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愛しい幼なじみ side哲平

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「美桜、今は好きなやつはいるのか?」

「好きな人?いないよ。それに今まで付き合った人なんていないから」

マジか?
と言うことは、今も彼氏はいないってことだよな。

「じゃあ、俺と付き合う?」

軽い感じで言ってみたけど、俺は至って本気だ。

「何で?」

キョトンとした表情で聞いてくる。

「美桜のことが好きだから付き合いたいと思ってるんだけど。美桜は俺のこと、好き?」

「うーん……テツのこと、昔は好きだったけど今は再会したばかりだから分かんない」

「だったらキスしてみる?」

「どうして?」

「嫌いなヤツとキスできるか?」

「出来る訳ないじゃん」

「だろ。もし、キスが出来たら美桜は俺のことを好きかも知れないだろ」

バカなことを言っている自覚はある。
断られるとは思うけど、どうしても美桜に俺のことを意識して欲しかった。
それなのに、美桜は……。

「いいよ」

そう言って目を閉じた。
嘘だろ。
酔っているからなのか?
目の前の状況に戸惑いながらも、美桜の唇に触れるだけのキスをした。

「あれ?全然嫌じゃなかった。私、テツのこと好きなのかな?それより、人の唇ってこんなに柔らかいんだね。もう一回してもいい?」

人の気も知らないで無邪気にそんなことを言う。
待ってくれ、これ以上キスなんてしたら止まれる自信は微塵もない。

「お前、酔ってるんだろ。今さら俺が言うのもなんだが、止めておけ」

「なんでよ。テツは私のこと好きなんでしょ?嘘なの?」

目を潤ませながら言ってくる。

「あのさ、俺は美桜のことが好きだからキスだけで止まれない。キス以上のこともしてしまうかもしれない。それでもいいのか?」

頼むから断ってくれ。
そんな俺の願いも虚しく美桜はキスを選択した。
美桜は酔っているんだからダメだと頭では分かっていた。
だけど、好きな人を前にすると、どうしても欲望が抑えられなかった。
至るところにキスをし、身体中を愛撫していくとその度に甘い声を漏らす。

美桜の口から「初めてだから、優しくして……」と衝撃の言葉を聞いて、嬉しさのあまり身体がゾクゾクした。
好きな人の初めての男になれることに、この上ない喜びを感じた。

何度も好きだと伝え美桜と身体を繋げると、身も心も満たされた。
ヤバイぐらい気持ちよく、あっという間に快感の波に溺れていく。
美桜は痛みから俺の背中や腕を引っかいた。
その傷さえも美桜と身体を重ねた証みたいで愛しくて堪らなかった。
美桜を抱きしめて幸せな気持ちで眠りについた。

それなのに、美桜は起きたら昨日のことを覚えていなくて愕然とした。
こいつ、どこから覚えていないんだ?
さすがにバーでの出来事は覚えているだろう。

昨日あんなに抱き合ったことも忘れ、夢だとか言い出すし。
夢にされてたまるか!

段々、腹が立って強引に結婚しようと言った。
美桜は冗談だと思っていたみたいだが、俺は本気だ。
結婚するなら美桜しかいないと思っていた。
自分でもなんでこんなに美桜に執着しているか分からない。
だけど、理屈じゃない。
俺の本能が美桜を求めていた。

身体から始まって順番が逆になってしまったのは反省している。
美桜が昨日のことを思い出してくれるという保証はないが、それだったら美桜の気持ちを俺に向けるまでだ。
同じ過ちは絶対にしないし、美桜を逃がしたりしない。
また美桜に意識してもらうべく、唇にキスをした。

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