配なく。屋敷の警護スタッフは全員、各々の部屋や仮眠室でぐっすり眠っています。向こうに自動で送信される屋敷内の映像等のデータも細工済みですので、楓様の姿を見るまで気付かれません。』

「高辻さん・・・」

『伊海先生が葉山さんの調合した眠り薬入りの食事を振舞ってくれました。葉山さんの話では、目覚める頃には体の疲れがすっかり取れるそうです。瑠璃川先生も、向こうの人物に近い女性達から情報を引き出してくれました。』

「流石瑠璃川先生・・・」

『瑠璃川先生は私が頼みに行った時には既に大体の情報を集め終えていました。いつか楓様の役に立つかもしれないと、方方の女性達と名刺を交換していたそうですよ。』

「私の為に・・・」

『ここまで素早く動けたのは、楓様の人望があったからです。政府からの高待遇で雇われているお二人がこういった事をするというのは、並大抵の関係ではできません。 』

私は感嘆し、また泣いてしまった。

『巫女様をお守りする事は我々守り手の義務です。ですが、楓様にお仕えする彼らは、楓様御自身の事も慕っております。』

「雅楽代さんは・・・?」

微かに、フッと笑った声が聞こえた。

『ご想像にお任せします。』

雅楽代さんの本当の笑顔、見たかったなぁ。

高速で流れる景色を眺めながらそう思った。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける

朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。 お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン 絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。 「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」 「えっ!? ええぇぇえええ!!!」 この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

処理中です...