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お祭りと異変の種

420:再訪

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文字を打つのにも慣れてきたのでここからは一話あたりがちょっと長めになります。
今後もよろしくお願いします!

______

「アキト様。もうそろそろ着きます」

 ガムラの故郷である村を出発してから今日で十日。一週間くらいで着くだろうと思っていたが、思ったよりも時間がかかった。
 とはいえ、抵抗をする賊を引き連れてるんだから仕方がない。むしろ、この結果なら良い方じゃないだろうか。

「久しぶりだな……」
「ええ、本当に」

 イリンからかけられた声を聞き、俺は御者席側へと通じている窓から顔を出して前を見る。
 するとそこには少し遠くはあるがはっきりと街が見えた。

「……二人は、あの街に行ったことがあるのよね?」

 俺が顔を出すと、環も同じように窓から顔を覗かせて前方の街を眺めている。

「ええ。とは言っても、ほんの少しだけの間でしたが」
「冒険者として、まともに仕事した事程度しかこれって出来事も……」

 以前来た時は王国から逃げ出した直後だった。その時の事を思い出しながら話していたのだが、あそこであったことを思い出してしまい、そこで俺の言葉は止まってしまった。

「彰人?」
「……いや、なんでもない」

 そんな俺の様子を隣にいた環が訝しげに首を傾げて尋ねてきたが、俺は笑いかけてなんでもないと誤魔化す。

「それより、この後はどうするんだろうな。結局、賊はニナが一人で衛兵に突き出すって言ってたけど、宿を探すのか、それともギルドに先に行くのか……」

 ここに来るまで捕まえた賊の管理は全員で分担して行っていたが、出来るだけ害にならないように、賊の受け渡しは自分がやるとニナはそう言って引き受けた。
 だが、今更ではあるがその後はどうするのか聞いていなかった。賊退治の件であとで一緒にギルドに行くことにはなっていたが、それがいつのことなのか、行くとしてどこで待ち合わせだとかそういうのは話し合うのを忘れていた。

「そういえば、それは聞いてなかったわね」
「そうですね。……では少々聞いて参ります」
「え?」
「環。操縦は任せました」
「え? あ、ちょっと!」

 イリンはそう言うと手綱を窓から顔を出しているだけの環に少し強引に押し付け、馬車を飛び降りて少し離れて前を進んでいるニナの元へと走って行った。

「まったく……」

 環は手綱を渡されたとはいえ馬車の中のいる状態からでは操作しづらいため、今顔を出している窓から出て席についた。

「彰人もどう?」

 そう言いながら自身の横をポンポンと叩いて、俺に隣に座るように示した。

「そうだな」

 特に拒否する理由もないので俺も外へと出ていった。

「……」
「……」

 環と二人で並んで座っているが、俺はさっき思い出した事のせいか、なんだか話しかけることができずにいた。

「……彰人。あなた、あの街に嫌な思い出でもあるの?」

 すると、環がそんな風に話しかけてきた。

「……いや? どうしてそう思った?」
「どうしても何も、見てればわかるわよ。さっき言い淀んだのって、それを思い出したからでしょ?」

 そんな環の言葉に、俺は前に存在している街へと視線を向けながら一度大きく息を吐き出してから話し出す。

「別に、嫌な思い出があるわけじゃないんだが……あの街は、ウースと最初に出会った街なんだ」
「ウース……確かイリンの親戚の……」
「ああ。最初にあった時にイリンは首輪をしていてな。今もしてるがあれじゃなくてもっと無骨な奴で、偶然その場に居合わせてそれを見たウースが、イリンが奴隷にされてると勘違いして俺に決闘を申し込んできたんだ」

 あの時、初めて会った時の様子を思い出して話していく。

「まあ俺はそれを受けなかったんだけど……」
「え……受けなかったの?」

 今まで聞きに徹していた環から、思わずと言った風に言葉が漏れた。

「ああ。獣人式の決闘方法で、お互いに武器を地面に突き立てることで決闘の承諾とするんだ。だから、ウースは俺に決闘を申し込むためにギルドの床に剣を突き立てたんだ。でも、故意にギルドの備品を傷つけることは禁止されてる。ウースはそれにひっかかって捕まったんだ」
「ええぇ……」

 環は普段の彼女らしからぬ声を出しているが、それほどまでに驚愕した、というか呆れたのだろう。まあ、こうして振り返ってみると、俺自身あの行動は多少なりとも思うところがある。もうちょっと付き合ってやっても良かったんじゃないかって。

「結局その違約金は払ったみたいなんだけど、まあその程度じゃ諦めなくてな。そこから因縁の始まりだな」

 だがそれも、結果はどうあれもう終わった事だ。

「もう終わったこととはいえ、ただ懐かしいってだけじゃ片付けられなくてな。それでさっきはおかしな感じになったんだ。だからまあ、特に何があるって訳でもないから、心配するな」

 俺はそう言って肩を竦めて環に笑いかけた。

「彰人。力を抜いて」

 すると、環は突然真剣な表情をしながらそう言ってきた。
 そして、俺の肩を掴むとその手に力を入れて、俺の体を自身の足の上に無理やり寝かせた。

 やろうと思えば抵抗できたが、俺は流されるままに体を横にし、環の顔を見上げる。

「なんだ、突然」
「んー、なんでかしらね。ただ私がこうしたかったのよ」
「……そうか」
「ええ。そうよ」
「そうですか」

 なんで環がこんな事をしたのかを俺はハッキリと言葉にすることはできないが、それでも彼女が俺の事を気遣ってくれているのはわかる。俺はそれがなんだかとても嬉しかった。

「「……」」

 そうして少しの間そのまま環の膝枕を受けていたのだが、ふと先ほどの会話に何か違和感を感じた。
 そしてその違和感の正体に気がついた瞬間、俺はバッと体を起こした。

「っ!? イ、イリン!?」

 起き上がるとそこにはつい今し方まで俺に膝枕をしていた環と、その向こうで微笑みながら立っているイリンがいた。

「はい。なんでしょう? ああ、環。馬車の操縦は変わりますね」

 いつの間に戻ってきたんだ!?

「あー、その、これは……」
「いえ、私はなんとも思っていません」

 なんだかんだイリンを除け者にして、彼女がいない間に浮気をしたような気分になった俺はなんとか言い訳をしようと必死になって言葉を探すが、俺が何かを言う前にイリンはそう言って笑った。
 いやまあ、確かに俺は環とも結婚しているわけなんだし、浮気ではないのだから言い訳する必要もないんだけど……。

「それで、街に入った後はどうするって?」

 俺は咳払いをしてからこの後のことをイリンに尋ねる。

「はい。引き渡しには少し時間がかかるだろうから、先に『黄金の絆』と言う宿に言って欲しいとのことです。そこにネーレさんも泊まっているそうなので」
「『黄金の絆』ね。了解」

 まあ了解と言ったところで、馬車の操縦は俺ではなくイリンがするんだろうからあまり覚える必要もないような気もするが。

「ここですね」
「宿の前に兵が二人か。建物の作りもいい。これはすごく当たりな宿だな」

 イリンから話を聞いた後、俺たちは街に着く直前でニナと別れ、さも関係ありませんよとばかりに普通に門を潜り抜け街の中へと入った。
 そうして街に入った後イリンの操縦によって辿り着いた場所は、かなり立派な建物があった。これが黄金の絆と言う宿なんだろう。

 この宿は兵が門を守り、建物自体もとても立派で、一見しただけでもある程度以上の金を持っている奴用だとわかる。
 だがその作りは決してただ豪華なだけではない。成金貴族のような無駄な豪華さや城のような煌びやかさはないものの、よくみると細部までしっかりと細工が行われており、だがそれがくどくなりすぎないような調和の取れたものだった。

「申し訳ありません。銀級以上であればどのギルドでも構わないのですが、この宿は銀級以下の方はお泊めできません」

 だがいざ敷地に入ろうとしたしたところで、門番に止められてしまった。
 どうやらこの建物は銀級以上の者しか泊まれないらしく、俺たちは銀より下の銅級なので門前払いとなったのだ。

「ニナ・ニルドレンからの紹介できたのですが、それでもですか?」
「でしたら紹介状などはございますか?」
「いえ……」

 イリンが食い下がったが、そんなものは持っていない。
 ニナは紹介状のことを忘れていたのか、それとも紹介状など書く必要がないと思ったのかのどちらかだろうが、どちらにしても紹介状がないのは変わらない。

「では申し訳ありません。紹介状か、お泊りいただいているご本人様がご一緒でなければお泊めできません」
「ですが……」
「イリン」

 そうして門番に断られ尚も食い下がるイリンだが、俺はそれを止める。

「構わない。ルールを破ろうとしてるのはこっちだ」

 ここで無駄に抵抗したところでこの門番達は俺たちを通さないだろうし、暴れるなんてのは論外だ。
 絶対にここじゃないといけないってわけでもないんだし、なんなら今日は別の宿に泊まって明日にでもニナに一緒にもう一度ここにきて貰えばそれで良い。

「すまない。迷惑をかけて。それと、できることなら馬車を停められるようなそれなりに大きな宿はこの近くにないか?」

 このままニナが賊の引き渡しを終えてこの宿に来るまで待っているという方法もあるにはあるが、道の邪魔になるし店の邪魔にもなる。流石にそれをしたらこの宿の人に怒られそうなのでやめておきたい。
 ここは素直に別の宿を取った方がいいだろう。そう思って聞いてみたのだが、兵士たちはお互いに顔を見合わせ、それから片方の兵がこちらに向き直った。が、なんだかその様子は微妙なものだったように感じられた。

「それでしたらいくつかありますが、あちらにに進んで二本目の大きな道を右に曲がると『黄金の実り』と言う大きな建物があります。ただ、少々値段の方が……」
「ああ大丈夫だ。ありがとう」

 金の心配はない。国が変わるので通貨も変わるが、どの国の通貨であっても使えないことはないし、なんならこの国の通貨を稼ぐ手段だってある。

「それにしても、『黄金』ってことはここの兄弟店か何かなのか?」
「いえ、違います。あれとはまったくの別物です」
「あっちはこの宿の後から出来たんだ。で、なんのためか知らないが、名前を被せてきた」

 ほう……経営者がライバルとかそんな感じか? でもそれにしてはなんで俺をそっちに勧めたんだって感じもするな。この門番達はどうにもその宿のことを嫌っているように見えるし、わざわざそっちに客を送ることもないだろうに。……まさか俺たちはそれほどまでに鬱陶しい客だと思われたのか? 確かに抗議はちょっとしたが、それでも鬱陶しいとまではいかないと思うんだが……。

「おい」
「あ、すんませ──申し訳ありません」

 そう考えていると、門番の片方が軽い感じの門番へと注意をし、そう注意された方は言葉遣いを改めて謝ってきた。

「いや、いいさ。別にお偉いさんってわけじゃないんだ。あんたらだってずっと縛ってると疲れるだろ?」
「ありがとうございます」
「……ですが貴族の方でないとなると、教えておいてなんですが、やはり『黄金の実り』はやめておいた方が良いかもしれません」

 貴族じゃないやつにはお勧めしていない宿を教えたのに今になってやめた方がいいと言うって事は、俺は貴族に思われてた?
 もしかしてその『黄金の実り』は貴族以外はお断りみたいな感じか? いや、それにしてはさっきの言い方はおかしい。貴族以外が泊まれないんだったら素直にそう言えば良い。

 だがこの門番は消極的な説得をしてきた。だとしたら金さえあれば泊まれるが、何かしらの問題があると言うことだろう。その問題が何かまではさすがにわからないが、まあ聞いてみれば良いか。

「……何かあるのか?」
「何かというか……」
「貴族と大商人の御用達とでもいえばよろしいでしょうか……」

 門番達がそう言い淀む様子で分かった。多分だが貴族以外も泊めているが、泊まっている大半は貴族とつながりがある金持ちの連中なんだろう。そこに貴族ではない一般人の俺が行ったらどうなるか。この二人はそれを心配してるんだと思う。

「あー、なんとなくわかった」

 けどまあ、大丈夫だろう。この二人が間違えたように、この馬車はなんかちょっと良い感じの見た目をしてるし、俺たちの服装だって一般人よりも良いものだ。金さえ払えば一泊だけ泊めてくれるくらいはしてくれるだろう。

「まあ大丈夫だ。どうしても耐えきれなかったら明日ニナを連れてこっちに戻ってくるから。本人が一緒なら俺たちも大丈夫なんだよな?」
「はい。その時はお待ちしております」

 そうして門番達に挨拶をした後、『黄金の絆』を出発して『黄金の実り』の方へと辿り着いたのだが……

「あー、うん。なんだ。……あの兵達が言い淀んだのもわかるような気がするな」
「そう、ですね……」

 こちらにも兵はいたが『黄金の絆』の時のように泊められることはなくすんなりと中に入って行けた。
 こんな警備で大丈夫なんだろうか? それともやっぱりこの馬車の見た目のおかげ?
 まあ普通の冒険者が乗るようなものではないし、イリンはメイド服なので貴族に間違われても仕方がない。でも、貴族ではないが一応それ相応の身分を持ってるんだけどな。王国の勇者としても、獣人国の勲章持ちとしても、身分としてはそれなりだと思う。勇者の方は何があっても使うつもりはないけど。

「ようこそお越しくださいました」

 宿の敷地に入り建物の前まで行くと、執事風の服を着た男性が俺たちを出迎えた。

「当宿は初めてのご様子ですが、相違ありませんでしたでしょうか?」

 わざわざそう聞いて来るってことは、もしかして今まで来た客全部を覚えているんだろうか? だとしたらすごいな。俺には到底出来るとは思えない。

「ええ。馬車を止めることのできる宿を聞いたらここが良いと教えられたものでして」
「左様でございましたか。ではどうぞこちらへ。馬車の方は我々で移動させておきますので」

 窓から顔を出して答えたのだが、一瞬だけぴくりと表情が動いた気がする。……気のせいか?

 そんな疑問が頭に浮かんだが、馬車の扉が開いたことでその考えは中断された。

「お荷物などはございませんか?」
「ああ、大丈夫です。収納魔術を使えるので、そちらに入っています」
「おお! 収納魔術を覚えておられるとは、まだお若いのに素晴らしい」

 馬車を降りて荷物を持っていない俺たちにそう言った執事風の従業員……もう執事でいいか。見た目はまんま執事だし。執事は荷物の有無を聞いてきたので素直に収納魔術が使えることを告げると、大袈裟なほどに驚いていた。

 なんだ? 収納スキルの方は見せたら驚くのはわかっていたが、たかだか収納魔術程度でこんなにも驚くものか?

「さあどうぞ」

 その理由がわからずに考えていたのだが、執事がそう言いながら進んでいったのでその後をついていくことにした。

 そして建物の中に入ると、その光景は外観よりも一層キラキラしたものだった。
 高いんだか安いんだかよくわからない壺に、絵画や彫刻。壁の一部には宝石が埋め込んであったり金色の光を放っていたりした。あれは壁に金でも混ぜてるんだろうか?

 上を見るとキラキラと輝くシャンデリアなんかもあるし、前を見れば前方の左右には数人のメイドが並んでいる。
 ……うん。思い描く貴族の館って感じであってるんだけど、なんかもう、観ただけでお腹いっぱい胸いっぱいって感じがする。

「お部屋のご要望などはございますでしょうか?」

 部屋の要望か……どうしよう。
 正直なところ、明日にはさっきの『黄金の絆』の方に移るつもりだ。けど、せっかくこんなところに来たんだし、ただ止まるってのもつまらない。金は十分にあるわけだし、奮発するか?

「そうだな……おすすめなんかはありますか?」
「ございます」
「ならそれでお願いします。とりあえず一晩で」

 細かい注文の付け方なんて知らないので、とりあえずおすすめにしておいた。こう言っておけば、何かすごい失敗をするってこともないだろう。

「かしこまりました。つきましては、当宿は前払いとなっておりますので……」
「ああ。いくらですか?」
「こちらになります」

 そう言って取り出した表には値段が書いてあったが、目の前の執事が指し示したのは一番高いものだった。……まあそうだよなぁ。

「ではこれで」

 俺は収納魔術を執事の隣にやってきたメイドが持っていたトレーの上に展開すると、そこから必要なだけのお金をジャラジャラと音を立てながら取り出した。

「で、ではこのものが案内いたします」

 そう言って執事は一人のメイドを示したが、どこか先ほどまでと様子が違う。俺が収納魔術から直接取り出したことに驚いている……ってわけでもない感じだな。あくまでも個人的な感覚でしかないのだが、もっと違う類の驚きだったように思う。
 あの驚き方は、悪い方に驚いてた感じだな。好感情の驚きではなかった。
 ……もしかしてだが、俺たちじゃ一番高いところは払えないとでも思っていたのか?

「こちらへどうぞ」

 そうしてメイドの案内に従って歩き出したのだが、なんだろう? 左右に並んでいるメイド達が、やけに俺達のこと……正確には俺のことを見ている気がする。どこかおかしな所があるってわけでもないし……まあいいか。

「ご用がおありでしたら、こちらの魔術具を起動していただければ即座に参ります」

 そうして部屋に案内されたのだが……

「キラキラしい……」

 部屋の中はやはりと言うべきか、ホールと同じくらいにキラキラとした部屋だった。正直に言うなら、無駄に豪華にしすぎて下品に感じるほどだ。

「なんだか、すごく豪華な感じね。お城よりも豪華なんじゃないかしら?」

 だがそれも当然だ。城は節度を守って調和の取れた豪華さだ。だが、こっちは節操なしの無駄にキラキラしたものを無駄にちりばめたただの無駄な豪華さだ。まさに成金が好みそうなイメージの部屋。

「……ですが、実態はそうでもないようです」

 俺たちが部屋に驚いている間に、イリンはベッドに手を当て押している。おそらく防犯のために部屋の確認をしていたのだろうと思う。

「あー、こりゃ確かに。まだ俺が持ってるベッドの方がいいんじゃないか?」
「そうね……」

 だがそう言ったイリンの言葉につられて俺も開いているベッドに腰を下ろして確認してみるが、思わずそう呟いてしまう程度のものだった。
 確かにベッドに施されている彫刻はすごいし、一般の宿に比べれば全然いいものだとわかるのだが、それでもわざわざ工房に出向いて直接職人と話してめちゃくちゃ金を掛けて作った俺のベッドに比べるとはるかに劣る。
 まあそこまでしたんだから大抵は劣るんだろうけど、王国の城に置かれているものよりも劣っていた。これほどまでに見た目を豪華にしてるんだったら、中身の方ももうちょっとがんばってもいいと思う。

「まあ、ニナと連絡をつけて明日にでも前のやつに移動すれば良いだろう。今回はせっかく来たんだし、こういうところも経験として一度くらいは良いだろう」

 その後も盗聴器的なものがないかと色々確認したが、そう言った類の物は見つからなかった。が、代わりに見た目が豪華なだけで作りはまだまだ甘いものが多々見つけてしまった。
 ここは貴族御用達というよりも、成金御用達とかの方があってるんじゃないだろうか?

 まあこういうところは、『ここに泊まったぞ』っていうステータス的なやつが重要なんだろう。知らんけど。

「けど、どうやって連絡を取るんですか?」
「…………ふぅ。どうしようか」

 環にそう言われてニナへの連絡方法を考えたが、特に何も思い付かなかった。

「ギルドに行ったらどうでしょう? 後日私たちも共に報告をする必要があると言っていましたが、とりあえず賊を引き渡した後に一度先に行っておくとも言っておりましたので」
「そうか。ならギルドに行こうか」

 イリンの言葉を受けて、とりあえず俺たちはギルドに行くことにした。
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