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2章:初恋のおにぎり
16話:忘れらない味
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「その時に食べたおにぎりがとっても美味しくて…忘れらなかったの」
そう言葉を紡ぐ彼女にドキっとする。
森と同じ見た目だから森に言われているみたいで、変な気持ちだ。
でもこの子は牡丹ちゃん。
豆狸の妖怪。
「新汰がか!?」
こちらの会話を聞いていたのか、彼女の言葉を聞いて驚いたような声をあげる天狐様。
それもそのはず。
僕が天狐様の前で見せた料理はあの筑前煮だけ。
そりゃ料理ができないと思われるのも納得だ。
「僕だっておにぎりくらいは作れるよ! それしか作れないですけど…」
小さくボソっと最後の言葉を繋ぐ。
すると天狐様が「くいたい」と言い始める。
「え?」
「新汰の作ったおにぎりがくってみたいのじゃ」
「いや、でも」
「牡丹もくいたいじゃろ?」
「え!あ、でも、ご迷惑になっちゃうし…」
「くいたいのか?くいたくないのか?」
「く、くいたいです!」
「ほれ、こやつもそう言っておる。ここは作ってあげるのが男じゃないか?」
天狐様の言葉に引くに引けない状態になる。
なんかおにぎりの期待値があがっているのは気のせいか?
確かにおにぎりは作れるし、唯一自信がある料理だけど。そこまで期待されるほど美味しいかと言われたら…、正直かなり不安だ。
「作ってもいいですけど、でも材料がないですよ?」
せめてもう少し練習してから振舞いたい。
こんなぶっつけ本番じゃなくて。いや、作れるけど、作れるけどね。
そうやって心の中で言い訳をしていると、「米くらいあるぞぉ?」とろく郎さんが口を開く。
「え?」
「酒を造るのに米を使うからなぁ。ほれ、牡丹厨に案内してやれぇ」
「うん!」
そういうと牡丹ちゃんは僕の手を引っ張り歩き出した。
え、おにぎり作るのはもう決定事項なの!?
そう言葉を紡ぐ彼女にドキっとする。
森と同じ見た目だから森に言われているみたいで、変な気持ちだ。
でもこの子は牡丹ちゃん。
豆狸の妖怪。
「新汰がか!?」
こちらの会話を聞いていたのか、彼女の言葉を聞いて驚いたような声をあげる天狐様。
それもそのはず。
僕が天狐様の前で見せた料理はあの筑前煮だけ。
そりゃ料理ができないと思われるのも納得だ。
「僕だっておにぎりくらいは作れるよ! それしか作れないですけど…」
小さくボソっと最後の言葉を繋ぐ。
すると天狐様が「くいたい」と言い始める。
「え?」
「新汰の作ったおにぎりがくってみたいのじゃ」
「いや、でも」
「牡丹もくいたいじゃろ?」
「え!あ、でも、ご迷惑になっちゃうし…」
「くいたいのか?くいたくないのか?」
「く、くいたいです!」
「ほれ、こやつもそう言っておる。ここは作ってあげるのが男じゃないか?」
天狐様の言葉に引くに引けない状態になる。
なんかおにぎりの期待値があがっているのは気のせいか?
確かにおにぎりは作れるし、唯一自信がある料理だけど。そこまで期待されるほど美味しいかと言われたら…、正直かなり不安だ。
「作ってもいいですけど、でも材料がないですよ?」
せめてもう少し練習してから振舞いたい。
こんなぶっつけ本番じゃなくて。いや、作れるけど、作れるけどね。
そうやって心の中で言い訳をしていると、「米くらいあるぞぉ?」とろく郎さんが口を開く。
「え?」
「酒を造るのに米を使うからなぁ。ほれ、牡丹厨に案内してやれぇ」
「うん!」
そういうと牡丹ちゃんは僕の手を引っ張り歩き出した。
え、おにぎり作るのはもう決定事項なの!?
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