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60.約束したから
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何もかも夢であって欲しいと願いながら眠りに落ちた私は、誰かが揉めている声と、揺さぶりで目を覚ました。
「雅楽代さん・・・?」
雅楽代さんにいつもの張り付いた笑みはなく、目覚めた私を起き上がらせた。
「楓さんはまだ魔力が十分な状態やない!」
明さんは雅楽代さんに怒鳴った。
窓ガラスが割れている。雅楽代さんは無理矢理部屋に入って来たんだ。
「体調が万全ではない状態にも関わらずお伺いしたことをお許しください。楓様、これを。」
雅楽代さんから、握り締められてくしゃくしゃの新聞を受け取って一面を見た。
私は見出しに愕然とした。
「ど、どうして・・・?これ・・・違いますよね・・・?」
「はい。楓様の情報をリークしたのは同じ内閣付きですが、対策室とは無関係の人間です。とある政治家も口を滑らせている事がわかっていますが、これらは政府と警察庁のごく一部だけが知っている情報です。警察庁に勤める分家の者に探らせましたので確かです。」
「それを知られないために水無瀬さんに罪を被せて・・・?」
「はい。」
「雅楽代!!!」
「楓様のお気持ちを考えろ!!!」
怒鳴り返した雅楽代さんに、初めて人間くささを感じた。
その真剣な顔から、私は目が離せなかった。
「楓様、加々宮総理は水無瀬さんをスケープゴートにして事実を握り潰すつもりです!こちらが今動かなければ、水無瀬さんの情報流出と独断が今回の結果を生んだということにされてしまいます!」
「私には何もできません・・・」
「できます!」
「だって私、救えなかったんですよ・・・」
あの瞬間を思い出して涙が溢れた。
雅楽代さんは跪いて私と目を合わせた。
「それは魔法の話です。楓様、この状況から水無瀬さんを救えるのは、一部始終を目撃し、世界から総理よりも信用を得ている理の巫女様しかいません。」
「でも私・・・」
「水無瀬さんに命よりも大切なモノを託されたのでしょう。」
「・・・法案・・・」
水無瀬さんが悪者になってしまったら、きっと遠のいてしまう。そしたら、水無瀬さんが命を賭けた意味も無くなってしまう。
「この状況を覆せるのは楓様しかいません!」
水無瀬さんの最後の表情が思い浮かんで、震える手で自分の顔を叩いた。
水無瀬さん、私は水無瀬さんの尊厳を守ります。そして墓前で約束した通り、法案も通します。
「雅楽代さん、このまま総理の思い通りにはさせません。」
「はい。」
点滴を引き抜こうとした私の手を明さんが掴んだ。
「明さん、私っ・・・!」
明さんは点滴の針を抜いて、消毒液の付いたガーゼを貼ってくれた。
「楓さん、ほんまは絶対安静や。いきなり強力な魔法を使って、体には様々な影響が出てる。今は薬が効いてるから問題無く動けてるけど、外出後のいつもの症状もかなり酷い状態や。せやから、外出のタイムリミットは薬の効果が切れる12時間後の18時。18時には高熱と痛みで動けへんようになるから、必ず帰って来るんやで。」
「ありがとう。」
明さんごめんなさい。無理はしないって約束したのに、約束を破って。そんな顔をさせてしまって。
私は明さんを残して部屋を出た。
「雅楽代さん・・・?」
雅楽代さんにいつもの張り付いた笑みはなく、目覚めた私を起き上がらせた。
「楓さんはまだ魔力が十分な状態やない!」
明さんは雅楽代さんに怒鳴った。
窓ガラスが割れている。雅楽代さんは無理矢理部屋に入って来たんだ。
「体調が万全ではない状態にも関わらずお伺いしたことをお許しください。楓様、これを。」
雅楽代さんから、握り締められてくしゃくしゃの新聞を受け取って一面を見た。
私は見出しに愕然とした。
「ど、どうして・・・?これ・・・違いますよね・・・?」
「はい。楓様の情報をリークしたのは同じ内閣付きですが、対策室とは無関係の人間です。とある政治家も口を滑らせている事がわかっていますが、これらは政府と警察庁のごく一部だけが知っている情報です。警察庁に勤める分家の者に探らせましたので確かです。」
「それを知られないために水無瀬さんに罪を被せて・・・?」
「はい。」
「雅楽代!!!」
「楓様のお気持ちを考えろ!!!」
怒鳴り返した雅楽代さんに、初めて人間くささを感じた。
その真剣な顔から、私は目が離せなかった。
「楓様、加々宮総理は水無瀬さんをスケープゴートにして事実を握り潰すつもりです!こちらが今動かなければ、水無瀬さんの情報流出と独断が今回の結果を生んだということにされてしまいます!」
「私には何もできません・・・」
「できます!」
「だって私、救えなかったんですよ・・・」
あの瞬間を思い出して涙が溢れた。
雅楽代さんは跪いて私と目を合わせた。
「それは魔法の話です。楓様、この状況から水無瀬さんを救えるのは、一部始終を目撃し、世界から総理よりも信用を得ている理の巫女様しかいません。」
「でも私・・・」
「水無瀬さんに命よりも大切なモノを託されたのでしょう。」
「・・・法案・・・」
水無瀬さんが悪者になってしまったら、きっと遠のいてしまう。そしたら、水無瀬さんが命を賭けた意味も無くなってしまう。
「この状況を覆せるのは楓様しかいません!」
水無瀬さんの最後の表情が思い浮かんで、震える手で自分の顔を叩いた。
水無瀬さん、私は水無瀬さんの尊厳を守ります。そして墓前で約束した通り、法案も通します。
「雅楽代さん、このまま総理の思い通りにはさせません。」
「はい。」
点滴を引き抜こうとした私の手を明さんが掴んだ。
「明さん、私っ・・・!」
明さんは点滴の針を抜いて、消毒液の付いたガーゼを貼ってくれた。
「楓さん、ほんまは絶対安静や。いきなり強力な魔法を使って、体には様々な影響が出てる。今は薬が効いてるから問題無く動けてるけど、外出後のいつもの症状もかなり酷い状態や。せやから、外出のタイムリミットは薬の効果が切れる12時間後の18時。18時には高熱と痛みで動けへんようになるから、必ず帰って来るんやで。」
「ありがとう。」
明さんごめんなさい。無理はしないって約束したのに、約束を破って。そんな顔をさせてしまって。
私は明さんを残して部屋を出た。
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