おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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62.雪野智久の反逆

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総理官邸前は多くの報道陣が居た。

ゲートは、高辻さんがフルフェイスのヘルメットのシールドを上げて少しやり取りしたら開けてもらえた。

入口に着いてバイクを降りると、入口に立っていた警備員二人が駆け付けた。

私がヘルメットを脱ぐと、警備員は驚いて、続いてヘルメットを取った雅楽代さんと高辻さんにも驚いた。

「お待ちください!本日神凪様は来客の予定に入っておりません!」

「至急お話したい事があります。通してください。」

「担当者に確認致しますので」

雅楽代さんと高辻さんは二人を押し退けた。

「理の巫女が緊急の用で来ているのに待てと?」

「で、ですが・・・!」

私達は警備員を無視して中に入った。

総理は今正に会見を行っている。私の目的は、会見に乱入して事実を話すことだ。

階段を上りきると、五六人の職員が騒がしい足音で集まって来た。

「巫女様が何故・・・!!」

「高辻さん、どういう事ですか!!」

「巫女様がどうしてもと仰るのでお連れしました。」

「今は通せません。」

「理の巫女様が急用と仰っているのにですか?」

「総理が会見中です。」

見渡すと、ゾロゾロとスーツの男性達が集まりだした。

「巫女様の歓迎にしては物々しいですね。」

「私は話さなければならない事があるんです。退いてください。」

「できません。」

男達は目配りをして私達を囲んだ。

「巫女様になんて無礼な。」

「お帰り下さい。さあ。」

私に近付いた職員の前に雅楽代さんが立ちはだかった。

「巫女様に触れる事は許さない。貴様ら、退けと言っている。」

雅楽代さんの殺気は、向けられていない私でも鳥肌が立つ程で、皆がたじろいだ。

「け、警備は何をしてるんだ!何故門番は通した!」

「私が命令しました。」

職員達が振り返った先に立っていたのは雪野さんだった。

「高辻も私の命令に従ったまでです。道を開けてください。」

「開けられる訳無いだろう!」
 
殺気を放って歩く雪野さんは、真っ直ぐ私の瞳を見ていた。

そして、立ちはだかる職員達の手首を捻って道を開けた。

「雪野!!」

「巫女様の護衛が私の仕事です。」

雪野さんは私に一礼した。それはいつも以上に美しかった。

私達は雪野さんが開けた道を通った。

後ろをついてくる足音に、向かいからも職員が出て来た。

「巫女様を拘束もしくは追い返すと言うのなら、俺達が相手になる。無駄死にしたければ来い。」

誰も雪野さんと雅楽代さんと高辻さんのトライアングルに近付けない様子だった。

「神凪さん、壇上に上がったら総理と一騎打ちになりますが、記者の中には総理の息が掛かった記者や、巫女に否定的な思想の記者も居ます。」

「心配には及びません。私の職場、パワハラセクハラオンパレードだったので慣れてますから。」

「総理を言い負かす事は不可能です。真っ向勝負は勝ち目がありません。ですから」

「なんだ。自分で頼んでおきながら、楓様を信用していないのか?」

どうしてこうも雅楽代さんと雪野さんって仲が悪いんだろう。

雪野さんが会見場の扉のドアノブを押すと鍵が掛かっていた。

二人は会話も合図も無く、同時にドアを蹴破った。

「えぇぇ!?」

あまりにスムーズに行われた暴挙に唖然とした。

「楓様、貴女なら必ず成し遂げられます。ご武運を。」

「お願いします。」

ハッとして、頬を叩いた私は一歩踏み出した。
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