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一章.相生 四朗
8.自分から? の手紙。
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「っていうか。しんちゃんってそんなに筋肉ないかな。結構あるように思えるんだけど。
ってか‥そもそも男の身体に興味なんてないけど☆」
相崎が手を伸ばして、四朗の腕を掴もうとするのを、四朗は咄嗟に避けた。
‥まるで条件反射だな。潜在的に嫌なのかな、相崎が。
‥いや、男に触られるなんて気持ち悪いだろ。ただ、それだけのことだ。
「やめろよ‥」
四朗が相崎を睨む。
「うん? ごめんね? 」
ぽかんとした顔で相崎が四朗を見た。
「四朗様、着きましたよ」
と、そのタイミングで車が止まった。
気が付けば、車は四朗の家の前に着いていた。
「ありがとうございます」
相崎の運転手にお礼を言って四朗は車を降りる。
「四朗! 」
相崎の車が家の前に止まったのを見た四朗の母親が、何事かと外に出てきて、‥中から四朗が出て来たのを見て、驚いて叫んだ。
相崎の車はこの辺りでは他に絶対見ないような黒塗りの高級車で、やたら目立つんだ。
そりゃ、急にそれが家の前にとまったら「何事?? 」って思うよね?
「どうしたの? 何かあったの? 」
慌てる母親に四朗は苦笑いして、心配ないと伝える。
「ちょっと倒れてね‥」
母親は、運転手に丁寧に礼をして、四朗の荷物を受け取った。
相崎の運転手は車に乗ったまま、愛想のいい笑顔で会釈を返すと車を発車させる。
‥いつもの方とは違うわね。いつもの方なら降りてきて丁寧に挨拶されるのに。
ちらっと、四朗の母はそんなことを思った。
‥いつもの相崎家の運転手は年配の人だけれど、今の方は若そうに見えた。運転手としてのマナーが‥(失礼ながら)相崎家にしては‥なってない。だけど、それを御子息は咎めなかった。(御子息はあれでも、使用人のマナーに厳しい)多分、御子息と親しいとかそういう事情があって、御子息が私用に車を使う際に使っている運転手かなにかなのだろう。
一瞬の間に、それだけの情報を読み取る。
四朗の母もまた、抜かりない相生の人間だった。
「ええ!? 大丈夫なの? 」
だけど、やっぱり息子が心配な、ただの母親だ。
息子の顔を心配そうな表情で覗き込む。覗き込むっていっても、二人の身長差は頭一つ分以上あるから‥完全に見上げる様な形だ。
「兄ちゃんって、割と体弱いよね」
いつの間にか出て来ていた博史がその後ろに立っておかしそうに笑う。
「え? 」
四朗が弟をぎろりと睨む。‥勿論、本気で怒っているのではない。四朗はこの弟に凄く甘いから。
「一か月に一回くらいは寝込むし」
睨まれてもけろっとした顔で弟がからからと笑った。
「‥」
博史の言葉に、四朗は苦笑いする。
‥確かに、そうなんだ。俺は‥一ヶ月に一回くらいは、寝込む。
それも、普通に病気で寝込むとは違う。
その時は、起き上がることすら出来ない。意識もない。‥その時の記憶が全くない。
‥そんなことあるものなのかな。
「‥着替えてくる」
苦笑いしたまま四朗は二人に背を向け、家に入った。
「そうね」
母親が慌てて四朗の後を追って家に入る。
「お風呂に入ったらどう? 清さんお願い出来るかしら」
母親が荷物を清に渡すと、奥から祖母が出てきて、清に指示を出した。
「はいはい」
清が穏やかな笑顔で請け負うと、風呂場に向かった。
「そうね。今日はゆっくり休みなさい」
母親が頷き、四朗に用意を促す。
「んー」
母親に背中を押されて自室に戻りながら、四朗は祖母に「心配かけてすみません」と苦笑いする。
‥どうもすっきりしない。この頃、今まで意識してこなかったことが、気になって仕方がない。
一ヶ月に一回くらい倒れる程、病弱な体って何なんだろ。逆になんで今まで気にならなかったんだろう。
すると‥ふと、ホントに「なんでこのタイミングで? 」ってタイミングで‥自分の机の引き出しが無性に気になった。
それも、今までどうしても開けようとも思わなかった‥一つだけ鍵のついた引き出しだ。
鍵の位置も知っている。隣の引き出しの奥だ。
だけど、今まで何故かこの引き出しを自分は「どうしても」開けようとしなかった。
‥開けてはならないって思ってたんだ。
四朗は躊躇なく、鍵を差し込み引き出しを開ける。
そこには
「相生 四朗様」
と自分の字で書かれた自分宛の手紙が入っていた。
ってか‥そもそも男の身体に興味なんてないけど☆」
相崎が手を伸ばして、四朗の腕を掴もうとするのを、四朗は咄嗟に避けた。
‥まるで条件反射だな。潜在的に嫌なのかな、相崎が。
‥いや、男に触られるなんて気持ち悪いだろ。ただ、それだけのことだ。
「やめろよ‥」
四朗が相崎を睨む。
「うん? ごめんね? 」
ぽかんとした顔で相崎が四朗を見た。
「四朗様、着きましたよ」
と、そのタイミングで車が止まった。
気が付けば、車は四朗の家の前に着いていた。
「ありがとうございます」
相崎の運転手にお礼を言って四朗は車を降りる。
「四朗! 」
相崎の車が家の前に止まったのを見た四朗の母親が、何事かと外に出てきて、‥中から四朗が出て来たのを見て、驚いて叫んだ。
相崎の車はこの辺りでは他に絶対見ないような黒塗りの高級車で、やたら目立つんだ。
そりゃ、急にそれが家の前にとまったら「何事?? 」って思うよね?
「どうしたの? 何かあったの? 」
慌てる母親に四朗は苦笑いして、心配ないと伝える。
「ちょっと倒れてね‥」
母親は、運転手に丁寧に礼をして、四朗の荷物を受け取った。
相崎の運転手は車に乗ったまま、愛想のいい笑顔で会釈を返すと車を発車させる。
‥いつもの方とは違うわね。いつもの方なら降りてきて丁寧に挨拶されるのに。
ちらっと、四朗の母はそんなことを思った。
‥いつもの相崎家の運転手は年配の人だけれど、今の方は若そうに見えた。運転手としてのマナーが‥(失礼ながら)相崎家にしては‥なってない。だけど、それを御子息は咎めなかった。(御子息はあれでも、使用人のマナーに厳しい)多分、御子息と親しいとかそういう事情があって、御子息が私用に車を使う際に使っている運転手かなにかなのだろう。
一瞬の間に、それだけの情報を読み取る。
四朗の母もまた、抜かりない相生の人間だった。
「ええ!? 大丈夫なの? 」
だけど、やっぱり息子が心配な、ただの母親だ。
息子の顔を心配そうな表情で覗き込む。覗き込むっていっても、二人の身長差は頭一つ分以上あるから‥完全に見上げる様な形だ。
「兄ちゃんって、割と体弱いよね」
いつの間にか出て来ていた博史がその後ろに立っておかしそうに笑う。
「え? 」
四朗が弟をぎろりと睨む。‥勿論、本気で怒っているのではない。四朗はこの弟に凄く甘いから。
「一か月に一回くらいは寝込むし」
睨まれてもけろっとした顔で弟がからからと笑った。
「‥」
博史の言葉に、四朗は苦笑いする。
‥確かに、そうなんだ。俺は‥一ヶ月に一回くらいは、寝込む。
それも、普通に病気で寝込むとは違う。
その時は、起き上がることすら出来ない。意識もない。‥その時の記憶が全くない。
‥そんなことあるものなのかな。
「‥着替えてくる」
苦笑いしたまま四朗は二人に背を向け、家に入った。
「そうね」
母親が慌てて四朗の後を追って家に入る。
「お風呂に入ったらどう? 清さんお願い出来るかしら」
母親が荷物を清に渡すと、奥から祖母が出てきて、清に指示を出した。
「はいはい」
清が穏やかな笑顔で請け負うと、風呂場に向かった。
「そうね。今日はゆっくり休みなさい」
母親が頷き、四朗に用意を促す。
「んー」
母親に背中を押されて自室に戻りながら、四朗は祖母に「心配かけてすみません」と苦笑いする。
‥どうもすっきりしない。この頃、今まで意識してこなかったことが、気になって仕方がない。
一ヶ月に一回くらい倒れる程、病弱な体って何なんだろ。逆になんで今まで気にならなかったんだろう。
すると‥ふと、ホントに「なんでこのタイミングで? 」ってタイミングで‥自分の机の引き出しが無性に気になった。
それも、今までどうしても開けようとも思わなかった‥一つだけ鍵のついた引き出しだ。
鍵の位置も知っている。隣の引き出しの奥だ。
だけど、今まで何故かこの引き出しを自分は「どうしても」開けようとしなかった。
‥開けてはならないって思ってたんだ。
四朗は躊躇なく、鍵を差し込み引き出しを開ける。
そこには
「相生 四朗様」
と自分の字で書かれた自分宛の手紙が入っていた。
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