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愛しい幼なじみ side哲平
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それから、仕事が忙しくて美桜には会えなかったけど、毎日欠かさず連絡は取っていた。
やっと仕事が一段落したので、美桜と晩飯に行こうと思い連絡した。
仕事終わりに惣菜店まで迎えに行くことを伝えたら、美桜から『家にいる』という返事が返ってきた。
体調が悪いのかと聞けば、そんなことはないと言う。
だったら何なんだと聞けば理由は会ってから話すと言われ、アパートまで迎えに行き、俺の行きつけの居酒屋に連れてきた。
そこで美桜が口にしたのは予想だにしない理由だった。
まさか、美桜がストーカー被害に遭っているなんて思わなかった。
本人は勘違いかも知れないけどなんて言ってたけど、それは間違いなくストーカーだろう。
店の弁当が気に入って毎日買いに来くるのはまあ、あるとは思う。
百歩譲って、食事先で会ったのは偶然かもしれない。
だけど、わざわざ店の裏側に回ってくるとか普通はしないだろ。
しかも配達帰りを狙ったかのように。
美桜が言うように待ち伏せしているとしか思えない。
美桜がそんな環境に置かれているなんて考えただけでゾッとする。
今はまだ何も起こってないけど、今後何があるか分からない。
仕事を休むように助言してくれたおばさん、グッジョブ!
俺の知らないところで美桜が危険な目に遭うなんて絶対に嫌だ。
俺が守らなきゃという使命感が沸々とわいてきた。
その為には美桜が目の届く範囲にいないと守れない。
ストーカーに美桜の家を知られている可能性もある。
幸い仕事を辞めるらしいので、俺の家に住むことを提案した。
美桜は黙りこくり、難しい表情で考えている。
そんなに考えることでもないだろ。
ただ頷けばいい話なのに。
なかなか口を開かない美桜に言葉をかける。
「俺の知らないところで美桜が危険な目に遭うのだけはマジで嫌なんだ。だから、俺の家に来て欲しい。美桜のこと、そばで守らせてくれ」
そう言うと、困ったように眉尻を下げて俺を見る。
美桜の中でいろいろ葛藤があるのかもしれない。
好きだから守りたいと思うのは当然だ。
どう言ったら美桜に分かってもらえるんだろうと考えて、俺のことを利用すればいいと言った。
そしたら、それは出来ないとばかりに表情を曇らせる。
美桜は正義感が強くて優しいからそういうことは出来ないと思うんだろう。
こういう時に美桜がずる賢い性格だったらよかったのに……。
まぁ、美桜がそんなヤツだったら俺も好きにならないんだけど。
「俺たちは深い関係になっているのに、今さら何を遠慮してるんだよ」
意味深に言えば美桜の顔はみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
「俺だって美桜と一緒にいれるのは願ったり叶ったりだし、ウィンウィンだと思うけど」
ここまで言っても美桜は首を縦に振らない。
こうなったら押し切るしかないと思い、一緒に住むことは決定事項として話を強引に終わらせた。
そこまでしないと美桜を守ることが出来ない。
美桜に対する想いは誰にも負けないぐらい強いんだ。
俺はこれから始まる美桜との生活に向けて考えを巡らせていた。
やっと仕事が一段落したので、美桜と晩飯に行こうと思い連絡した。
仕事終わりに惣菜店まで迎えに行くことを伝えたら、美桜から『家にいる』という返事が返ってきた。
体調が悪いのかと聞けば、そんなことはないと言う。
だったら何なんだと聞けば理由は会ってから話すと言われ、アパートまで迎えに行き、俺の行きつけの居酒屋に連れてきた。
そこで美桜が口にしたのは予想だにしない理由だった。
まさか、美桜がストーカー被害に遭っているなんて思わなかった。
本人は勘違いかも知れないけどなんて言ってたけど、それは間違いなくストーカーだろう。
店の弁当が気に入って毎日買いに来くるのはまあ、あるとは思う。
百歩譲って、食事先で会ったのは偶然かもしれない。
だけど、わざわざ店の裏側に回ってくるとか普通はしないだろ。
しかも配達帰りを狙ったかのように。
美桜が言うように待ち伏せしているとしか思えない。
美桜がそんな環境に置かれているなんて考えただけでゾッとする。
今はまだ何も起こってないけど、今後何があるか分からない。
仕事を休むように助言してくれたおばさん、グッジョブ!
俺の知らないところで美桜が危険な目に遭うなんて絶対に嫌だ。
俺が守らなきゃという使命感が沸々とわいてきた。
その為には美桜が目の届く範囲にいないと守れない。
ストーカーに美桜の家を知られている可能性もある。
幸い仕事を辞めるらしいので、俺の家に住むことを提案した。
美桜は黙りこくり、難しい表情で考えている。
そんなに考えることでもないだろ。
ただ頷けばいい話なのに。
なかなか口を開かない美桜に言葉をかける。
「俺の知らないところで美桜が危険な目に遭うのだけはマジで嫌なんだ。だから、俺の家に来て欲しい。美桜のこと、そばで守らせてくれ」
そう言うと、困ったように眉尻を下げて俺を見る。
美桜の中でいろいろ葛藤があるのかもしれない。
好きだから守りたいと思うのは当然だ。
どう言ったら美桜に分かってもらえるんだろうと考えて、俺のことを利用すればいいと言った。
そしたら、それは出来ないとばかりに表情を曇らせる。
美桜は正義感が強くて優しいからそういうことは出来ないと思うんだろう。
こういう時に美桜がずる賢い性格だったらよかったのに……。
まぁ、美桜がそんなヤツだったら俺も好きにならないんだけど。
「俺たちは深い関係になっているのに、今さら何を遠慮してるんだよ」
意味深に言えば美桜の顔はみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
「俺だって美桜と一緒にいれるのは願ったり叶ったりだし、ウィンウィンだと思うけど」
ここまで言っても美桜は首を縦に振らない。
こうなったら押し切るしかないと思い、一緒に住むことは決定事項として話を強引に終わらせた。
そこまでしないと美桜を守ることが出来ない。
美桜に対する想いは誰にも負けないぐらい強いんだ。
俺はこれから始まる美桜との生活に向けて考えを巡らせていた。
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