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第二章 吸血鬼編
第45話 代償 ②
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「その筋は、体内の魔力が通る道です。魔力回路と言いますが、コウくんはその魔力回路がズタズタに壊れているのですよ。一体、何をしたらそんなになるんですか」
「ええと……」
魔力を通る道がズタズタ?
そう言われれば心当たりがある。
「多分、回復魔法を無理やり使ったせいかと……」
痛みを堪えて、回復魔法を使った際、魔力を流すときに痺れるようない痛みを感じた。
多分、あれがその魔力回路が上げる悲鳴だったのだろう。
というか、このひび割れが出来たのって、回復魔法を使っているときなんだから、まず間違いなく回復魔法のせいだ。
「……以前、回復魔法を使うと頭が痛いと言ってませんでしたか? たしか、適性がないと説明したはずです」
カンナさんは眉をひそめて、俺を睨む。
ちょっと怖い。
大昔に学校の先生に怒られたのを思い出してしまう。
「いや、その、痛かったですけど、気合と根性でなんとかなった、みたいな……」
そんな言い訳をすると、カンナさんはため息をついた。
そして、俺の肩に手を置いて、ベッドから身を起こす俺と目線を合わせる。
「コウくん? 気合と根性を出す所を間違っています。痛みというのは、ちゃんと意味があるのです。身体が無理をするなと言ってくれているのですよ? それを無視してはいけません。無視すると、今回みたいな取り返しのつかないことになるのですよ」
「取り返しの付かないこと?」
「そうです。いいですか? 魔力回路の損傷は、回復魔法では治すことが出来ません。つまり、コウくんは二度と魔法を使うことは出来ないということになります」
「…………」
あまりの事実に言葉を失った。
魔法が使えない?
そんな馬鹿な。
俺は、慌てて自分のステータスを確認してみる。
#############################################
【ステータス】
名前:コウ
LV:15
称号:悲哀なる社畜、色事師
HP:1262/1262
MP:1/157
筋力:120
防御:21
敏捷:22
器用:24
知能:53
精神:43
スキルポイント:5
#############################################
ステータスに特に異常はない。
異常はないが、MPが1ポイントから回復していない。
確か、最後にルーナに全魔力を使って《傷修復》を使った事は覚えている。
あれからどれくらい時間が経ったのかわからないが、MPが1ポイントというのは異常だ。
しばらくMPを見つめていても、MPが回復する気配はない。
いつもならすぐに回復していくのに。
「あの、カンナさん。俺ってどのくらい寝てたんですか?」
「そうですね。今日で、だいたい7日ってところでしょうか」
「7日!?」
一週間も寝てたのか。
俺史上最長睡眠時間を軽く更新している。
道理でだるいわけだ。
というか、食事とか排泄とかどうしてたんだ。
点滴もカテーテルもついてないけど。
まあ、いいけど。
問題は、一週間経ってもMPが1しか回復していないという点だ。
MP1では、使える魔法なんて限られているし、即MP枯渇だ。
え、どうしよう。
魔法の使えない俺なんて、ホントにただのクズだ。
お風呂もわかせないし、竈の火も起こせない、流しで食器を洗うこともできないし、洗濯もできない。
我が家のライフラインは俺だったのである。
魔法が使えないのは、死活問題だ。
俺は咄嗟に、一番最初に覚えた《水生成》を発動させてみた。
とりあえず、MP1でどれくらいの水が生成出来るのか試してみるのだ。
「ぐっ」
しかし、鋭い痛みを発するだけで、《水生成》は発動しなかった。
適性のない回復魔法だけではない。
普通の水魔法すら使えないらしい。
「…………」
血の気が引いていくのがわかる。
この世界でなんとかやってこれたのは、魔法のお陰だった。
それなのに。
「わかりましたか? コウくん。自分がどれだけ、無茶な事をしたのか。ルーナお嬢様の状態を見れば、コウくんがどんな気持ちで回復魔法を使ったのか、だいたい想像できます。それについては咎める気はありません。でも、もっと自分の事も大切にして欲しいのですよ。お姉ちゃんは」
「……はい」
「じゃあ、ごめんなさいをしてください」
カンナさんは、俺に厳しい目を向けている。
本当に学校の先生のようだ。
「……ごめんなさい」
「誰に対して謝っているのかが抜けています。ごめんなさい、お姉ちゃんと言ってください」
「……ごめんなさい、お姉ちゃん」
相変わらずカンナさんが厳しい目のままなので、俺は思わずリピートしてしまった。
でも、なんかおかしい気がする。
「はい。よく言えましたね。……可愛すぎるので、許してあげます」
カンナさんに顔を引き寄せられて、その豊かな胸で抱きしめられていた。
ああ、お姉ちゃん!
いつか作り出してしまった第二人格が歓喜に震えるのがわかる。
待て、今はお前の出番ではない。
「ちゃんと謝れたご褒美に、いい事を教えてあげます」
俺の頭をなでなでしながら、カンナさんは口を開く。
「さっきコウくんの魔力回路は、回復魔法では治せないと言いましたが、神聖魔法なら治せるかもしれません。その症状は、どちらかと言うと呪いに近いですから。ただ相性の問題で、セレナお嬢様を含めても、吸血鬼には神聖魔法を使える者は存在しません。今、セレナお嬢様が教会の上層部に掛け合ってみてくれていますが、さすがに教会とは仲が悪いので、なんとも言えませんが」
「……そうですか」
少し希望はあるらしいので、安心した。
ただ神聖魔法というと、いつかのシスターさんの顔が思い浮かぶ。
あんまりいいイメージはない。
その時、ずっと握っていたルーナの手にわずかながら力が篭もるのがわかる。
ルーナは涙を溜めながら、俺を睨みつけていた。
そういえば、カンナさんと完全に抱き合っていた。
いつの間にかカンナさんは、俺の膝の上に跨るようにして、足をしがみつかせている。
メイド服のスカートはめくれ上がり、チラリと覗く生足が艶めかしい。
というか、この態勢は、いつかの対面座位だ。
「……あの、カンナさん、ちょっと近い気が」
「え? そうですか? 姉と弟の適正距離だと思いますが」
言いながら、カンナさんは白い足をさすさすと俺の腰にこすりつける。
物凄くムラムラするので、やめて欲しい。
というか、カンナさんと俺は姉と弟じゃない上に、そのそも姉と弟はこんなことしない。
「いや、あの、ルーナが見てますし……」
物凄く柔らかくて、いい匂いのするカンナさんの身体をどかそうとするが、なぜだろう、身体が上手く動かない。
思い切り後ろ髪を引かれる思いだ。
7日間も寝ていて、溜まっているのだろうか。
「ああ、ルーナお嬢様。動いちゃダメですって。ただの姉弟のスキンシップじゃないですか」
見ればルーナがぐぐっと身を起こそうとしている。
安静にしてないとダメなのに。
「……いや、カンナ姉様、さすがにそれはちょっとずるい気が……。ルーナお嬢様の容態が悪化するので、コウ様との触れ合いはしばらく我慢しようって約束したじゃないですか」
「あら、何か文句があるのですか? フィリス」
カンナさんがギロリと睨みつけると、フィリスがたじろぐ。
「……容態が悪化?」
フィリスの言葉に、聞き逃せないセリフがあったので、思わず聞いてみた。
「その、ここ数日、コウ様が寝たきりだったので、私とカンナ姉様でお世話をしていたのですが」
「……私がコウくんの下の世話をしてあげてたんですよ」
カンナさんが頬を赤らめながら、物騒な事を言っている。
下?
下とはどこまでを指すのか。
問い詰めたいけど、問い詰めたら恥ずかしさで生きていけない気がする。
「……私は、コウ様のお体を綺麗にする役でした。ほ、ほら、寝ているだけでも汗をかきますから。綺麗に舐め取らないとと思って」
舐め取る!?
布で拭くのではなく?
そういえば、なんか全身がベタベタするような気がする。
「私とフィリスで献身的なお世話をしただけなのに、ルーナお嬢様がうーうー唸って邪魔しようとして」
「そ、その度に、その傷が開かれて……」
「まあ、私が回復魔法を掛け直すので問題ないのですが」
しれっとカンナさんがそんな事を言う。
いやいや、何してんのこのメイド達。
「……なので、ルーナお嬢様が良くなるまでは、コウ様のお世話はちょっと控えめにしようってカンナ姉様と約束したんですが、あっさり破ってますよね? 姉様」
「随分、反抗的な態度ね、フィリス? 何、やる気?」
カンナさんは俺から降りると、フィリスを睨みつける。
よかった。降りてくれた。
「……カンナ姉様が、約束を破るのが悪いのです。だいたい、姉様、今まで気づかない振りをしていたんですが、あの日、コウ様に何をしたんですか? ルーナお嬢様が可哀想だとは思わなかったんですか?」
「はあ? そのルーナお嬢様が怪我をしている横で、意識のないコウくんの顔に☓☓☓を押しつけて、☓☓☓していた変態のセリフとは思えませんね」
「姉様だって、コウ様の☓☓☓を☓☓☓してたじゃないですか! ショタコンなのもいい加減にしてください」
突然、始まった姉妹喧嘩には、放送禁止用語が混じり始める。
どうでもいいけど、そういう事は、意識のある時にやってほしい。
全然俺が楽しめないじゃないか。
ただ、カンナさんが俺の頬にキスをした時に、ルーナの反応が弱かった理由がわかった。
ずっとそれ以上の事を見せられていたのだろう。
というか、傷が開いたって。
このメイド姉妹に看病をしてもらっても大丈夫なのだろうか。
「……いいでしょう。フィリス、表に出なさい。ここではコウくん達に迷惑がかかります。姉の威厳を教えてあげますよ」
「望むところです。今日こそ数百年に渡る姉の弾圧の歴史に幕を下ろしてやります」
肩を怒らせながら、メイド姉妹は家を出て行く。
まるで通り過ぎる嵐のようだった。
残された俺とルーナは、とりあえず見つめ合った。
「……ぅぅ」
ルーナは消え入りそうな声で呻きながら、涙を流している。
そっとその涙を拭ってやりながら。
俺はルーナに覆いかぶさった。
ルーナの身体に触れないように気をつけながら。
「……ごめんな、色々苦しい思いをさせて」
僅かに触れるか触れないかくらいの距離で、ルーナの額に、俺の額をくっつける。
ほのかにルーナの温もりを感じる。
ふと思いついて、ルーナのHPを確認してみると、まだ3割くらいしか回復していなかった。
それでも、0になる寸前だった頃に比べたら、えらい違いだ。
あの時は、本当に肝が冷えた。
あんなに恐ろしいと思ったことは、生まれて初めてだった。
何はともあれ、カンナさんには感謝しなくては。
「…………」
ほんの数センチしか離れていない距離で、ルーナと見つめあう。
ルーナの青い瞳には、俺の顔が写っていた。
顔には赤いヒビが出ていなかったので、少し安心する。
「……ぁぅ」
ルーナが唇をむうっと突き出している。
俺は一瞬、大丈夫だろうかと迷ったが、吸い寄せられるように、ルーナの唇に自分の唇を重ねていた。
久しぶりに感じるルーナの唇の感触。
この感触をもう二度と味わえなくなるところだったのだ。
そう思うと、思わず涙が出た。
それは、ちょっと覚えていないくらい久しぶりの涙だった。
30過ぎての男泣きは、非常に恥ずかしい。
キスをしてムラムラするのではなく、涙が出てくるなんて思わなかった。
「……ぅ」
ルーナが苦しそうにしたので、唇を離す。
ルーナは潤んだ瞳で、俺を見つめながら、弱々しく舌を出してきた。
「……それはもう少し良くなってからな」
ルーナの頭を撫でながら、俺は身体を離す。
さっきカンナさんに抱きつかれていた時とは、比較にならないくらい後ろ髪を引かれた。
それでも、弱々しいルーナを見ていると、無理をさせる気になれない。
「……ぅぅ」
不満そうな顔をするルーナ。
とりあえず、頭を撫で続ける。
さっきから、ルーナの顔から目が離せない。
ルーナを見ているだけで、何かが込み上げてくる。
こいつ、どうしよう。
この前、ルーナと別れようと決意した。
実家に帰った方がルーナにとってはいいのではないかと思ったのだ。
ただ、なんとなく、今はルーナと別れる気にならない。
今でもルーナは、俺といない方がいいと思う。
ましてや、今の俺は魔法が使えないのだ。
もはや甲斐性ゼロである。
身体が治り次第、ルーナはここから出ていくべきだろう。
でも、果たして、今の俺にその一言が言えるのだろうか。
あの時、背中を斬られたルーナが、俺に言ったセリフが耳に焼き付いている。
(愛しているからに、決まっているだろう)
そんな事を言われても、俺に応えることは出来ないのに。
俺は、ただルーナの身体目当てのクズ野郎なのだ。
それなのに、この女は。
「……そう言えば、コウくんに聞くのを忘れていました」
突然、カンナさんに声をかけられた。
振り向くと、カンナさんは何事もなかったかのように、ベッドの傍らに立っている。
フィリスがいないのが気になる。
……さっきから、外ですごい音がしていたが。
「ねえ、コウくん。一体、誰にやられたんですか? お姉ちゃんに教えてください。言ってくれれば、お姉ちゃんがすぐに消滅させてきてあげますから」
カンナさんから剣呑な気配が立ち上がる。
「……野盗です。かなりの人数でした。情けないですけど、俺、そいつらにキレちゃって、不意をつかれそうになったところを、ルーナが庇ってくれたんです」
あの時のことを思い出すと、物凄く凹む。
結局、この事態は全て俺のせいなのだ。
大人気なく、柄にもなく、キレた俺の浅はかさのせいで、ルーナが傷ついた。
全部、俺のせいだ。
「なるほど。きっとエルベ山の山賊でしょうね」
「エルベ山?」
「ここから、東に10キロ程の距離にある山です。そこに人間の山賊共が棲みついているのですよ。100人位はいるのですが、私達にはちょっかいをかけてこないので、見逃していたのですが……そうですか、目障りなので、消しましょうか」
100人?
あの時、襲ってきたのは多くて20人だった。
まだ他にもたくさんいるってことか。
「また来ると思いますか?」
「放置しておけば、おそらく。この辺には、他に人は住んでいませんから。でも、安心してください。ルーナお嬢様が良くなったら、私がちょっと行って掃除してきますよ」
カンナさんはそう言うと、にこっと笑った。
なんか物騒な事をサラッと言っているが、たしかにカンナさんなら余裕なのだろう。
軍隊でもないと倒せないと言われたフィリスをあっさりと――そういえば、フィリス帰ってこないけど、大丈夫だろうか。
ただ、カンナさんに倒してもらうのではダメな気がする。
俺の美学に反する。
あいつらが、ルーナに向けた下品な笑みが脳裏に焼き付いている。
けじめは、俺がつけるべきだ。
幸い魔法の使えない俺がここにいても役に立つことはなさそうだし。
むしろ、俺がここにいた方が、ルーナとメイド姉妹の相性的にダメな気がする。
「……あのカンナさん、俺の剣って何処かに落ちてませんでした?」
「え? ああ、あの不思議な材質の剣なら、そこに」
カンナさんが指す方向に目をやると、俺の剣が2本とも家の壁に立てかけてあった。
最後に生成してから、2、3人斬っただけなので、まだ刃毀れなどはしていない。
「……何を考えているんですか? コウくん」
カンナさんが目を細めて、俺を睨むのを背中で感じながら、俺はベッドから降りた。
ちょっとまだ足元がふらつく。
一週間も寝ていたのだから当然か。
「いや、ちょっとリハビリを兼ねて、散歩にでも行こうかと」
本当の事を言うと止められそうな気がしたので、嘘をついた。
「確かにコウくんの場合、身体はどこも悪くないので、お散歩するのもいいかもしれませんが……。さっき私が言ったこと、ちゃんと覚えていますか?」
「……はい。無茶な事はしませんよ、お姉ちゃん」
剣を取りながら、カンナさんに笑いかけてみる。
「ううっ、そんな可愛い顔で言われると、強く言えなくなりますね……。でも、ずっと寝てたんですから、まだ体調が戻っていないでしょう?」
「大丈夫です。そのうち良くなると思います」
一週間も寝たのだ。
社畜じゃなくても、多すぎる睡眠時間だ。
何の問題もない。
「まあ、人間の山賊くらい、コウくんならなんともないでしょうが」
「……ぅぅ」
ルーナが心配そうな顔を浮かべている。
俺はルーナの頬を撫でながら、安心させるように笑いかけてみた。
「大丈夫だって、散歩してくるだけだから」
「……ぅあ!」
ルーナが身を起こそうとする。
しかし、そのまま意識を失ったようにルーナは瞳を閉じた。
「……少し魔法で眠らせました。ルーナお嬢様は絶対に承知しないでしょうから。でも、お姉ちゃんはコウくんの味方をしてあげます。男の子ですものね、コウくんは」
「……ありがとうございます」
30過ぎて男の子とか言われると、複雑だが、とりあえずカンナさんに感謝する。
よく考えなくても、ルーナが黙って見送るわけないのだ。
「いいですか? 時間がかかるようならフィリスを向かわせますからね? もうすぐ復活するでしょうから」
「……はい」
そこはかとなくフィリスが心配になりながら、俺は家を出る。
そこには、戦争でも起きたのかと錯覚する程、地面に大きな穴がいくつも空いていた。
フィリスの姿は見えない。
跡形もなくなっちゃったのだろうか。
世にも恐ろしい姉妹喧嘩だと思いながら、俺は東に向かって歩き出す。
今は早朝のようで、日が昇ってきたところだった。
きっと太陽の方向が東のはずだった。
「ええと……」
魔力を通る道がズタズタ?
そう言われれば心当たりがある。
「多分、回復魔法を無理やり使ったせいかと……」
痛みを堪えて、回復魔法を使った際、魔力を流すときに痺れるようない痛みを感じた。
多分、あれがその魔力回路が上げる悲鳴だったのだろう。
というか、このひび割れが出来たのって、回復魔法を使っているときなんだから、まず間違いなく回復魔法のせいだ。
「……以前、回復魔法を使うと頭が痛いと言ってませんでしたか? たしか、適性がないと説明したはずです」
カンナさんは眉をひそめて、俺を睨む。
ちょっと怖い。
大昔に学校の先生に怒られたのを思い出してしまう。
「いや、その、痛かったですけど、気合と根性でなんとかなった、みたいな……」
そんな言い訳をすると、カンナさんはため息をついた。
そして、俺の肩に手を置いて、ベッドから身を起こす俺と目線を合わせる。
「コウくん? 気合と根性を出す所を間違っています。痛みというのは、ちゃんと意味があるのです。身体が無理をするなと言ってくれているのですよ? それを無視してはいけません。無視すると、今回みたいな取り返しのつかないことになるのですよ」
「取り返しの付かないこと?」
「そうです。いいですか? 魔力回路の損傷は、回復魔法では治すことが出来ません。つまり、コウくんは二度と魔法を使うことは出来ないということになります」
「…………」
あまりの事実に言葉を失った。
魔法が使えない?
そんな馬鹿な。
俺は、慌てて自分のステータスを確認してみる。
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【ステータス】
名前:コウ
LV:15
称号:悲哀なる社畜、色事師
HP:1262/1262
MP:1/157
筋力:120
防御:21
敏捷:22
器用:24
知能:53
精神:43
スキルポイント:5
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ステータスに特に異常はない。
異常はないが、MPが1ポイントから回復していない。
確か、最後にルーナに全魔力を使って《傷修復》を使った事は覚えている。
あれからどれくらい時間が経ったのかわからないが、MPが1ポイントというのは異常だ。
しばらくMPを見つめていても、MPが回復する気配はない。
いつもならすぐに回復していくのに。
「あの、カンナさん。俺ってどのくらい寝てたんですか?」
「そうですね。今日で、だいたい7日ってところでしょうか」
「7日!?」
一週間も寝てたのか。
俺史上最長睡眠時間を軽く更新している。
道理でだるいわけだ。
というか、食事とか排泄とかどうしてたんだ。
点滴もカテーテルもついてないけど。
まあ、いいけど。
問題は、一週間経ってもMPが1しか回復していないという点だ。
MP1では、使える魔法なんて限られているし、即MP枯渇だ。
え、どうしよう。
魔法の使えない俺なんて、ホントにただのクズだ。
お風呂もわかせないし、竈の火も起こせない、流しで食器を洗うこともできないし、洗濯もできない。
我が家のライフラインは俺だったのである。
魔法が使えないのは、死活問題だ。
俺は咄嗟に、一番最初に覚えた《水生成》を発動させてみた。
とりあえず、MP1でどれくらいの水が生成出来るのか試してみるのだ。
「ぐっ」
しかし、鋭い痛みを発するだけで、《水生成》は発動しなかった。
適性のない回復魔法だけではない。
普通の水魔法すら使えないらしい。
「…………」
血の気が引いていくのがわかる。
この世界でなんとかやってこれたのは、魔法のお陰だった。
それなのに。
「わかりましたか? コウくん。自分がどれだけ、無茶な事をしたのか。ルーナお嬢様の状態を見れば、コウくんがどんな気持ちで回復魔法を使ったのか、だいたい想像できます。それについては咎める気はありません。でも、もっと自分の事も大切にして欲しいのですよ。お姉ちゃんは」
「……はい」
「じゃあ、ごめんなさいをしてください」
カンナさんは、俺に厳しい目を向けている。
本当に学校の先生のようだ。
「……ごめんなさい」
「誰に対して謝っているのかが抜けています。ごめんなさい、お姉ちゃんと言ってください」
「……ごめんなさい、お姉ちゃん」
相変わらずカンナさんが厳しい目のままなので、俺は思わずリピートしてしまった。
でも、なんかおかしい気がする。
「はい。よく言えましたね。……可愛すぎるので、許してあげます」
カンナさんに顔を引き寄せられて、その豊かな胸で抱きしめられていた。
ああ、お姉ちゃん!
いつか作り出してしまった第二人格が歓喜に震えるのがわかる。
待て、今はお前の出番ではない。
「ちゃんと謝れたご褒美に、いい事を教えてあげます」
俺の頭をなでなでしながら、カンナさんは口を開く。
「さっきコウくんの魔力回路は、回復魔法では治せないと言いましたが、神聖魔法なら治せるかもしれません。その症状は、どちらかと言うと呪いに近いですから。ただ相性の問題で、セレナお嬢様を含めても、吸血鬼には神聖魔法を使える者は存在しません。今、セレナお嬢様が教会の上層部に掛け合ってみてくれていますが、さすがに教会とは仲が悪いので、なんとも言えませんが」
「……そうですか」
少し希望はあるらしいので、安心した。
ただ神聖魔法というと、いつかのシスターさんの顔が思い浮かぶ。
あんまりいいイメージはない。
その時、ずっと握っていたルーナの手にわずかながら力が篭もるのがわかる。
ルーナは涙を溜めながら、俺を睨みつけていた。
そういえば、カンナさんと完全に抱き合っていた。
いつの間にかカンナさんは、俺の膝の上に跨るようにして、足をしがみつかせている。
メイド服のスカートはめくれ上がり、チラリと覗く生足が艶めかしい。
というか、この態勢は、いつかの対面座位だ。
「……あの、カンナさん、ちょっと近い気が」
「え? そうですか? 姉と弟の適正距離だと思いますが」
言いながら、カンナさんは白い足をさすさすと俺の腰にこすりつける。
物凄くムラムラするので、やめて欲しい。
というか、カンナさんと俺は姉と弟じゃない上に、そのそも姉と弟はこんなことしない。
「いや、あの、ルーナが見てますし……」
物凄く柔らかくて、いい匂いのするカンナさんの身体をどかそうとするが、なぜだろう、身体が上手く動かない。
思い切り後ろ髪を引かれる思いだ。
7日間も寝ていて、溜まっているのだろうか。
「ああ、ルーナお嬢様。動いちゃダメですって。ただの姉弟のスキンシップじゃないですか」
見ればルーナがぐぐっと身を起こそうとしている。
安静にしてないとダメなのに。
「……いや、カンナ姉様、さすがにそれはちょっとずるい気が……。ルーナお嬢様の容態が悪化するので、コウ様との触れ合いはしばらく我慢しようって約束したじゃないですか」
「あら、何か文句があるのですか? フィリス」
カンナさんがギロリと睨みつけると、フィリスがたじろぐ。
「……容態が悪化?」
フィリスの言葉に、聞き逃せないセリフがあったので、思わず聞いてみた。
「その、ここ数日、コウ様が寝たきりだったので、私とカンナ姉様でお世話をしていたのですが」
「……私がコウくんの下の世話をしてあげてたんですよ」
カンナさんが頬を赤らめながら、物騒な事を言っている。
下?
下とはどこまでを指すのか。
問い詰めたいけど、問い詰めたら恥ずかしさで生きていけない気がする。
「……私は、コウ様のお体を綺麗にする役でした。ほ、ほら、寝ているだけでも汗をかきますから。綺麗に舐め取らないとと思って」
舐め取る!?
布で拭くのではなく?
そういえば、なんか全身がベタベタするような気がする。
「私とフィリスで献身的なお世話をしただけなのに、ルーナお嬢様がうーうー唸って邪魔しようとして」
「そ、その度に、その傷が開かれて……」
「まあ、私が回復魔法を掛け直すので問題ないのですが」
しれっとカンナさんがそんな事を言う。
いやいや、何してんのこのメイド達。
「……なので、ルーナお嬢様が良くなるまでは、コウ様のお世話はちょっと控えめにしようってカンナ姉様と約束したんですが、あっさり破ってますよね? 姉様」
「随分、反抗的な態度ね、フィリス? 何、やる気?」
カンナさんは俺から降りると、フィリスを睨みつける。
よかった。降りてくれた。
「……カンナ姉様が、約束を破るのが悪いのです。だいたい、姉様、今まで気づかない振りをしていたんですが、あの日、コウ様に何をしたんですか? ルーナお嬢様が可哀想だとは思わなかったんですか?」
「はあ? そのルーナお嬢様が怪我をしている横で、意識のないコウくんの顔に☓☓☓を押しつけて、☓☓☓していた変態のセリフとは思えませんね」
「姉様だって、コウ様の☓☓☓を☓☓☓してたじゃないですか! ショタコンなのもいい加減にしてください」
突然、始まった姉妹喧嘩には、放送禁止用語が混じり始める。
どうでもいいけど、そういう事は、意識のある時にやってほしい。
全然俺が楽しめないじゃないか。
ただ、カンナさんが俺の頬にキスをした時に、ルーナの反応が弱かった理由がわかった。
ずっとそれ以上の事を見せられていたのだろう。
というか、傷が開いたって。
このメイド姉妹に看病をしてもらっても大丈夫なのだろうか。
「……いいでしょう。フィリス、表に出なさい。ここではコウくん達に迷惑がかかります。姉の威厳を教えてあげますよ」
「望むところです。今日こそ数百年に渡る姉の弾圧の歴史に幕を下ろしてやります」
肩を怒らせながら、メイド姉妹は家を出て行く。
まるで通り過ぎる嵐のようだった。
残された俺とルーナは、とりあえず見つめ合った。
「……ぅぅ」
ルーナは消え入りそうな声で呻きながら、涙を流している。
そっとその涙を拭ってやりながら。
俺はルーナに覆いかぶさった。
ルーナの身体に触れないように気をつけながら。
「……ごめんな、色々苦しい思いをさせて」
僅かに触れるか触れないかくらいの距離で、ルーナの額に、俺の額をくっつける。
ほのかにルーナの温もりを感じる。
ふと思いついて、ルーナのHPを確認してみると、まだ3割くらいしか回復していなかった。
それでも、0になる寸前だった頃に比べたら、えらい違いだ。
あの時は、本当に肝が冷えた。
あんなに恐ろしいと思ったことは、生まれて初めてだった。
何はともあれ、カンナさんには感謝しなくては。
「…………」
ほんの数センチしか離れていない距離で、ルーナと見つめあう。
ルーナの青い瞳には、俺の顔が写っていた。
顔には赤いヒビが出ていなかったので、少し安心する。
「……ぁぅ」
ルーナが唇をむうっと突き出している。
俺は一瞬、大丈夫だろうかと迷ったが、吸い寄せられるように、ルーナの唇に自分の唇を重ねていた。
久しぶりに感じるルーナの唇の感触。
この感触をもう二度と味わえなくなるところだったのだ。
そう思うと、思わず涙が出た。
それは、ちょっと覚えていないくらい久しぶりの涙だった。
30過ぎての男泣きは、非常に恥ずかしい。
キスをしてムラムラするのではなく、涙が出てくるなんて思わなかった。
「……ぅ」
ルーナが苦しそうにしたので、唇を離す。
ルーナは潤んだ瞳で、俺を見つめながら、弱々しく舌を出してきた。
「……それはもう少し良くなってからな」
ルーナの頭を撫でながら、俺は身体を離す。
さっきカンナさんに抱きつかれていた時とは、比較にならないくらい後ろ髪を引かれた。
それでも、弱々しいルーナを見ていると、無理をさせる気になれない。
「……ぅぅ」
不満そうな顔をするルーナ。
とりあえず、頭を撫で続ける。
さっきから、ルーナの顔から目が離せない。
ルーナを見ているだけで、何かが込み上げてくる。
こいつ、どうしよう。
この前、ルーナと別れようと決意した。
実家に帰った方がルーナにとってはいいのではないかと思ったのだ。
ただ、なんとなく、今はルーナと別れる気にならない。
今でもルーナは、俺といない方がいいと思う。
ましてや、今の俺は魔法が使えないのだ。
もはや甲斐性ゼロである。
身体が治り次第、ルーナはここから出ていくべきだろう。
でも、果たして、今の俺にその一言が言えるのだろうか。
あの時、背中を斬られたルーナが、俺に言ったセリフが耳に焼き付いている。
(愛しているからに、決まっているだろう)
そんな事を言われても、俺に応えることは出来ないのに。
俺は、ただルーナの身体目当てのクズ野郎なのだ。
それなのに、この女は。
「……そう言えば、コウくんに聞くのを忘れていました」
突然、カンナさんに声をかけられた。
振り向くと、カンナさんは何事もなかったかのように、ベッドの傍らに立っている。
フィリスがいないのが気になる。
……さっきから、外ですごい音がしていたが。
「ねえ、コウくん。一体、誰にやられたんですか? お姉ちゃんに教えてください。言ってくれれば、お姉ちゃんがすぐに消滅させてきてあげますから」
カンナさんから剣呑な気配が立ち上がる。
「……野盗です。かなりの人数でした。情けないですけど、俺、そいつらにキレちゃって、不意をつかれそうになったところを、ルーナが庇ってくれたんです」
あの時のことを思い出すと、物凄く凹む。
結局、この事態は全て俺のせいなのだ。
大人気なく、柄にもなく、キレた俺の浅はかさのせいで、ルーナが傷ついた。
全部、俺のせいだ。
「なるほど。きっとエルベ山の山賊でしょうね」
「エルベ山?」
「ここから、東に10キロ程の距離にある山です。そこに人間の山賊共が棲みついているのですよ。100人位はいるのですが、私達にはちょっかいをかけてこないので、見逃していたのですが……そうですか、目障りなので、消しましょうか」
100人?
あの時、襲ってきたのは多くて20人だった。
まだ他にもたくさんいるってことか。
「また来ると思いますか?」
「放置しておけば、おそらく。この辺には、他に人は住んでいませんから。でも、安心してください。ルーナお嬢様が良くなったら、私がちょっと行って掃除してきますよ」
カンナさんはそう言うと、にこっと笑った。
なんか物騒な事をサラッと言っているが、たしかにカンナさんなら余裕なのだろう。
軍隊でもないと倒せないと言われたフィリスをあっさりと――そういえば、フィリス帰ってこないけど、大丈夫だろうか。
ただ、カンナさんに倒してもらうのではダメな気がする。
俺の美学に反する。
あいつらが、ルーナに向けた下品な笑みが脳裏に焼き付いている。
けじめは、俺がつけるべきだ。
幸い魔法の使えない俺がここにいても役に立つことはなさそうだし。
むしろ、俺がここにいた方が、ルーナとメイド姉妹の相性的にダメな気がする。
「……あのカンナさん、俺の剣って何処かに落ちてませんでした?」
「え? ああ、あの不思議な材質の剣なら、そこに」
カンナさんが指す方向に目をやると、俺の剣が2本とも家の壁に立てかけてあった。
最後に生成してから、2、3人斬っただけなので、まだ刃毀れなどはしていない。
「……何を考えているんですか? コウくん」
カンナさんが目を細めて、俺を睨むのを背中で感じながら、俺はベッドから降りた。
ちょっとまだ足元がふらつく。
一週間も寝ていたのだから当然か。
「いや、ちょっとリハビリを兼ねて、散歩にでも行こうかと」
本当の事を言うと止められそうな気がしたので、嘘をついた。
「確かにコウくんの場合、身体はどこも悪くないので、お散歩するのもいいかもしれませんが……。さっき私が言ったこと、ちゃんと覚えていますか?」
「……はい。無茶な事はしませんよ、お姉ちゃん」
剣を取りながら、カンナさんに笑いかけてみる。
「ううっ、そんな可愛い顔で言われると、強く言えなくなりますね……。でも、ずっと寝てたんですから、まだ体調が戻っていないでしょう?」
「大丈夫です。そのうち良くなると思います」
一週間も寝たのだ。
社畜じゃなくても、多すぎる睡眠時間だ。
何の問題もない。
「まあ、人間の山賊くらい、コウくんならなんともないでしょうが」
「……ぅぅ」
ルーナが心配そうな顔を浮かべている。
俺はルーナの頬を撫でながら、安心させるように笑いかけてみた。
「大丈夫だって、散歩してくるだけだから」
「……ぅあ!」
ルーナが身を起こそうとする。
しかし、そのまま意識を失ったようにルーナは瞳を閉じた。
「……少し魔法で眠らせました。ルーナお嬢様は絶対に承知しないでしょうから。でも、お姉ちゃんはコウくんの味方をしてあげます。男の子ですものね、コウくんは」
「……ありがとうございます」
30過ぎて男の子とか言われると、複雑だが、とりあえずカンナさんに感謝する。
よく考えなくても、ルーナが黙って見送るわけないのだ。
「いいですか? 時間がかかるようならフィリスを向かわせますからね? もうすぐ復活するでしょうから」
「……はい」
そこはかとなくフィリスが心配になりながら、俺は家を出る。
そこには、戦争でも起きたのかと錯覚する程、地面に大きな穴がいくつも空いていた。
フィリスの姿は見えない。
跡形もなくなっちゃったのだろうか。
世にも恐ろしい姉妹喧嘩だと思いながら、俺は東に向かって歩き出す。
今は早朝のようで、日が昇ってきたところだった。
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