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プログラマー、魔法技術者に転職する

12.考察と検証と実証

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休んだものの体は全く疲れていない。

後で一度体力の限界を試した方がいい。走る速度もそうだ。

プログラムは、ありえない数値を入れて実行して挙動を確認する。そういう最小最大でどうなるかを知るのは、致命的なバグやミスを防ぐためのもので、命が掛かっている今は特に、考えられる全てを把握しておきたい。

走る速さなんて、最高速度も分からないのに全力で走ったら、某喜劇の女性芸人よろしく何かに衝突しかねない。その死に方はしたくない。

目を閉じて風を感じていると、草むらがガサガサと揺れる音が耳に届いた。

振り向くと、揺れていた草むらは豆粒サイズだった。

目を凝らすと、何か小動物らしき影が見えた。

まさかと思って、目を閉じて石を触った。

私はその時初めて、召喚されたあの時から冷静じゃなかったんだと気が付いた。

もう一度サウルタイガーから逃げたあの時のことを思い返す。

「そうだ...サウルタイガーは凄く遠くにいたんだ...」

普通に気付ける距離なら、あの巨体が追い掛けて来ても、あんな鮮明に追い掛けられてると感じる筈が無い。

「そう言えばラルさん、私が倒れてたのは少し奥に入ったところだったって。」

さっきのように、私には遠くの光が見えていたんだ。

「身体能力だけじゃない。感覚も強化されてる...私人間辞めてるよ...」

おかげで助かったわけだけど、これが必要だなんて、この度の過酷さの想像が付かない。

身震いを手で押さえて、川辺に走った。

川の水で何度も顔を洗った。

恐怖心が消えはしないけど、前を向くための気休めくらいにはなる。

「遠い先のもしもを考えても仕方ない。できる範囲、想定できる事態までを考えないと。」

イザナミ様は、授けた加護があれば大丈夫だって言っていた。

なら大丈夫だ。後は自分の知恵と努力でなんとかなるんだ。
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