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偶然の再会
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「安子さん、いつも元気がいいねぇ」
「ホントですね。京都旅行にも行かれてたみたいですもんね」
「それはそうと、お土産って何だろうね」
梶川さんが興味津々にテーブルの上に置いていたお土産の入っている袋の中を覗き込む。
「はいはい、そこまで。これからお客さんも増えてくるんだから、お土産は仕事が終わってからね」
おばさんがパン、と手を叩き緩んでいた空気を引き締めた。
***
「美桜ちゃんの考えた玉子焼きアラカルト好評ね」
「ホントですか?よかったです」
おばさんの言葉に洗い物をしていた手を止めた。
先月、おばさんから何かメニューを考案してみないかと言われ、私は玉子焼きのアレンジメニューを考えた。
砂糖たっぷりの甘い玉子焼き、だし巻き玉子、玉子焼きの中にウィンナー、ほうれん草、チーズ、明太子を入れたりと計六種類。
いろいろな種類があったら選ぶ楽しみもあるし、食べ比べてもらいたいなという思惑もあった。
子供にはウィンナーやチーズ、甘い玉子焼きが大人気。
年配の方にはだし巻きやほうれん草が人気だ。
今日も安子さんがこの二種類を買ってくれたし、好評と聞いてホッとした。
「そうそう。今日、美桜ちゃんが配達に行ってたから久々にレジに入ったの。その時にね、イケメンが来たのよ」
「へぇ、イケメンですか」
おばさんはアイドルとか大好きでイケメンには目がない。
「ちょっと、美桜ちゃん!もっと興味を示してよ」
私の反応が気に入らなかったのか、口を尖らせる。
「えー、だってイケメンとか興味ないですもん」
「またそれだ。イケメンなんて実際にはそうそういないんだからお目にかかれるのは貴重なのよ!」
「またそんなこと言って……」
呆れたように話に割り込んできたのは、オーナー兼店長のおじさんだ。
「あら、いいじゃない。見てるだけで誰にも迷惑をかけてないんだから。あなただって昔はイケメンだったのに……」
そう言ってため息をつく。
おばさん曰く、おじさんは若い頃は痩せていてイケメンだったらしい。
今はお腹がポッコリ出て、ちょっと太り過ぎって感じだけど。
結婚後二十五キロ以上太ったとのことで、おばさんは『詐欺だ』とよく嘆いている。
「あなた少しは運動したら?このまま丸くなったら歩くより転がる方が速いかもね」
「そうかな。でも、みーちゃんと並んで歩きたいからなぁ」
嫌味たっぷりに言われてもおじさんは笑っている。
「だったら少しは痩せる努力をして!太りすぎは身体にも悪いんだから」
「そうだね」
何だかんだ言いながら、おばさんもおじさんの身体のことを心配している。
結果、この二人は仲がいい夫婦だ。
洗い物が終わり、濡れた手をタオルで拭いてから帰り支度をする。
遅番だったから、最後の片付けまでやって今日の仕事は終了だ。
「お疲れさまでした」
挨拶をして裏口から外へ出て表に回る。
ふとお店の前に車が止まっているのに気づく。
セダンタイプのシルバーの車だ。
多分、車を止めて電話でもしてるんだろう。
帰ろうと歩き出したら、車のドアが開く音が背後で聞こえた。
「美桜」
空耳だろうか。
私の名前を呼ぶ低くてよく通る声は最近聞いた覚えがある。
足音が近づき、まさかと思いながら振り返ると長身の男性がゆっくりとこちらに向かってきていた。
その人物は、十日前ぐらいに弁当の配達先で会ったテツだった。
「ホントですね。京都旅行にも行かれてたみたいですもんね」
「それはそうと、お土産って何だろうね」
梶川さんが興味津々にテーブルの上に置いていたお土産の入っている袋の中を覗き込む。
「はいはい、そこまで。これからお客さんも増えてくるんだから、お土産は仕事が終わってからね」
おばさんがパン、と手を叩き緩んでいた空気を引き締めた。
***
「美桜ちゃんの考えた玉子焼きアラカルト好評ね」
「ホントですか?よかったです」
おばさんの言葉に洗い物をしていた手を止めた。
先月、おばさんから何かメニューを考案してみないかと言われ、私は玉子焼きのアレンジメニューを考えた。
砂糖たっぷりの甘い玉子焼き、だし巻き玉子、玉子焼きの中にウィンナー、ほうれん草、チーズ、明太子を入れたりと計六種類。
いろいろな種類があったら選ぶ楽しみもあるし、食べ比べてもらいたいなという思惑もあった。
子供にはウィンナーやチーズ、甘い玉子焼きが大人気。
年配の方にはだし巻きやほうれん草が人気だ。
今日も安子さんがこの二種類を買ってくれたし、好評と聞いてホッとした。
「そうそう。今日、美桜ちゃんが配達に行ってたから久々にレジに入ったの。その時にね、イケメンが来たのよ」
「へぇ、イケメンですか」
おばさんはアイドルとか大好きでイケメンには目がない。
「ちょっと、美桜ちゃん!もっと興味を示してよ」
私の反応が気に入らなかったのか、口を尖らせる。
「えー、だってイケメンとか興味ないですもん」
「またそれだ。イケメンなんて実際にはそうそういないんだからお目にかかれるのは貴重なのよ!」
「またそんなこと言って……」
呆れたように話に割り込んできたのは、オーナー兼店長のおじさんだ。
「あら、いいじゃない。見てるだけで誰にも迷惑をかけてないんだから。あなただって昔はイケメンだったのに……」
そう言ってため息をつく。
おばさん曰く、おじさんは若い頃は痩せていてイケメンだったらしい。
今はお腹がポッコリ出て、ちょっと太り過ぎって感じだけど。
結婚後二十五キロ以上太ったとのことで、おばさんは『詐欺だ』とよく嘆いている。
「あなた少しは運動したら?このまま丸くなったら歩くより転がる方が速いかもね」
「そうかな。でも、みーちゃんと並んで歩きたいからなぁ」
嫌味たっぷりに言われてもおじさんは笑っている。
「だったら少しは痩せる努力をして!太りすぎは身体にも悪いんだから」
「そうだね」
何だかんだ言いながら、おばさんもおじさんの身体のことを心配している。
結果、この二人は仲がいい夫婦だ。
洗い物が終わり、濡れた手をタオルで拭いてから帰り支度をする。
遅番だったから、最後の片付けまでやって今日の仕事は終了だ。
「お疲れさまでした」
挨拶をして裏口から外へ出て表に回る。
ふとお店の前に車が止まっているのに気づく。
セダンタイプのシルバーの車だ。
多分、車を止めて電話でもしてるんだろう。
帰ろうと歩き出したら、車のドアが開く音が背後で聞こえた。
「美桜」
空耳だろうか。
私の名前を呼ぶ低くてよく通る声は最近聞いた覚えがある。
足音が近づき、まさかと思いながら振り返ると長身の男性がゆっくりとこちらに向かってきていた。
その人物は、十日前ぐらいに弁当の配達先で会ったテツだった。
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