中身はクズモブなのに『ピュア』だけでゴリ押す第六王子のハーレムは完成する〜非戦闘スキルなのにバトルも無双〜

ahootaa

文字の大きさ
上 下
42 / 63

第42話 公爵は……

しおりを挟む
 本陣らしき場所にはおじさんがいた。
 一人だけ金色の鎧を着ているので悪目立ちしている。
 周囲はすすけた色の鎧の兵士ばかりだった。
 明らかにこのおじさんがアウグスト公爵だろう。
 結構あっさりとたどり着いてしまった。
 
 本当なら、その辺の偉そうなヤツに吐かせる予定だったのに、たどり着いてしまった。
 それなら、本人から聞き出す方が手っ取り早いな。
「お前がアウグスト公爵か!」
「アーサー王子、自国の公爵の顔ぐらい覚えておくものですよ?」
 おじさんに説教された。
 ド正論だ。
 何も言い返せない。

『ピュア』『催眠術』「人質を取るなんて卑怯だぞ!どこに隠した?」
 無視して、話を進めてみた。
『催眠術』にかかってしまえば、そいつの記憶はあいまいになる。
 あれ?
 どうしてだろう?
 さっきから何かが刺さる。

 あ、視線だ。

 身内を含めた周囲の視線が痛いんだ。
 
 耐えるしかない。
 僕は政治にはまったく興味がないし、パーティではスミで小さくなっていた。
 おかげでガーベラとも知り合えたし、これはこれでいいと思っているんだ。
 だから、こんな断罪ムーブもしたことないんだよ。
 許してください。

「人質はもう解放してある。この後、邪魔になるからな。ふっふっふっふ……」
 なんかありますよ的な笑いをしだしたな。
 これは危険だ。

『ピュア』『催眠術』「そんなことはさせない。危険なことや、怖いことは全てやめさせるんだ!」
 ドヤァ!
 ちょっと、主人公っぽくないかな?

「いや、もう発動してしまっているから我々ではどうしようもない。すまない」
 謝られたけど、止められないんだ。
 これは困ったな。
 すごくカッコ悪い。
 それに、僕のスキルではどうしようもない。

「発動って、何をしたんですか?」
「ああ、ちょっと、魔族をたくさん召喚しているよ」
 ちょっとなのか、たくさんなのかどっち!?
 バレたからか、開き直ってるし。
 なんなんだよ、あの小デブおじさんは。

「どうやって召喚したんですか?」
「ああ、城内のワインに召喚の依り代となる血を混ぜたんだ。それを口にしたものは体に異常があったはずだ。」
 あの、片足動かなくなる症状か。
 ということは、宰相も危ない。

「あ、ちなみに私の体が依り代になってるので、魔王は私に憑依すると思います」
「え? 魔王も召喚してるの?」
「ええ、ポーター大公の研究を引き継ぐ形で、さらにパワーアップさせました」

「アーサー、もう、公爵は殺しましょう」
「ああ、そうだな。何言ってるのか分からないし。ガーベラ、頼んでもいい?」
「ええ」

 ザンッ

 公爵の頭と胴体が離れ、頭が転がる。
 胴体は馬上にある。
 体勢は崩れない。
 馬上にある。

 腕が動く。
 馬の首をつかみ、引きちぎる。
 無くなった頭の代わりに馬の頭を付ける。

 様子がおかしいと気づいた部下たちが逃げ出す。
 僕たちも逃げる。
 ガーベラは戦いたそうにしていたが、押さえつけて逃げる。
 サルビアは魔法を打ち込んでいたが、一緒に逃げる。
 アイリスはガーベラを、僕はサルビアを引っ張って逃げる。

 振り返ってみると、3mほどの巨大な馬面の魔物がいた。
 いや、魔王なのか。
 
 僕たちは城へ避難しようとしたが、周囲の様子がおかしい。
 やはり、片足動きにくい人が魔族化している。
 このままでは城内の半数が魔族化する。
 このまま魔族化が進んでしまえば取返しがつかない。
 
 あ

 思いついてしまった。
 魔物相手なら通用する手段が。
 魔王に通用するかはわからない。
 でも、今やらないと、魔王に近づくチャンスすらこないだろう。

 逃げることをやめ、立ち止まる。
 振り返るみんな。
 僕は思いを告げる。

「ガーベラ、サルビア、アイリス。僕は三人同時に結婚したい、わがまま王子なんだ。そんな、わがまま王子の話を聞いてくれないか?」
 
「私はいつでも聞きますよ」
 ガーベラは真剣に聞いてくれた。
「私だって聞くよ」
 サルビアは賢そうに聞いてくれた。
「はい、私も聞きます」
 アイリスは僕の言葉を信じて聞いてくれた。

「ありがとう。今から魔王を倒しに行く。ついてきてくれ」

「わかりました」
「わかったわ」
「承知しました」
 それぞれの思いを乗せて答えてくれる。

 この思いを受け取り、僕は魔王の元へ向かう。
 魔王は待ち構えていた。
 魔族の召喚がうまくいったので、城は落ちたものだと思っているのだろうか?
 僕は確実に声が届く距離まで行き、叫んだ。

『ピュア』『催眠術』「テイム! 魔族を全員引き連れて元通りに帰ってしまえ!」

 魔王は固まる。
 動かない。
 何か抵抗しているのだろうか?
 全く動かない。
 これが効かないようならまずいな。
 使用回数も無いしな。

「ぎぃきうgじょあhろいふじこごrjごえjrg」

 魔王の挙動がおかしい。
 どうした?
「スキルが効かなかったのですかね?」
「もっと使ってみたら?」
「もう、今日の分は今ので使い切ったんだ」
 サルビアの質問に答える。
 ガーベラの質問には答えを用意できない。

「アーサー、先ほど、回数と言いましたが、あなたのスキルは回数制限があるのですか?」
「うん。1日にレベルの数だけ使えるんだ。今なら6回だね。それがどうしたの?」
「いえ、時間的に日付は越えてそうなので、回数はリセットされているのでは?」
「なるほど。それは考えつかなかったな。試してみるよ」
 ガーベラ天才!

『ピュア』『ピュア』『催眠術』『催眠術』「テイム! 魔族を全員引き連れて元通りに帰ってしまえ!」

 絶対に効く三回重ねを試してみた。
 魔王の様子はおとなしくなった。
 効果はある。
 どうやら、日付は変わっているらしい。

 そして、魔王の首が取れた。

 馬の頭が取れて、体がみるみる小さくなる。
 最終的には人のサイズになった。
 公爵の体だろう。

 近くにいた、魔族の体から黒いモヤが出ている。
 魔族の素となっていた何かなのだろうか?
 黒いモヤが出た人はその場に倒れた。
 体に異変はなさそうなので放置した。
 あたりは倒れた人だらけになっていた。

「これで終わりだよね?」
 サルビアがつぶやく。
「ああ、終わりみたいだな」
 僕が答えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

処理中です...