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二人の関係を変えた夜
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「どうして……」
何でテツがこんなところにいるの?
あれからしばらく経ったけど、テツの会社に配達はなかったし、もう会うことはないだろうと思って油断していた。
惣菜店の名前からインターネットとかで私の職場をわざわざ調べたんだろうか。
「お疲れさま」
「えっ、あ、うん。テツもお疲れさま」
「いつもこの時間に仕事が終わるのか?」
「早番と遅番があって、今日は遅番だからいつもって訳じゃないけど」
いきなり普通に話しかけられ、考え事をしていたこともあり条件反射で答えていた。
そんなことより!
「どうしてここにいるの?」
「どうしてって、美桜と話がしたかったから待ってた」
「待ってたっていつから?私の仕事が終わる時間なんて知らないでしょ」
「まぁ、そうなんだけどな。今日の昼、会えるかと思って弁当を買いに来たんだ。だけど美桜は店にいなかったから、多分配達に行っているんだろうと思ってとりあえず閉店時間を確認しといた。それに合わせて仕事を終わらせて来たから、待ったのは三十分ぐらいかな」
昼にうちの店に来た?
おばさんがイケメンが来たって言ってたのはもしかしてテツのこと?
途中でおじさんが会話に加わりイケメンの話がうやむやになったというか、そのままスルーしていた。
「三十分も待ったって、私が早番で帰っていたらどうするのよ」
テツの行動は行き当たりばったりで『バカなんじゃないの?』という言葉が喉まで出かかった。
「まぁ、その時は仕方ないよな。でも、こうして会えた俺はラッキーだ」
「ラッキーって……」
フッ、と笑みを浮かべるテツに呆れてしまう。
そこまでして私と話す必要があるんだろうか。
私は関わりたくないんだけど。
「話って何?」
さっさと話を聞いて終わらせたかったのに、テツの口から出た言葉は私の求めていた答えではなかった。
「もう飯食った?」
「は?お店の物を軽く食べたけど」
余った惣菜を片付けがてら食べたりしている。
他のパートの人とかは、タッパーに詰めて持ち帰る人もいる。
って、今はそんなことはどうでもいい。
「だから、話って……」
「俺、晩飯まだ食ってないから付き合って。もう腹減って倒れそうなんだ」
話を遮られ訳の分からないことを言う。
どうして私がテツのご飯に付き合わないといけないのよ。
「そんなの知らないよ」
「まぁ、いいから。奢るから付き合って」
「ちょっと!」
いきなり私の腕を掴み、有無を言わせずテツの車に乗せられた。
車内は私好みの芳香剤の匂いがし、BGMは洋楽が流れている。
私は運転免許は持っているけど、自分の車は持ってない。
イケメンだし、仕事が出来そうだし明らかにスペックが高そうなテツに何かムカつく。
しかも、強引な態度にイライラは最高潮だ。
文句のひとつでも言いたかったけど、こんな密室で険悪な雰囲気になるのも嫌だし。
運転しているテツをジロッと睨みつつ、これも今日限りだから我慢だと何度も自分に言い聞かせた。
何でテツがこんなところにいるの?
あれからしばらく経ったけど、テツの会社に配達はなかったし、もう会うことはないだろうと思って油断していた。
惣菜店の名前からインターネットとかで私の職場をわざわざ調べたんだろうか。
「お疲れさま」
「えっ、あ、うん。テツもお疲れさま」
「いつもこの時間に仕事が終わるのか?」
「早番と遅番があって、今日は遅番だからいつもって訳じゃないけど」
いきなり普通に話しかけられ、考え事をしていたこともあり条件反射で答えていた。
そんなことより!
「どうしてここにいるの?」
「どうしてって、美桜と話がしたかったから待ってた」
「待ってたっていつから?私の仕事が終わる時間なんて知らないでしょ」
「まぁ、そうなんだけどな。今日の昼、会えるかと思って弁当を買いに来たんだ。だけど美桜は店にいなかったから、多分配達に行っているんだろうと思ってとりあえず閉店時間を確認しといた。それに合わせて仕事を終わらせて来たから、待ったのは三十分ぐらいかな」
昼にうちの店に来た?
おばさんがイケメンが来たって言ってたのはもしかしてテツのこと?
途中でおじさんが会話に加わりイケメンの話がうやむやになったというか、そのままスルーしていた。
「三十分も待ったって、私が早番で帰っていたらどうするのよ」
テツの行動は行き当たりばったりで『バカなんじゃないの?』という言葉が喉まで出かかった。
「まぁ、その時は仕方ないよな。でも、こうして会えた俺はラッキーだ」
「ラッキーって……」
フッ、と笑みを浮かべるテツに呆れてしまう。
そこまでして私と話す必要があるんだろうか。
私は関わりたくないんだけど。
「話って何?」
さっさと話を聞いて終わらせたかったのに、テツの口から出た言葉は私の求めていた答えではなかった。
「もう飯食った?」
「は?お店の物を軽く食べたけど」
余った惣菜を片付けがてら食べたりしている。
他のパートの人とかは、タッパーに詰めて持ち帰る人もいる。
って、今はそんなことはどうでもいい。
「だから、話って……」
「俺、晩飯まだ食ってないから付き合って。もう腹減って倒れそうなんだ」
話を遮られ訳の分からないことを言う。
どうして私がテツのご飯に付き合わないといけないのよ。
「そんなの知らないよ」
「まぁ、いいから。奢るから付き合って」
「ちょっと!」
いきなり私の腕を掴み、有無を言わせずテツの車に乗せられた。
車内は私好みの芳香剤の匂いがし、BGMは洋楽が流れている。
私は運転免許は持っているけど、自分の車は持ってない。
イケメンだし、仕事が出来そうだし明らかにスペックが高そうなテツに何かムカつく。
しかも、強引な態度にイライラは最高潮だ。
文句のひとつでも言いたかったけど、こんな密室で険悪な雰囲気になるのも嫌だし。
運転しているテツをジロッと睨みつつ、これも今日限りだから我慢だと何度も自分に言い聞かせた。
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