19 / 35
2章:初恋のおにぎり
17話:丸いおにぎり
しおりを挟む
「ここが厨…。 キッチンだよ!」
牡丹ちゃんに連れてこられた場所は小さいおうちに似合わないほど立派なキッチンだ。
ただ使用は昔ながらのようでコンロはない。
あったとしてもどうやってガスを引っ張ているのか分からないからある意味納得だけどね。
「お米は炊いてあってね。 この中に入っているよ!」
そう言いながら牡丹ちゃんは桶?のようなものを持ってくる。
「塩はね。そっちあるよ! 他にも何か必要なものがあったらいってね!」
ワクワクしているのか僕を見ながらにこにこしている。
そんなに僕のおにぎりを楽しみにしていると思うとなんだか気合が入る。
「よし!」
そう意気込んで作り始めるために手を洗う。
あのとき作ったのは確か塩おにぎりだった気がする。
再現するためにも塩だけでいいだろう。
それに冷蔵庫もないこの家の中じゃ他に食材があるといっても僕が使い慣れたものはなさそうだし、失敗するよりはましだよね。
そう思い塩をある程度桶の中にあるご飯に入れる。
炊いてからそんなに時間を経過してないのかあったかい。
塩加減が問題ないか一口味見をする。
うん。僕好みの濃さだ。
あとはおにぎりを握っていくのだが、僕は綺麗に三角に握れない。
三角に握ろうとするとどうしても力が入ってしまいお米を潰してしまうのだ。
それでもムキになって三角にしようと頑張っていたら父さんに言われたっけ。
「無理して三角にする必要ないよ」
「え?でも、かっこわるいよ?」
「全然かっこわるくないよ」
「そうかな?」
「そうだよ。 お父さんはね、見た目よりも味だと思うんだ。 だからほら、三角が難しいなら丸くしてしまえばいい。 お米を潰しちゃうより、美味しい方がいいだろ?」
そういうと父さんは三角に握っていたおにぎりを丸く握り変えた。
それから僕も無理して三角にしようとはしなくなった。
その代わり丸くふわっと、お米を潰さないように握る。
「よし! できたよ!」
そういいながら皿に乗せた丸いおにぎりを渡す。
牡丹ちゃんに連れてこられた場所は小さいおうちに似合わないほど立派なキッチンだ。
ただ使用は昔ながらのようでコンロはない。
あったとしてもどうやってガスを引っ張ているのか分からないからある意味納得だけどね。
「お米は炊いてあってね。 この中に入っているよ!」
そう言いながら牡丹ちゃんは桶?のようなものを持ってくる。
「塩はね。そっちあるよ! 他にも何か必要なものがあったらいってね!」
ワクワクしているのか僕を見ながらにこにこしている。
そんなに僕のおにぎりを楽しみにしていると思うとなんだか気合が入る。
「よし!」
そう意気込んで作り始めるために手を洗う。
あのとき作ったのは確か塩おにぎりだった気がする。
再現するためにも塩だけでいいだろう。
それに冷蔵庫もないこの家の中じゃ他に食材があるといっても僕が使い慣れたものはなさそうだし、失敗するよりはましだよね。
そう思い塩をある程度桶の中にあるご飯に入れる。
炊いてからそんなに時間を経過してないのかあったかい。
塩加減が問題ないか一口味見をする。
うん。僕好みの濃さだ。
あとはおにぎりを握っていくのだが、僕は綺麗に三角に握れない。
三角に握ろうとするとどうしても力が入ってしまいお米を潰してしまうのだ。
それでもムキになって三角にしようと頑張っていたら父さんに言われたっけ。
「無理して三角にする必要ないよ」
「え?でも、かっこわるいよ?」
「全然かっこわるくないよ」
「そうかな?」
「そうだよ。 お父さんはね、見た目よりも味だと思うんだ。 だからほら、三角が難しいなら丸くしてしまえばいい。 お米を潰しちゃうより、美味しい方がいいだろ?」
そういうと父さんは三角に握っていたおにぎりを丸く握り変えた。
それから僕も無理して三角にしようとはしなくなった。
その代わり丸くふわっと、お米を潰さないように握る。
「よし! できたよ!」
そういいながら皿に乗せた丸いおにぎりを渡す。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
「ベンタ」ープロボクシング青春小説ー
野﨑博之(のさきひろし)
青春
二〇二三年三月、中学を卒業したばかりの十五歳の二人の青年、ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)と、分銅海斗(ぶんどうかいと)。見ず知らずの二人。
ベンタは故郷の和歌山県から、分銅海斗は岩手県から、千葉県松戸市にある「徳川ボクシングジム」所属のプロボクサーになることを目指しそれぞれ上京した。
ベンタは中学に入って間もなく父の会社が倒産。さらに不幸が重なり父を病気で亡くす。
ベンタを小一から指導してくれていたバスケットボールアカデミーの巻川コーチに将来の進路を相談する。巻川の友人でスポーツ新聞の記者をしている吉村から、知る人ぞ知るある有名な元プロスポーツ選手だった人を紹介される。現在は千葉県松戸市でボクシングジムを経営している元世界フェザー級チャンピオン徳川万世だった。
一方分銅海斗は三歳の時、二〇一一年三月十一日に起きた東日本大震災の津波で両親を亡くす。
まだ一歳だった妹と二人、祖父母と共に生き残り、祖父母が両親に代わり二人の兄妹を育てる。
プロ野球選手を目指していたが中学二年の時、震災記念日にボランティアで訪れていた徳川万世と東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオンの田上瞬に出会う。
海斗は妹と祖父母の生活の為、そして人生を自分の力で切り開く為に高校進学と野球を諦めプロボクサーになる決意をするが、祖父栄治郎から、「十年で引退」の条件が課せられる。
ベンタと海斗、十五歳。
ベンタは父を、海斗は両親を失い、違う環境で育った二人が、徳川ボクシングジムで出会い、厳しい練習とバイト生活、高校の通信教育を続けながら、世界チャンピオンの夢に向かって一意専心。
切磋琢磨の末、強敵との厳しい命懸けの試合、そして田口マネージャーや村木トレーナー、ジムのリーダー田上、選手寮の矢尾板、小島といった先輩達との友情を育みながら、故郷に残した家族の為にひたむきに世界の頂点を目指す若きプロボクサーの五年に渡る軌跡。血の滲むような努力と勤勉、そして人生への挑戦という自己実現の物語。果たしてベンタと海斗は、世界チャンピオンになれるのか?


痩せたがりの姫言(ひめごと)
エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。
ひとりではなく、さまざまな人が姫についての密かな本音をつぶやきます。
だから「姫言」と書いてひめごと。
別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。
これについても、語り手は同一人物とは限りません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる