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一章.相生 四朗
7.思い当たる節があるんです。
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「しんちゃん。家の方には連絡しておかなくていいの? 時間が来たら迎えにくるんだろ? 」
ゆったりと背もたれにもたれて、後部座席で四朗の横に座っていた相崎が、わざわざ背もたれから背中を浮かせて四朗の顔を覗き込んだ。
その口調は、というか顔が‥ドヤ顔だ。
‥忘れてない? 俺はそこらへんしっかりしてるよ。
とでも言いたいんだろう。付き合いの長さからそれが分かってしまう四朗はうんざりとした。実は長くなんかないんだけど‥たとえ5年でも分かってしまう‥それがこの男の底の浅さだ。
鬱陶しい。俺のことを馬鹿にしているのか。それとも褒めて、とでもいうのか。
相変わらず自分のことが大好きな奴だ。そして、自分よりも褒められる人間は面白くない。まるで子供だ。
‥そもそも、このしんちゃんって名前も、俺が四朗を先に襲名したのが面白くなくて、信濃だろうが、四朗だろうがどちらにでも取れる愛称で呼んでいるのだ。(って言うか‥四朗に「しんちゃん」ってあだなは‥無理があるだろう)
「四朗だから、あだなはしんちゃんね。俺のことも「しんちゃん」でいいよ! 信濃の信でしん。違う名前なのに同じ愛称って面白くない? 勿論武夫もそう呼んで! 」
って相崎が言ったときは呆れはてた。
‥勿論、俺も武生も呼ぶわけなかったが。
‥本当に、どこまで子供なんだ。相崎の跡取りだろう? しっかりしろ。
「俺、走ってきてるから」
背もたれから身体を起こすのも面倒だから、背もたれにもたれたまま、顔だけ相崎を振り向く。
「ええ?! 道場からしんちゃんちって結構距離あるよ?! 」
相崎が目を見張って四朗を見る。
‥そんな驚くほど? 10キロ内位だぞ? 。まあ‥誘拐犯は何度か現れる距離ではあったが‥。それも含めて鍛錬かな‥と。
「いいトレーニングになる」
四朗が何でもないって顔で言うと、相崎が呆れた~って顔をした。
「‥もしかして、スイミングも? あの距離も‥走ってるとか?? 」
「あそこは、自転車」
四朗は何でもないように頷く。
スイミングは道場よりさらに遠い。だけど、どうってことない。
だけどそれは「四朗に限る」だったらしい。
「ストイック~。変に筋肉ついちゃいそうだよ。自転車とか乗りすぎると脚太くなっちゃいそうじゃない? 」
相崎が信じられないって顔で四朗を見た。
‥意味が分からない。なんだ? 変に筋肉つくって。筋肉に変も変じゃないもあるの?
でも、筋肉は悲しいかな少しも付いていない。
多分筋肉がつきにくい体質なんだろう。
相手の動きを読むのが人より優っているからか、何のスポーツをしても「無駄が無い」ってよく言われる。
相手の動きを読む‥って言うか‥合わせるのが上手いんだ。空気を読んで、合わせて、ここぞというときに反撃する。あれだ。ずっと安定した均衡状態を保っておいて、相手が綻びを見せたとき(それがここぞっていう時だ)に反撃の一打を討つ。
だから、ここぞって時に反撃する‥言うならば「必殺技」だけの技を覚えればいい。
均衡状態を保つためにも技術はいるんだろうけど、そこは「相手に合わせていれば」良いんだ。
言うのは簡単だけどそんなことできるか! って思うとおもうけど、俺は昔からそれが得意だった。
相手とまるで鏡に映るような動きをする。相手が戦っているのは、俺ではなく、自分‥そんな動き。
そして、相手が動揺して動きを崩した瞬間、俺は鏡の擬態を解く。‥そんな感じ。
それは俺自身の技術ではなく、相手の技術だ。俺に何の技術もない。俺自身は鏡のように‥相手に合わせる能力に優れてるだけ。だけど、上手い相手と戦ってるうちに、ホントに自信の技術も上がってきたりもしてるから‥いつかは、自分の力で戦えるようになりたいなって思う。
だけど、体力が無い。相手に合わせるにも‥スタミナが切れては合わせられない。合わせてるだけで必殺技を打つ機会もないまま終わることもある。‥とにかく、体力が無いと話にならない。
それを補うために始めたのが水泳だ。水泳は個人競技だから人の動きに合わせるとか関係ないから。
ちょっとした距離を自転車こいで、泳いで‥また自転車こいで‥。
‥でも、ここまで筋肉が付かないのは変じゃないか?! 日焼けもしないし。基本的に家からでない祖父や父親と何ら変わらない見かけだぞ?!
‥武生も一緒に走って道場に行っていて、一緒に練習している。あいつはここ数年で驚くほど体つきががっちりしてきた。普通に日焼けもしている。だのに‥、運動量なら、むしろ水泳もプラスしている俺の方が‥!? もしかして、家でこっそり素振りでもしてるのか!? その効果か??
他人と比べることなど無意味なことだとわかっていても、これだけは憎らしく思う。
相崎は
「スイミングが週二回、走って道場はほぼ毎日。朝早起きして素振り。夜遅くまで語学の勉強、学校の宿題。
‥しんちゃん、これって絶対寝不足だよ。ちゃんと自己管理しなきゃ。
身体を作りたいなら、専門のインストラクターつけるとかしたほうがいいんじゃない? 俺だってつけてるよ」
呆れたて顔でため息をつくと、また、ドヤ顔だ。
‥本当に面倒臭い。だから、話すの嫌なんだ。
相崎の場合、インストラクターをつけてまで自己管理をしているのは単にモテるためだ。
スキーにテニスに英会話。公共の場でスマートに立ち振る舞うことが、相崎の自己管理の唯一であり最大の目的だ。
見た目も然り。服装から髪型、表情まで‥相崎の「モテる為の」こだわりには、いっそ尊敬する。
それは、旧家の跡取りとして、四朗にも当てはまった。あくまでも、恥ずかしくないようにするため、なのだが。
ドイツ語、フランス語、英語、スペイン語、中国語。四朗は、十歳に事故にあう前から十人を超える家庭教師から語学を学んでいたらしい。
記憶を失った四朗の見舞いに来た彼らは、何故か皆四朗に視線を合わせ
「お名前をおっしゃってください」
と言ってきた。
四朗が自分の名前を名乗ると、四朗の目を覗き込んで、そして決まって驚いた顔をした。
そして何かを確認するように、四朗の枕元に座る祖父の顔を見る。祖父が首を振る。その繰り返しだった。未だに、四朗にはあれが何の意味があったのかわからない。
とにかくその後から、語学の先生は「今まで以上に」熱心に四朗に語学を教えるようになったらしい。そして、それを指示したのは四朗の父親だったらしい。
そのことを、四朗は母の父への抗議から知った。
「事故にあったばかりだというのに、あんなに根を詰めて勉強させなくても。前より、ずっとひどいじゃないですか! 」
涙を浮かべて抗議する母に、父は小さく首を振り
「仕方がない。状況が変わったんだ」
と言った。
四朗はそんな両親を物陰で見ながら「そうか状況が変わったのか。じゃあ‥仕方が無いな‥」とだけ思ったことを何故か今でも覚えている。
‥そんなことを四朗は思い出していた。
目を覗き込んだ‥?
‥目がどうかしたんだろうか? あの後も不思議に思って鏡を見たが何もわからなかった。そして今もわからない。
しんちゃん、真剣になったら、目の色がちょっと変わるんだよ? 自分のことだから気づいてないでしょ?
なぜか、相崎のさっきの言葉がまた思い出された。
祖父も語学の先生も俺の目を覗き込んだ時、「変わったから」驚いたのか? それとも、「変わらなかったから」驚いたのか?
‥答えは簡単だろう。
変わらなかったから驚いたんだ。
相崎の話だと、俺は相崎と試合しているとき目の色が変わっていたらしい。心当たりがあるとしたら、「相手と合わせようと」した時に、(集中したりしたら? )目の色が変わるのだろう。
だけど、あの時、俺は祖父や語学の先生に対して何かを合わせようとするような要素はなかった。それどころか会話すらしていなかった。(動きだけでなく、会話でも相手と合わせるってことが可能ってこと?? だけど、‥そんなことできるだろうか?? )
あの時祖父と語学の先生が俺に要求したことは‥名前だけ。
名前を言わされた、それ以外に覚えがない。
名前は、呪‥?
この名前に‥何か秘密があるんだろうか?
ゆったりと背もたれにもたれて、後部座席で四朗の横に座っていた相崎が、わざわざ背もたれから背中を浮かせて四朗の顔を覗き込んだ。
その口調は、というか顔が‥ドヤ顔だ。
‥忘れてない? 俺はそこらへんしっかりしてるよ。
とでも言いたいんだろう。付き合いの長さからそれが分かってしまう四朗はうんざりとした。実は長くなんかないんだけど‥たとえ5年でも分かってしまう‥それがこの男の底の浅さだ。
鬱陶しい。俺のことを馬鹿にしているのか。それとも褒めて、とでもいうのか。
相変わらず自分のことが大好きな奴だ。そして、自分よりも褒められる人間は面白くない。まるで子供だ。
‥そもそも、このしんちゃんって名前も、俺が四朗を先に襲名したのが面白くなくて、信濃だろうが、四朗だろうがどちらにでも取れる愛称で呼んでいるのだ。(って言うか‥四朗に「しんちゃん」ってあだなは‥無理があるだろう)
「四朗だから、あだなはしんちゃんね。俺のことも「しんちゃん」でいいよ! 信濃の信でしん。違う名前なのに同じ愛称って面白くない? 勿論武夫もそう呼んで! 」
って相崎が言ったときは呆れはてた。
‥勿論、俺も武生も呼ぶわけなかったが。
‥本当に、どこまで子供なんだ。相崎の跡取りだろう? しっかりしろ。
「俺、走ってきてるから」
背もたれから身体を起こすのも面倒だから、背もたれにもたれたまま、顔だけ相崎を振り向く。
「ええ?! 道場からしんちゃんちって結構距離あるよ?! 」
相崎が目を見張って四朗を見る。
‥そんな驚くほど? 10キロ内位だぞ? 。まあ‥誘拐犯は何度か現れる距離ではあったが‥。それも含めて鍛錬かな‥と。
「いいトレーニングになる」
四朗が何でもないって顔で言うと、相崎が呆れた~って顔をした。
「‥もしかして、スイミングも? あの距離も‥走ってるとか?? 」
「あそこは、自転車」
四朗は何でもないように頷く。
スイミングは道場よりさらに遠い。だけど、どうってことない。
だけどそれは「四朗に限る」だったらしい。
「ストイック~。変に筋肉ついちゃいそうだよ。自転車とか乗りすぎると脚太くなっちゃいそうじゃない? 」
相崎が信じられないって顔で四朗を見た。
‥意味が分からない。なんだ? 変に筋肉つくって。筋肉に変も変じゃないもあるの?
でも、筋肉は悲しいかな少しも付いていない。
多分筋肉がつきにくい体質なんだろう。
相手の動きを読むのが人より優っているからか、何のスポーツをしても「無駄が無い」ってよく言われる。
相手の動きを読む‥って言うか‥合わせるのが上手いんだ。空気を読んで、合わせて、ここぞというときに反撃する。あれだ。ずっと安定した均衡状態を保っておいて、相手が綻びを見せたとき(それがここぞっていう時だ)に反撃の一打を討つ。
だから、ここぞって時に反撃する‥言うならば「必殺技」だけの技を覚えればいい。
均衡状態を保つためにも技術はいるんだろうけど、そこは「相手に合わせていれば」良いんだ。
言うのは簡単だけどそんなことできるか! って思うとおもうけど、俺は昔からそれが得意だった。
相手とまるで鏡に映るような動きをする。相手が戦っているのは、俺ではなく、自分‥そんな動き。
そして、相手が動揺して動きを崩した瞬間、俺は鏡の擬態を解く。‥そんな感じ。
それは俺自身の技術ではなく、相手の技術だ。俺に何の技術もない。俺自身は鏡のように‥相手に合わせる能力に優れてるだけ。だけど、上手い相手と戦ってるうちに、ホントに自信の技術も上がってきたりもしてるから‥いつかは、自分の力で戦えるようになりたいなって思う。
だけど、体力が無い。相手に合わせるにも‥スタミナが切れては合わせられない。合わせてるだけで必殺技を打つ機会もないまま終わることもある。‥とにかく、体力が無いと話にならない。
それを補うために始めたのが水泳だ。水泳は個人競技だから人の動きに合わせるとか関係ないから。
ちょっとした距離を自転車こいで、泳いで‥また自転車こいで‥。
‥でも、ここまで筋肉が付かないのは変じゃないか?! 日焼けもしないし。基本的に家からでない祖父や父親と何ら変わらない見かけだぞ?!
‥武生も一緒に走って道場に行っていて、一緒に練習している。あいつはここ数年で驚くほど体つきががっちりしてきた。普通に日焼けもしている。だのに‥、運動量なら、むしろ水泳もプラスしている俺の方が‥!? もしかして、家でこっそり素振りでもしてるのか!? その効果か??
他人と比べることなど無意味なことだとわかっていても、これだけは憎らしく思う。
相崎は
「スイミングが週二回、走って道場はほぼ毎日。朝早起きして素振り。夜遅くまで語学の勉強、学校の宿題。
‥しんちゃん、これって絶対寝不足だよ。ちゃんと自己管理しなきゃ。
身体を作りたいなら、専門のインストラクターつけるとかしたほうがいいんじゃない? 俺だってつけてるよ」
呆れたて顔でため息をつくと、また、ドヤ顔だ。
‥本当に面倒臭い。だから、話すの嫌なんだ。
相崎の場合、インストラクターをつけてまで自己管理をしているのは単にモテるためだ。
スキーにテニスに英会話。公共の場でスマートに立ち振る舞うことが、相崎の自己管理の唯一であり最大の目的だ。
見た目も然り。服装から髪型、表情まで‥相崎の「モテる為の」こだわりには、いっそ尊敬する。
それは、旧家の跡取りとして、四朗にも当てはまった。あくまでも、恥ずかしくないようにするため、なのだが。
ドイツ語、フランス語、英語、スペイン語、中国語。四朗は、十歳に事故にあう前から十人を超える家庭教師から語学を学んでいたらしい。
記憶を失った四朗の見舞いに来た彼らは、何故か皆四朗に視線を合わせ
「お名前をおっしゃってください」
と言ってきた。
四朗が自分の名前を名乗ると、四朗の目を覗き込んで、そして決まって驚いた顔をした。
そして何かを確認するように、四朗の枕元に座る祖父の顔を見る。祖父が首を振る。その繰り返しだった。未だに、四朗にはあれが何の意味があったのかわからない。
とにかくその後から、語学の先生は「今まで以上に」熱心に四朗に語学を教えるようになったらしい。そして、それを指示したのは四朗の父親だったらしい。
そのことを、四朗は母の父への抗議から知った。
「事故にあったばかりだというのに、あんなに根を詰めて勉強させなくても。前より、ずっとひどいじゃないですか! 」
涙を浮かべて抗議する母に、父は小さく首を振り
「仕方がない。状況が変わったんだ」
と言った。
四朗はそんな両親を物陰で見ながら「そうか状況が変わったのか。じゃあ‥仕方が無いな‥」とだけ思ったことを何故か今でも覚えている。
‥そんなことを四朗は思い出していた。
目を覗き込んだ‥?
‥目がどうかしたんだろうか? あの後も不思議に思って鏡を見たが何もわからなかった。そして今もわからない。
しんちゃん、真剣になったら、目の色がちょっと変わるんだよ? 自分のことだから気づいてないでしょ?
なぜか、相崎のさっきの言葉がまた思い出された。
祖父も語学の先生も俺の目を覗き込んだ時、「変わったから」驚いたのか? それとも、「変わらなかったから」驚いたのか?
‥答えは簡単だろう。
変わらなかったから驚いたんだ。
相崎の話だと、俺は相崎と試合しているとき目の色が変わっていたらしい。心当たりがあるとしたら、「相手と合わせようと」した時に、(集中したりしたら? )目の色が変わるのだろう。
だけど、あの時、俺は祖父や語学の先生に対して何かを合わせようとするような要素はなかった。それどころか会話すらしていなかった。(動きだけでなく、会話でも相手と合わせるってことが可能ってこと?? だけど、‥そんなことできるだろうか?? )
あの時祖父と語学の先生が俺に要求したことは‥名前だけ。
名前を言わされた、それ以外に覚えがない。
名前は、呪‥?
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