92 / 115
愛を確かめ合う
1
しおりを挟む
私が斉藤さんを見かけてから二週間が過ぎていた。
その間、「会ったらどうしよう」とか考えながらも、普通に生活していた。
テツはことあるごとに「大丈夫か?」と気遣ってくれていた。
そして先週、私は何年かぶりに体調を崩して熱を出してしまった。
一日で下がったので、精神的な疲れが出たんだと思う。
新しい職場環境で気を張っていた上、斉藤さんのこともあり、いろいろなことが重なっていたからだろうと自分で分析している。
今はもう復活して、元気になった。
仕事を終え、『ベリルスター』という十八階建てのホテルに来ていた。
『ベリルスター』はこの辺りでは有名なホテルで、宿泊施設だけではなく、レストランやバーやカフェ、スカイラウンジ、宴会場などがある。
昨日の夜、テツがいきなりスカイラウンジで食事をしようと言ってきた。
本当は土日のどちらかに予約をしようと思っていたみたいだけど。
平日にスカイラウンジで食事をしようと言ってきたので、どうしたのかと聞いたら日頃料理を作ってくれている私にお礼も兼ねてとのことだった。
多分だけど、違う理由もある気がした。
私がずっと斉藤さんのことを気にしていたのをテツは気づいていた。
しかも先週、体調を崩したこともあり、気分転換をしてくれようとしたのかなと勝手に思っている。
十九時半から予約を取っているらしく、仕事を終えた私は一足先にホテルについていた。
テツは寄るところがあるみたいで、現地集合という形になった。
テツからホテルに着いたら一階ロビーの奥にある『ラッシュ』という店に行ってと言われていたので、そこを目指す。
そこは十九時で閉まるらしく、出来れば早めに行ってほしいと言われた。
だから私は、仕事が終わって速攻で向かったので十八時過ぎにはホテルに着いた。
『ラッシュ』の店内を見ると、洋服やアクセサリー、バッグや靴など置かれていた。
ここで何をするのか分からず、恐る恐る店に足を踏み入れた。
店員に名前を名乗るように言われていたので私は声をかけた。
「すみません、夏木と言いますけど」
「夏木様ですね。鳴海様からお話はうかがっています。こちらへどうぞ」
私は店員に試着室入るように促された。
アンクルストラップのサンダルを脱ぎ、試着室の中へ入る。
「鳴海様より、こちらを着てもらうようにとうかがっています。試着出来ましたら教えてください」
そう言って渡されたのは、ミントグリーンのシフォン素材のワンピースだった。
「失礼ですけど、夏木様の足のサイズはおいくつでしょうか?」
「二十四センチですけど」
「二十四センチですね。かしこまりました。それでは失礼します」
そっと試着室のドアを閉められた。
どういうこと?
とりあえず、これを着ればいいってことだよね。
頭にハテナマークを浮かべながらも、自分の着ていた服を脱いでワンピースに袖を通した。
フリル袖のふんわりとしたひざ丈のシフォンワンピースで、動くたびに裾がふわりと揺れる。
めちゃくちゃ可愛くて私好みのワンピースだ。
これをテツが選んでくれたの?
ドアを開けて顔を覗かせると、店員がやってきた。
その間、「会ったらどうしよう」とか考えながらも、普通に生活していた。
テツはことあるごとに「大丈夫か?」と気遣ってくれていた。
そして先週、私は何年かぶりに体調を崩して熱を出してしまった。
一日で下がったので、精神的な疲れが出たんだと思う。
新しい職場環境で気を張っていた上、斉藤さんのこともあり、いろいろなことが重なっていたからだろうと自分で分析している。
今はもう復活して、元気になった。
仕事を終え、『ベリルスター』という十八階建てのホテルに来ていた。
『ベリルスター』はこの辺りでは有名なホテルで、宿泊施設だけではなく、レストランやバーやカフェ、スカイラウンジ、宴会場などがある。
昨日の夜、テツがいきなりスカイラウンジで食事をしようと言ってきた。
本当は土日のどちらかに予約をしようと思っていたみたいだけど。
平日にスカイラウンジで食事をしようと言ってきたので、どうしたのかと聞いたら日頃料理を作ってくれている私にお礼も兼ねてとのことだった。
多分だけど、違う理由もある気がした。
私がずっと斉藤さんのことを気にしていたのをテツは気づいていた。
しかも先週、体調を崩したこともあり、気分転換をしてくれようとしたのかなと勝手に思っている。
十九時半から予約を取っているらしく、仕事を終えた私は一足先にホテルについていた。
テツは寄るところがあるみたいで、現地集合という形になった。
テツからホテルに着いたら一階ロビーの奥にある『ラッシュ』という店に行ってと言われていたので、そこを目指す。
そこは十九時で閉まるらしく、出来れば早めに行ってほしいと言われた。
だから私は、仕事が終わって速攻で向かったので十八時過ぎにはホテルに着いた。
『ラッシュ』の店内を見ると、洋服やアクセサリー、バッグや靴など置かれていた。
ここで何をするのか分からず、恐る恐る店に足を踏み入れた。
店員に名前を名乗るように言われていたので私は声をかけた。
「すみません、夏木と言いますけど」
「夏木様ですね。鳴海様からお話はうかがっています。こちらへどうぞ」
私は店員に試着室入るように促された。
アンクルストラップのサンダルを脱ぎ、試着室の中へ入る。
「鳴海様より、こちらを着てもらうようにとうかがっています。試着出来ましたら教えてください」
そう言って渡されたのは、ミントグリーンのシフォン素材のワンピースだった。
「失礼ですけど、夏木様の足のサイズはおいくつでしょうか?」
「二十四センチですけど」
「二十四センチですね。かしこまりました。それでは失礼します」
そっと試着室のドアを閉められた。
どういうこと?
とりあえず、これを着ればいいってことだよね。
頭にハテナマークを浮かべながらも、自分の着ていた服を脱いでワンピースに袖を通した。
フリル袖のふんわりとしたひざ丈のシフォンワンピースで、動くたびに裾がふわりと揺れる。
めちゃくちゃ可愛くて私好みのワンピースだ。
これをテツが選んでくれたの?
ドアを開けて顔を覗かせると、店員がやってきた。
11
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
イケメン副社長のターゲットは私!?~彼と秘密のルームシェア~
美和優希
恋愛
木下紗和は、務めていた会社を解雇されてから、再就職先が見つからずにいる。
貯蓄も底をつく中、兄の社宅に転がり込んでいたものの、頼りにしていた兄が突然転勤になり住む場所も失ってしまう。
そんな時、大手お菓子メーカーの副社長に救いの手を差しのべられた。
紗和は、副社長の秘書として働けることになったのだ。
そして不安一杯の中、提供された新しい住まいはなんと、副社長の自宅で……!?
突然始まった秘密のルームシェア。
日頃は優しくて紳士的なのに、時々意地悪にからかってくる副社長に気づいたときには惹かれていて──。
初回公開・完結*2017.12.21(他サイト)
アルファポリスでの公開日*2020.02.16
*表紙画像は写真AC(かずなり777様)のフリー素材を使わせていただいてます。

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

小さな恋のトライアングル
葉月 まい
恋愛
OL × 課長 × 保育園児
わちゃわちゃ・ラブラブ・バチバチの三角関係
人づき合いが苦手な真美は ある日近所の保育園から 男の子と手を繋いで現れた課長を見かけ 親子だと勘違いする 小さな男の子、岳を中心に 三人のちょっと不思議で ほんわか温かい 恋の三角関係が始まった
*✻:::✻*✻:::✻* 登場人物 *✻:::✻*✻:::✻*
望月 真美(25歳)… ITソリューション課 OL
五十嵐 潤(29歳)… ITソリューション課 課長
五十嵐 岳(4歳)… 潤の甥

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
初恋は溺愛で。〈一夜だけのはずが、遊び人を卒業して平凡な私と恋をするそうです〉
濘-NEI-
恋愛
友人の授かり婚により、ルームシェアを続けられなくなった香澄は、独りぼっちの寂しさを誤魔化すように一人で食事に行った店で、イケオジと出会って甘い一夜を過ごす。
一晩限りのオトナの夜が忘れならない中、従姉妹のツテで決まった引越し先に、再会するはずもない彼が居て、奇妙な同居が始まる予感!
◆Rシーンには※印
ヒーロー視点には⭐︎印をつけておきます
◎この作品はエブリスタさん、pixivさんでも公開しています

あなたが居なくなった後
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。
まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。
朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。
乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。
会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる