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一章.相生 四朗
6.悩んだって答えの出ないであろう系の疑問に、新たな「もっと頭おかしい系」の疑問が加わった。
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「四朗! 気が付いたか! 」
気が付いたら、畳に寝かされていた。師匠がたまに寝泊まりしている六畳間だ。
しゅんしゅんとお湯が沸く音がしている。
「ああ、まだ寝てなさい。寝不足で倒れたんだろう。‥お茶を少し飲むかい? 」
師匠の父親がカセットコンロに掛けたやかんで茶を淹れて、湯呑を四朗に差し出した。
師匠の声が下の道場から聞こえる。四十になるかならないかの彼がこの頃では道場で師匠として弟子を教えている。
その前は、目の前にいる師匠の父親が教えていた。四朗たちが中学に入るまでは、彼から教わっていたから、五・六年ぶりか。久し振りに「師匠」に会った気がする。
‥そういえば、あのころは相崎も道場に来ていたな。
そんなことを四朗はぼんやりと思い出していた。
相崎は中学に入ったころには、「(剣術とか)もてないし。しかも、何の意味があるの」と言って、さぼることが増えた。
だけど、今でも籍はのこっているはずだ。辞めることはあのじいさん(相崎の前々当主だ)が許さないだろう。
「ゆっくり飲みなさい。熱いから」
四朗は体を起こして師匠の父親の手から湯呑を受け取った。
「武生はまだ練習中だけど、もう少しで終わるだろうから‥武生と一緒に帰りなさい。また倒れると危ないから。家の方には連絡を入れていないけど、その方がいいんだろう? 四朗は母親たちに心配かけるのは嫌だと言っていたからね」
四朗が慌てて頷いた。
「ありがとうございます。あと‥もう大丈夫です。一人で帰れます」
頭を振ったら、またくらりときた。
どうやら‥貧血みたいだ。
俯く四朗に、師匠の父親は「全く」って顔で小さくため息をついた。
「もう少し寝ていなさい。武生には言っておくから」
四朗がしぶしぶという風に頷いて、湯呑を枕もとのお盆に置いた。
布団に横になり、天井の木目を何となく眺める。
‥上に博史のベッドがないから天井が高く感じるな。
‥そういえば、なんでうちって高校生と中学生の野郎二人が同じ部屋に寝かされているんだ? 部屋がないとは言っても、父さんの書斎なんてそう毎日使わないんだから、あの部屋をどっちかにくれてもいいんじゃないか?
畳で襖の部屋が多い相生家において、あの部屋だけは、フローリングでドアだった。
中は大量の本とパソコン、それに大きな机が置いてある典型的な書斎だ。
‥あの机を動かすのは無理か。そういえば、叔父さんがあの家にいた時も、父さんと同じ部屋だったって叔父さんが言ってたな。
高校生にもなったら、それが嫌で嫌で県外の大学に進学したんだ、って叔父さんは言ってたっけ。
‥俺は、そんなに嫌でもないけどな。
やっぱり双子とは違うのかな。
‥それか‥博文が記憶を失った兄に気を遣ってくれてるとか‥。
ある様な気がする。博文は凄くいい奴だから。喧嘩とかもしたことない。だから一緒の部屋にいても「お前の顔なんか見たくもない! 」とかが無いのかも‥。
そもそも、同じ部屋にいることなんてそうないし‥。
隆文は「勉強は図書館でする。家はくつろぐところ。「仕事」は家庭に持ち込まない主義なんだ」とかなんとか言ってた。‥あれって、俺に遠慮してくれてたのか‥。(今初めて気付いた‥。ゴメン、博文)
そういえば、さっき変なことを考えた。
自分は、もともと相生 四朗ではなかったのではないかという憶測。
‥じゃあ誰なんだ。
相模様には何かが見えたんだろうか。相生 四朗ではない誰かが見えたんだろうか。
‥いいじゃない。まだ、思い出さなくても。
またあの声‥。この声は、俺の声ではない!
‥つまり、この声がホントの相生 四朗? そんなことをかんがたら、
‥違うわ(怒)!
ってツッコミが入った。
やっぱり、誰かが、いるんだ。俺の「中」に。
‥だけど、それはこの声によると「相生 四朗」じゃないらしい。
別人格‥。俺はいつの間にか二重人格になっていたのか?
‥いや違うな、二重人格って、一つの人格が出ている時には、もう一つの人格がでてこれないんじゃなかったか?
‥よくわからんが。
と、そんなことを考えていたらまた声が聞こえた。
‥まったく。お前が抜けだしたりするから、こんなことになったんだぞ
低い‥男の声。
‥え? 別の声?! いつも聞こえてくる声じゃない!
そう、さっきの男の声には覚えがない‥。そして、急に頭の靄が消えたみたいに‥いつも聞こえている声が「女の声だった」と「認識できた」。
いつもの女の声と、さっきの男の声。明らかに自分の意志とは無関係に話す二人の声。
‥誰だ?!
俺はもしかして‥三重人格なのか?!
‥だって、退屈なんだもの、何なのこの子、ちっとも遊びにも行かないし。
と、いつもの女の声。
うわあぁあ! なんか頭の中で会話し始めた!
目を見開いて、これ以上にないくらい動揺する四朗。すると、ふわり、と布団の上にすごい美少女が立った。
『初めまして? 私は鮮花。漢字は、鮮やかな花って書くのよ』
にっこり笑って少女が言った。その声は、今さっき頭の中で男の声と話していた以前からの「馴染み」の声だった。
いつもみたいに頭の中で話すのではない。今、その声は目の前の少女から聞こえて来る。
なになに!? やばいって!! 俺なんか変な物、見えちゃったよ?? いや、‥見えてるの本当に俺だけ?
四朗は慌てて師匠の父親を見たが、黙って新聞を読んでいる彼が、何かに気が付いている様子は無かった。
‥つまり、俺の見間違い。
本当に、脳を調べてもらわなくちゃあ‥
そんなに、たまってるのかなあ。欲求不満ってやつ? 女の子が見えちゃうとか‥。異性交遊には興味はないって思ってたんだけど‥。
『ちょっと、現実逃避やめなさいよ』
‥こんな現実があるか。
寝よう。疲れている時は寝るに限る。
四朗が眠くもない目を無理やり閉じようとしたとき、下の階から騒がしい声がして来た。
「おや、相崎君。久し振りだね」
と、師匠の声。
‥え?! 相崎?!
四朗はぱっちりと目を開いた。
「なんか、しんちゃんが倒れたって聞いたから、迎えに来たんです」
と、この声は相崎。
「そうか。相生君なら二階にいるよ。寝ているかもしれないから静かにね」
師匠が小声で言った。
‥いや、寝てるかもしれないから「いかない方がいい」って言ってくれ‥っ!
「はい」
(寝てるかもしれない四朗に気を遣ってか)いつもより殊勝な声。
相崎も! (寝てるかもしれないから)遠慮しろ!!
そして、階段を登ってくる足音。
一人じゃない。‥二人?
障子が開く。そこに立っていたのは、相崎と武生だった。
ちらりと、布団の上に目をやると、少女は消えていた。
‥何だったんだろう。
四朗は目線だけで二人を見る。
心配そうな表情の武夫と、にこやかな相崎。
「よかった。しんちゃんってば、お腹が痛かったの? トイレで倒れたと聞いたけど」
相崎が楽しそうな声を出す。俺が倒れたなんて聞いて面白くて仕方がないという口調だ。
武生が相変わらずな相崎の様子にため息をつく。
「違う」
顔だけ相崎の方に向けて、四朗は短く不機嫌な声を出した。
ホントは起き上がったほうがいいんだけど、‥またふらっと来たら困るって思ったんだ。
「相崎は余計なことをいうな」
武生が相変わらず抑揚のない声で答えた。
心配している、とかそんな感情は表情も含めて見て取れない。
付き合いが浅い人にとっては確かにそう見える。
だけど、四朗は少なくとも七年間、家族に次いで親しいこの友人をずっと見て来た。
見てるとわかることもあったからだ。
‥この表情の起伏に乏しい友人は、だけど半面凄く素直だったから。
素直というか‥いるでしょ? 隠し事が出来ずに、表情に全部出ちゃう人。
(付き合いの浅い人や観察眼が鋭くない人には分からないんだろうけど)俺程武夫を観察してきたら‥全部わかっちゃうんだよ。
‥あ、さっき微妙に表情が動いた。つまり、これは俺の過去に何かしらあったことなんだな。
とかね。
年季の入った「狸」(父さんやじい様ね)を見慣れて来た俺からしたら、武夫なんか「ほんと素直~! 」って感動するレベル。
‥相崎は、別なんだけど。
あいつはもうすこし表情のセーブを覚えた方がいい。(仮にも旧家の跡取りの坊ちゃんだろうが‥)
「帰れるか? 」
「ああ」
武生に言われて四朗は体を起こす。
今度は問題なかったことに、心の中で小さく安堵する。
別に体調が悪いわけではない(と思う)悪いのは脳やら精神だ(と思う)
立ち上がって横に置いていた荷物を持ち、師匠の父親にお礼を言う。師匠の父親が頷いて「お大事ね」と声を掛けてくれた。
「じゃあ‥」
と、そのタイミングで
「俺、車で来てるよ~。送ってくよ」
やたらいい笑顔で相崎が言った。
‥冗談。
「頼む」
断ろうとした四朗の言葉が出るより先に、武生が相崎に頷く。
「おい! 」
四朗が武夫を睨むと、
「しんちゃん! 我儘はダメ」
「めっ」というような口調で相崎が言った。
‥わがままがなんだって?
気が付いたら、畳に寝かされていた。師匠がたまに寝泊まりしている六畳間だ。
しゅんしゅんとお湯が沸く音がしている。
「ああ、まだ寝てなさい。寝不足で倒れたんだろう。‥お茶を少し飲むかい? 」
師匠の父親がカセットコンロに掛けたやかんで茶を淹れて、湯呑を四朗に差し出した。
師匠の声が下の道場から聞こえる。四十になるかならないかの彼がこの頃では道場で師匠として弟子を教えている。
その前は、目の前にいる師匠の父親が教えていた。四朗たちが中学に入るまでは、彼から教わっていたから、五・六年ぶりか。久し振りに「師匠」に会った気がする。
‥そういえば、あのころは相崎も道場に来ていたな。
そんなことを四朗はぼんやりと思い出していた。
相崎は中学に入ったころには、「(剣術とか)もてないし。しかも、何の意味があるの」と言って、さぼることが増えた。
だけど、今でも籍はのこっているはずだ。辞めることはあのじいさん(相崎の前々当主だ)が許さないだろう。
「ゆっくり飲みなさい。熱いから」
四朗は体を起こして師匠の父親の手から湯呑を受け取った。
「武生はまだ練習中だけど、もう少しで終わるだろうから‥武生と一緒に帰りなさい。また倒れると危ないから。家の方には連絡を入れていないけど、その方がいいんだろう? 四朗は母親たちに心配かけるのは嫌だと言っていたからね」
四朗が慌てて頷いた。
「ありがとうございます。あと‥もう大丈夫です。一人で帰れます」
頭を振ったら、またくらりときた。
どうやら‥貧血みたいだ。
俯く四朗に、師匠の父親は「全く」って顔で小さくため息をついた。
「もう少し寝ていなさい。武生には言っておくから」
四朗がしぶしぶという風に頷いて、湯呑を枕もとのお盆に置いた。
布団に横になり、天井の木目を何となく眺める。
‥上に博史のベッドがないから天井が高く感じるな。
‥そういえば、なんでうちって高校生と中学生の野郎二人が同じ部屋に寝かされているんだ? 部屋がないとは言っても、父さんの書斎なんてそう毎日使わないんだから、あの部屋をどっちかにくれてもいいんじゃないか?
畳で襖の部屋が多い相生家において、あの部屋だけは、フローリングでドアだった。
中は大量の本とパソコン、それに大きな机が置いてある典型的な書斎だ。
‥あの机を動かすのは無理か。そういえば、叔父さんがあの家にいた時も、父さんと同じ部屋だったって叔父さんが言ってたな。
高校生にもなったら、それが嫌で嫌で県外の大学に進学したんだ、って叔父さんは言ってたっけ。
‥俺は、そんなに嫌でもないけどな。
やっぱり双子とは違うのかな。
‥それか‥博文が記憶を失った兄に気を遣ってくれてるとか‥。
ある様な気がする。博文は凄くいい奴だから。喧嘩とかもしたことない。だから一緒の部屋にいても「お前の顔なんか見たくもない! 」とかが無いのかも‥。
そもそも、同じ部屋にいることなんてそうないし‥。
隆文は「勉強は図書館でする。家はくつろぐところ。「仕事」は家庭に持ち込まない主義なんだ」とかなんとか言ってた。‥あれって、俺に遠慮してくれてたのか‥。(今初めて気付いた‥。ゴメン、博文)
そういえば、さっき変なことを考えた。
自分は、もともと相生 四朗ではなかったのではないかという憶測。
‥じゃあ誰なんだ。
相模様には何かが見えたんだろうか。相生 四朗ではない誰かが見えたんだろうか。
‥いいじゃない。まだ、思い出さなくても。
またあの声‥。この声は、俺の声ではない!
‥つまり、この声がホントの相生 四朗? そんなことをかんがたら、
‥違うわ(怒)!
ってツッコミが入った。
やっぱり、誰かが、いるんだ。俺の「中」に。
‥だけど、それはこの声によると「相生 四朗」じゃないらしい。
別人格‥。俺はいつの間にか二重人格になっていたのか?
‥いや違うな、二重人格って、一つの人格が出ている時には、もう一つの人格がでてこれないんじゃなかったか?
‥よくわからんが。
と、そんなことを考えていたらまた声が聞こえた。
‥まったく。お前が抜けだしたりするから、こんなことになったんだぞ
低い‥男の声。
‥え? 別の声?! いつも聞こえてくる声じゃない!
そう、さっきの男の声には覚えがない‥。そして、急に頭の靄が消えたみたいに‥いつも聞こえている声が「女の声だった」と「認識できた」。
いつもの女の声と、さっきの男の声。明らかに自分の意志とは無関係に話す二人の声。
‥誰だ?!
俺はもしかして‥三重人格なのか?!
‥だって、退屈なんだもの、何なのこの子、ちっとも遊びにも行かないし。
と、いつもの女の声。
うわあぁあ! なんか頭の中で会話し始めた!
目を見開いて、これ以上にないくらい動揺する四朗。すると、ふわり、と布団の上にすごい美少女が立った。
『初めまして? 私は鮮花。漢字は、鮮やかな花って書くのよ』
にっこり笑って少女が言った。その声は、今さっき頭の中で男の声と話していた以前からの「馴染み」の声だった。
いつもみたいに頭の中で話すのではない。今、その声は目の前の少女から聞こえて来る。
なになに!? やばいって!! 俺なんか変な物、見えちゃったよ?? いや、‥見えてるの本当に俺だけ?
四朗は慌てて師匠の父親を見たが、黙って新聞を読んでいる彼が、何かに気が付いている様子は無かった。
‥つまり、俺の見間違い。
本当に、脳を調べてもらわなくちゃあ‥
そんなに、たまってるのかなあ。欲求不満ってやつ? 女の子が見えちゃうとか‥。異性交遊には興味はないって思ってたんだけど‥。
『ちょっと、現実逃避やめなさいよ』
‥こんな現実があるか。
寝よう。疲れている時は寝るに限る。
四朗が眠くもない目を無理やり閉じようとしたとき、下の階から騒がしい声がして来た。
「おや、相崎君。久し振りだね」
と、師匠の声。
‥え?! 相崎?!
四朗はぱっちりと目を開いた。
「なんか、しんちゃんが倒れたって聞いたから、迎えに来たんです」
と、この声は相崎。
「そうか。相生君なら二階にいるよ。寝ているかもしれないから静かにね」
師匠が小声で言った。
‥いや、寝てるかもしれないから「いかない方がいい」って言ってくれ‥っ!
「はい」
(寝てるかもしれない四朗に気を遣ってか)いつもより殊勝な声。
相崎も! (寝てるかもしれないから)遠慮しろ!!
そして、階段を登ってくる足音。
一人じゃない。‥二人?
障子が開く。そこに立っていたのは、相崎と武生だった。
ちらりと、布団の上に目をやると、少女は消えていた。
‥何だったんだろう。
四朗は目線だけで二人を見る。
心配そうな表情の武夫と、にこやかな相崎。
「よかった。しんちゃんってば、お腹が痛かったの? トイレで倒れたと聞いたけど」
相崎が楽しそうな声を出す。俺が倒れたなんて聞いて面白くて仕方がないという口調だ。
武生が相変わらずな相崎の様子にため息をつく。
「違う」
顔だけ相崎の方に向けて、四朗は短く不機嫌な声を出した。
ホントは起き上がったほうがいいんだけど、‥またふらっと来たら困るって思ったんだ。
「相崎は余計なことをいうな」
武生が相変わらず抑揚のない声で答えた。
心配している、とかそんな感情は表情も含めて見て取れない。
付き合いが浅い人にとっては確かにそう見える。
だけど、四朗は少なくとも七年間、家族に次いで親しいこの友人をずっと見て来た。
見てるとわかることもあったからだ。
‥この表情の起伏に乏しい友人は、だけど半面凄く素直だったから。
素直というか‥いるでしょ? 隠し事が出来ずに、表情に全部出ちゃう人。
(付き合いの浅い人や観察眼が鋭くない人には分からないんだろうけど)俺程武夫を観察してきたら‥全部わかっちゃうんだよ。
‥あ、さっき微妙に表情が動いた。つまり、これは俺の過去に何かしらあったことなんだな。
とかね。
年季の入った「狸」(父さんやじい様ね)を見慣れて来た俺からしたら、武夫なんか「ほんと素直~! 」って感動するレベル。
‥相崎は、別なんだけど。
あいつはもうすこし表情のセーブを覚えた方がいい。(仮にも旧家の跡取りの坊ちゃんだろうが‥)
「帰れるか? 」
「ああ」
武生に言われて四朗は体を起こす。
今度は問題なかったことに、心の中で小さく安堵する。
別に体調が悪いわけではない(と思う)悪いのは脳やら精神だ(と思う)
立ち上がって横に置いていた荷物を持ち、師匠の父親にお礼を言う。師匠の父親が頷いて「お大事ね」と声を掛けてくれた。
「じゃあ‥」
と、そのタイミングで
「俺、車で来てるよ~。送ってくよ」
やたらいい笑顔で相崎が言った。
‥冗談。
「頼む」
断ろうとした四朗の言葉が出るより先に、武生が相崎に頷く。
「おい! 」
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「めっ」というような口調で相崎が言った。
‥わがままがなんだって?
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