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8.新国家樹立編
2.空から「戦」をみてみようのススメ
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建国式典後、俺は、目くらましの結界を解き、周辺国に建国宣言と国交樹立の使者を送った。
といっても、300名しか国民がおらず、国政を担当するのは、全部で、約40名ほどしかいないため、隣国の一つへまずは使者を送り、様子を見ながら、次の国へ訪問するというゆっくりのペースにしている。
海を挟んで、一番近い、隣国ハンスベーダ王国へ近衛隊長のパリーを使者として送り、パリーが、無事役目を果たし帰国してからしばらく経ったある日。
近衛隊長の職に戻ったパリーが、俺の執務室に駆け込んできた。
「プロト国王陛下。大変です!ハンスベーダ王国の外交使節団と思われる船が、海賊船4隻に追われており、至急の救援要請を出しています!」
国交樹立要請の使者を出したら、すぐに様子見の使節団を送ってくるとは、ハンスベーダ王国の統治者は、意外に目端が利くのかな?と俺は少し感心した。
『主殿自ら行くこともあるまい。ビュレトを派遣すれば、一瞬でケリがつくぞ』
『そうなんだけどな,,,,,,。でも、海賊船相手に、うちの国軍の実力を確かめたいんだよな』
この数か月、第一師団(魔法師団)、第二師団(魔法騎士師団)と第三師団(軍艦船団)総勢77名は、厳しい訓練をこなしてきた。
実は、魔法師団の師団長であるシルフェさんの魔素は、さらに磨きがかかり洗練された。水系統の魔法以外にも、形質転換のコツを覚え、陰系統(風)、土系統まで使えるようになり、その威力も各段に向上していた。
希少な魔法師の中でも、2つの系統の魔法を使える魔法師は殊更珍しい。そんな中、シルフェさんは、3つの系統の魔法が扱える。さらに、魔素の状態変化の制御の腕も上がり、本来、魔法師が苦手な接近戦でも、下手な剣士では、とても太刀打ちできないほどになっていた。
『我の教育プランの賜物じゃぞ。主殿も魔法を使わねば、魔女っ娘に剣だけでは勝てんしな』
本当にエクスの魔法教育は目を見張るものがあった。魔王の称号は伊達ではないなと感心した。おかげで、俺の剣の腕では、もうシルフェさんは止められない。正直、得意な得物のナイフや小太刀でも、本気を出さないと魔法なしでは止められないほどだった。
「シンバ。国王としての命令を発す。軍総督ビュレトへ第一警戒体制の発令を命ずと伝えよ。それと、第一師団、第二師団、第三師団に出撃命令を出すように伝達。ハンスベーダ王国使節団の救援及び海賊の無力化及び海賊船の拿捕をせよ」
「はっ!承知しました。国軍総督へ第一警戒体制の発令、国軍、第一師団、第二師団、第三師団の出撃及び海賊の無力化及び海賊船の拿捕の命令を伝達します」
シンバは、俺の命令を復唱した。急ぎ、シンバから俺の命令を受けたビュレトは、シルフェさん、トビアス、港の船軍へ出撃命令を指示する。念のため、ビュレトには緊急の際は、すぐに転移魔法で、急行できるように準備を整えてもらうことにする。
合計77名が大型船2隻で出撃してき、ビュレトは、軍事カスタムされた数十体のゴーレムを従えて念のため待機している。
『主殿よ。こんな一大イベント(海上戦闘)を見に行かんでどうするな?』
『だよな!』
と執務をシンバへ丸投げし、海賊船4隻 vs エクス・ゲファルナート魔法王国軍艦船団2隻の戦闘を観戦しに行く。
飛翔魔法で、空から観戦すると、全体が見える。海賊船4隻が、縦一列になり、隣国ハンスベーダ王国使節団2隻を、風をうまく操り、追い込もうとしている。
この世界は、商船・漁船以外の船は、ほとんど軍艦で、武装帆船とも呼ばれている。複数のマストで、様々な帆により風を操る。通常は、有利な風上を押さえ、各軍艦に1-2名の魔法師を乗せ、ある程度接近すると、魔法師による遠隔魔法攻撃を行う戦術をとる。船体に魔法攻撃でダメージを与え、動きが鈍くなったところ、体当たり攻撃をし、剣士などが敵船へ乗り込み制圧するという戦法だ。
『あの海賊船、なかなかの帆操技術じゃのう。海賊の指揮官にしては、やり手かもしれんな』
『感心している場合じゃないよ。うちは急造の軍艦船団だから、帆操技術では、勝てない。そうなると、正面からの勝負は避け、奇襲で叩くしかないな』
海賊船団は、ハンスベーダ王国使節団2隻に風上から接近し、船首を押さえ、火系統魔法を放ち、さらに、火魔法により生じた煙で視界を遮る。その隙に、使節団の船のマストに土魔法で損傷を与えた。
動きの鈍くなった使節団の船に乗り込もうと接近した海賊船と使節団2隻の間に、急に竜巻が起こり、海賊船の接近を阻止する。
『魔女っ娘は、風魔法がなかなか上達したのう』
エクスが、シルフェさんが発動した陰系統、竜巻の風魔法「トルネード」に感心する。
その時、海賊船の近距離に、突然、エクス・ゲファルナート魔法王国の大型軍艦2隻が姿を見せる。
俺が軍事用に開発した、陽(光)魔法と水魔法による光反射で、姿を見えなくする魔法具(仮称:フェアリーミラージュ)で、接近するまで軍艦の姿を隠していたみたいだ。
さらに、海から、無数の手の形をした水が伸び、海賊船4隻に乗っていた、魔法師全員を拘束する。水でできた手により、両腕が締め付けら、甲板に押さえつけられた。
『この水魔法の魔素は、メイドっ娘じゃな』
リーゼの水魔法もここまで成長したのか!と俺も感心した。海賊船による魔法師10名全員を一瞬で、拘束し、腕を締め上げ、脱臼させ、経絡を塞ぎ、無力化するとは、なかなかやる。
『主殿もうかうかしてられんのう』
う、うるさいよ。
正直、シルフェさんとリーゼの成長に驚かされた。
その後、他の魔法師団の5名の水魔法で、海賊船の各船長たちは次々に拘束され、海賊船は、エクス・ゲファルナート魔法王国国軍にあっけなく降伏した。
といっても、300名しか国民がおらず、国政を担当するのは、全部で、約40名ほどしかいないため、隣国の一つへまずは使者を送り、様子を見ながら、次の国へ訪問するというゆっくりのペースにしている。
海を挟んで、一番近い、隣国ハンスベーダ王国へ近衛隊長のパリーを使者として送り、パリーが、無事役目を果たし帰国してからしばらく経ったある日。
近衛隊長の職に戻ったパリーが、俺の執務室に駆け込んできた。
「プロト国王陛下。大変です!ハンスベーダ王国の外交使節団と思われる船が、海賊船4隻に追われており、至急の救援要請を出しています!」
国交樹立要請の使者を出したら、すぐに様子見の使節団を送ってくるとは、ハンスベーダ王国の統治者は、意外に目端が利くのかな?と俺は少し感心した。
『主殿自ら行くこともあるまい。ビュレトを派遣すれば、一瞬でケリがつくぞ』
『そうなんだけどな,,,,,,。でも、海賊船相手に、うちの国軍の実力を確かめたいんだよな』
この数か月、第一師団(魔法師団)、第二師団(魔法騎士師団)と第三師団(軍艦船団)総勢77名は、厳しい訓練をこなしてきた。
実は、魔法師団の師団長であるシルフェさんの魔素は、さらに磨きがかかり洗練された。水系統の魔法以外にも、形質転換のコツを覚え、陰系統(風)、土系統まで使えるようになり、その威力も各段に向上していた。
希少な魔法師の中でも、2つの系統の魔法を使える魔法師は殊更珍しい。そんな中、シルフェさんは、3つの系統の魔法が扱える。さらに、魔素の状態変化の制御の腕も上がり、本来、魔法師が苦手な接近戦でも、下手な剣士では、とても太刀打ちできないほどになっていた。
『我の教育プランの賜物じゃぞ。主殿も魔法を使わねば、魔女っ娘に剣だけでは勝てんしな』
本当にエクスの魔法教育は目を見張るものがあった。魔王の称号は伊達ではないなと感心した。おかげで、俺の剣の腕では、もうシルフェさんは止められない。正直、得意な得物のナイフや小太刀でも、本気を出さないと魔法なしでは止められないほどだった。
「シンバ。国王としての命令を発す。軍総督ビュレトへ第一警戒体制の発令を命ずと伝えよ。それと、第一師団、第二師団、第三師団に出撃命令を出すように伝達。ハンスベーダ王国使節団の救援及び海賊の無力化及び海賊船の拿捕をせよ」
「はっ!承知しました。国軍総督へ第一警戒体制の発令、国軍、第一師団、第二師団、第三師団の出撃及び海賊の無力化及び海賊船の拿捕の命令を伝達します」
シンバは、俺の命令を復唱した。急ぎ、シンバから俺の命令を受けたビュレトは、シルフェさん、トビアス、港の船軍へ出撃命令を指示する。念のため、ビュレトには緊急の際は、すぐに転移魔法で、急行できるように準備を整えてもらうことにする。
合計77名が大型船2隻で出撃してき、ビュレトは、軍事カスタムされた数十体のゴーレムを従えて念のため待機している。
『主殿よ。こんな一大イベント(海上戦闘)を見に行かんでどうするな?』
『だよな!』
と執務をシンバへ丸投げし、海賊船4隻 vs エクス・ゲファルナート魔法王国軍艦船団2隻の戦闘を観戦しに行く。
飛翔魔法で、空から観戦すると、全体が見える。海賊船4隻が、縦一列になり、隣国ハンスベーダ王国使節団2隻を、風をうまく操り、追い込もうとしている。
この世界は、商船・漁船以外の船は、ほとんど軍艦で、武装帆船とも呼ばれている。複数のマストで、様々な帆により風を操る。通常は、有利な風上を押さえ、各軍艦に1-2名の魔法師を乗せ、ある程度接近すると、魔法師による遠隔魔法攻撃を行う戦術をとる。船体に魔法攻撃でダメージを与え、動きが鈍くなったところ、体当たり攻撃をし、剣士などが敵船へ乗り込み制圧するという戦法だ。
『あの海賊船、なかなかの帆操技術じゃのう。海賊の指揮官にしては、やり手かもしれんな』
『感心している場合じゃないよ。うちは急造の軍艦船団だから、帆操技術では、勝てない。そうなると、正面からの勝負は避け、奇襲で叩くしかないな』
海賊船団は、ハンスベーダ王国使節団2隻に風上から接近し、船首を押さえ、火系統魔法を放ち、さらに、火魔法により生じた煙で視界を遮る。その隙に、使節団の船のマストに土魔法で損傷を与えた。
動きの鈍くなった使節団の船に乗り込もうと接近した海賊船と使節団2隻の間に、急に竜巻が起こり、海賊船の接近を阻止する。
『魔女っ娘は、風魔法がなかなか上達したのう』
エクスが、シルフェさんが発動した陰系統、竜巻の風魔法「トルネード」に感心する。
その時、海賊船の近距離に、突然、エクス・ゲファルナート魔法王国の大型軍艦2隻が姿を見せる。
俺が軍事用に開発した、陽(光)魔法と水魔法による光反射で、姿を見えなくする魔法具(仮称:フェアリーミラージュ)で、接近するまで軍艦の姿を隠していたみたいだ。
さらに、海から、無数の手の形をした水が伸び、海賊船4隻に乗っていた、魔法師全員を拘束する。水でできた手により、両腕が締め付けら、甲板に押さえつけられた。
『この水魔法の魔素は、メイドっ娘じゃな』
リーゼの水魔法もここまで成長したのか!と俺も感心した。海賊船による魔法師10名全員を一瞬で、拘束し、腕を締め上げ、脱臼させ、経絡を塞ぎ、無力化するとは、なかなかやる。
『主殿もうかうかしてられんのう』
う、うるさいよ。
正直、シルフェさんとリーゼの成長に驚かされた。
その後、他の魔法師団の5名の水魔法で、海賊船の各船長たちは次々に拘束され、海賊船は、エクス・ゲファルナート魔法王国国軍にあっけなく降伏した。
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